全体に関わることができるか

以前取り上げた任天堂の宮本さんの言葉。

全くの同感で、アイデアというのは複数の問題を一気に解決するものだという考え方はとても好き。

これについて、ちょっと自分の考えている価値についても重ねて書いてみる。

アイデアから実現まで、さらには保守も

自分は展示に関わる仕事を多くやっている。そういう仕事について考えていくと、通常は役割分担がある。

大雑把に言うと、企画フェーズ、設計フェーズ、制作フェーズ、運用保守フェーズ。

技術に強い人は、設計とか制作のフェーズによく登場する。つまり企画のフェーズにはいないことが多い。それについて、いわゆる実現可能性を的確に判断するために企画フェーズから技術に強いひとを入れるべきだというのが、現状よくある議論だと思う。テクニカルディレクターとはなんだろうかという話でもよくこの議論がある。

自分もそれには合意するが、自分が目指す立ち位置はちょっとニュアンスが違う。まず、自分が目指しているのは企画の段階から企画者のサポート役として入るのではなく、企画者の一人として入りたい。そして、設計や制作はもちろん中心的にやりたいし、運用や保守だって関わって行きたい。全部にプロとして関わりたい。

それはなぜか。

よくある議論

通常よくある議論としては、実現可能性を加味しない企画が先に決まり、それを実現してほしいという無理難題を投げられた、という出来事だ。これは、たしかにまずくて、企画を通す前になぜ実現可能性を確認しなかったのかと思ってしまう。

次の段階を考える。

次は企画のフェーズで呼んでもらった場合だ。その時は企画者がいて、その横で実現可能性を判断する役目としている。なので、大方の期待としては、企画者は誰も発想しないような面白い新しいアイデアを出すのが役割となる。そして技術に強いひとは、それをOKなのかNGなのか判断したり、NGなものについてはOKになるように変更するアイデアを提案していくということになる。この場合も、ベースとなる企画自体には関わらないので、スタートとして企画者のアイデアがあってそれを調整して実現性のある企画としていくことになる。クライアントの合意を取る前に調整してる点では改善してるけど、根本的な流れには進化がないような気がしてしまう。

自分が考える理想

あるアイデアがあってそれを実現しようとするとき技術的なハードルがあってコストがかかりすぎるとする。それを解決するために、コストをかけずに実現する方法を考えるのは技術脳なわけだけど、企画脳の方ではコンセプトとかエッセンスを変えずに技術ハードルを回避する企画を考え直すことができる。これを企画に特化した人と技術に特化した人がコミュニケーションをとって協業して答えを探すとすると、これはなんかとても難しい作業に思える。二人が常に一緒に仕事をしてる仲間であれば勝ち目はあるかもしれないが、価値観にずれがあると難しい気がする。

そこを、企画者であり技術にも詳しい人間が立っていたとする。企画脳と技術脳が混ざっている状態なので、企画者と技術者が話し合うまでもなく、一人の頭の中に2つが共存しているのでとにかく早い。そして、企画と技術にまたがる問題を一気に解決するアイデアが出せたりする。

さらにいうと、企画も良くて実現性もあってコストも収まるように見えるプランも、実は運用すると問題が生じるということがある。設計者が運用者ではない場合、運用時のトラブルについてはそれほど詳しくない。つまり、運用のことも知っていると企画時点でそこの問題さえも察知できる。

最初から最後まで主体的にこなすことのメリットはここにあると思う。

そんなことできるのか

たしかに難しい。企画も設計もなんもかんもやるっていうのは無理がある。一人でできることには限りがある。ただ、そこにプラスして、企画に特化した人や設計に特化した人、制作に特化した人、運用に特化した人がいた場合どうか。全部がわかる一人の人間とそれぞれがわかる専門家が一緒になって動く。

これは想像以上にメリットがある。それはコミュニケーションを円滑にするということだ。例えば、企画に特化した人が実現パートの人の気持がわからないから、その場に呼んだとする。でも、二人は日ごろ大事にしてることが大きく違うのでコミュニケーションがとにかく噛み合わない。言語が違うと言ってもいい。でもそこに両方に精通する人がいると、その間にたってお互いの信頼を得てコミュニケーションがとれる。中途半端ではいけない。両方からあいつは中途半端だと思われているとだめだ。信頼されない。信頼されるレベルで精通している必要がある。つまりそれはどちら片方とってもプロとして見られるレベルだと思う。

最高を作りたい

自分はまだまだ技術が強い人として見られるレベルで、ほかのスキルだけで勝負するような見え方はないかもしれない。でもとにかくそこは言い聞かせの法則もあるので、プロであるという覚悟で取り組みようにしたい。

すべてのバランスがとれていて、ひらめきもある。そんな最高のやつを作りたいと思ってるんだけど、それを実現するにはこの何でもかんでもプロレベルっていうのが重要なんじゃないかと信じてる。たぶん難しいことに挑戦してるとは思うんだけど、ここの先にはなにかすごいのがあるような気がしていて、そこを模索していきたいと思ってる。

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