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今年飲んだ良かった酒Advent Calendar 2021 Day2. 奈良醸造 UNDERWATER

2日目に紹介するのは昨日に引き続き奈良のクラフトビールメーカー奈良醸造の製品で、今や奈良を代表する日本酒蔵となった油長酒造の代表銘柄「風の森」とコラボした「UNDERWATER」というビール。正確には発泡酒。

奈良醸造は「銘柄名が全て横文字」「毎回銘柄に合わせたイメージアートが作られ、イメージアートとスペックが書かれたポストカードが料飲店や酒販店で配布される」「ビールと発泡酒の製造免許を共に持つ二枚鑑札なので、銘柄ごとにスタイルも味も香りもすべての振れ幅が非常に大きい」「同業他社とも異業他社とも頻繁にコラボを行う」といった様々な特徴のあるメーカーだが、中でも際立つのは銘柄の多様性と販売サイクルだろう。2021年のこれまで11ヶ月で20種類、ほぼ隔週ペースで異なる銘柄のビールをリリースし、しかもその大半は完全新作なので、そのアイデアとバイタリティには驚くばかりだ。そして奈良醸造2021年最初のリリースにして、最も驚かされたのが今回紹介する「UNDERWATER」である。まずはスペックをご覧いただきたい。

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スタイル:SAKE YEAST BEER(!)

アルコール度数:11.5%(!!)

IBU0(!!!)

ホップは使わず!「風の森」で使用されている米麹と清酒酵母で発酵させ!極めつけは実際の仕込み水をタンクに汲んで運び醸造に使用!という、もうこれだけでとんでもない銘柄だということが伝わってくる。

しかし、ビールに限らず、とんでもないスペックの酒だということは必ずしも美味しい酒であることまでは保障しない。さて、どんなものか・・・と飲んでみたところ、これがとんでもなく美味しかった。公式サイトの紹介にある通り、トロピカルフルーツとイチゴ・リンゴ等の黄~赤色系果実系統の吟醸香が強く強く香り、度数相応のボディの強さがありながら、うすにごり酒のような柔らかで滑らかな口当たりもあり飲みやすい。炭酸はビールにしては抑制的で、銘柄にもよるが「風の森」は比較的発泡する日本酒であることを考えると、図ったようにちょうどそれくらいの泡感。ピルスナーモルトのすっきりとした甘さもあいまって、飲んでいるうちに「これはビールを飲んでいるのか?日本酒を飲んでいるのか?」とわからなくなる感覚すらあり、「日本酒蔵とのコラボレーション」としてとんでもない完成度、すさまじい到達点に至ったビールと断言できる。また、日本酒は「搾り」を行ってもろみを漉すプロセスがあるが、ビールにそれはないため、1本の瓶を注いだグラスの中の上と下で味わいのグラデーションがあるのも楽しかった。ただ、度数が11.5%のものが375ml瓶というパッケージであり、これをビール感覚で飲むとどうなるか・・・日本酒2合を干したのとほぼ変わらないわけで、気をつけないとかなり酔いが回る。その点だけは注意だ。

前回の「¿QUO VADIS?」で心を掴まれたと書いたが、この「UNDERWATER」では完全にノックアウトされ、一時期「UNDERWATER」を酒屋で買っては酒飲みの友人たちに配る布教活動に勤しむなどしていた。配った先では当然、いずれも大好評だった。

今回こそ「かーッ!残念だなあ!こんなに美味しいビールがもう飲めないなんてなァ!!」という締めになるが、どうも奈良醸造では一部商品をマイナーバージョンアップして再販することもあるようで、カレンダー的に来年の2月頃「UNDERWATER 2022」が出るのではないかと勝手に期待している。もし再販されたら何はともあれ買い求めて飲んでもらいたい。奈良醸造のすごさの真髄が伺えるので・・・

もし通販購入可能となれば、この記事にもリンクを貼る予定。

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