見出し画像

父性と母性

ひとは誰でも、父性と母性をあわせ持てるように思える。

父性は、厳しく規律を作り、それに従うことで報酬を得るようなもの。

母性は、かぎりない優しさと水のような相互浸透で受け容れるようなもの。

どちらかだけではバランスが崩れる。

***

子供の頃は、両親から父性と母性によって守られ育まれ、成長する。

ある時、両親からの自立が必要になる。

父に反抗し、母に受け容れられないようなことをしでかす。

それを経て、父性と母性の庇護から外れる。

すると、自分は不安定になるが、そこで父性と母性を自分のうちに作るようになる。

外から父性や母性を与えてもらうのではなく、自分のうちに父性と母性を併せ持てるようになる。

これは一つの大切な神話だ。

***

それができると人間として独立する。人格が統合される。

たとえば他人に厳しくしたり、自分を追い詰めてしまう父性。
大切なひとを受け止めてあげたいと思う母性。

そういった心が、ばらばらでなくなる。

***

現代の「メンター」と「恋人」は、父性と母性に対応している。お父さんやお母さんの代わりに、それらを求める。

そうして、最終的にはメンターと恋人からも巣立つ。

心が外に頼らなくなる時、本当の意味で、ひとを愛することができる。なぜなら、お互いが自立した人間として相手を思いやれるから。

もし、相手が子供なら、親の役割もこなせるようになる。

現代は父性も母性も枯渇してきているし、なにより嫌われることのできる父性が、ほとんどどこにもないように思える。もちろん、その父性は母性も背後にあるから、本当は優しく、意義のある活動もできる父性だ。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?