ワークショップしてきた
先日、ワークショップをやった。AkeruEのワークショップということで、パナソニックセンター東京で。
SWITCH! SWITCH!
今回のワークショップは、AkeruEのアストロに展示された新作をsiroで担当したことがきっかけだ。
AkeruEはSTEAM教育を取り入れた場所なので、テックな話をすることが割とおさまりがいい。なので、作品でもキーになっている「パナソニックのスイッチ」を使ったものにしたく、マイコンに繋いで遊べるものを企画した。
最近別の仕事でも使って便利さに感動したM5 StackのM5 AtomS3 Liteを使うことにした。2千円未満で手に入り、プログラムを書き込めるし、内臓LEDもあり、Groveコネクタもついてる。スイッチはGroveコネクタに繋げば入力として使えるので、手軽でいい。
ということで、スイッチを繋いで、WiFi経由でスイッチの状態を送るというのを自分たちで作るという内容にした。プログラムを教えてたら時間が足りないので、そこは事前に書き込んでおくことにした。
選択がテーマ
SWITCH! SWITCH!は子供がたくさん訪れる場所であるAkeruEに設置されるということで、子供にとっていい経験となるものがいいなと考えて作った。ので、スイッチを使って「選択を体験する」というものにした。物語中の人物が困っていて、それを「助けるか/助けないか」みたいなことを選ぶ感じのコンテンツなんだけど、物語に参加するというモチベーションをかなえるという意味だけではなく「選択をする」ということに意義があると考えて作った。
子供というのは、わがままなようでいて、そこそこ「期待に沿うこと」を迫られて生きていたりする。学校でもいい子にしてると褒められるし、なんとなく空気を読んで「これが望まれてる」ということを選ぶ訓練をしてる。
あんまり良くないことだなって個人的には思う。
小さい子供時代にみんなと同じようにすることを教え込まれているのに、大人になって世間に飛び出すと、希少性のある人が評価されるということになる。実際の社会はもっと複雑だが、これはある程度合ってるような気がする。
期待に沿うように選ぶとすると「選択」というのは自明の積み重ねになりがちだ。
「困ってる人を見たら助ける?助けない?」
助ける方が正しいに違いないというバイアスのかかった質問だろう。子供はそう思ってる気がする。自分だってそう思う。
SWITCH! SWITCH!の物語世界では不思議な出来事が起こり続けるので、意地悪な回答も軽やかに楽しく展開する。「どっちを選んでもゆるされる」感じにしてある。ので、自由にさまざまな回答をしても罪悪感なく物語の可能性を楽しめる。
実は生きることをテーマにしてる
自分の考えとしては「選択の体験」は生きることの練習とも言えると考えてる。どう答えてもいいというのは、ある意味自分らしい回答はどっちかということを迫ることになる。自分らしさを考えていくことは、生きることだと思う。
「選択の積み重ねが人生だ」
ということ。選択で分岐していき、他の人とは違うところに行く。それが個性だし、自分を形作ると言っても過言ではない。つまり、「選択を練習するのは生きることの練習」。
ワークショップでは
話をワークショップに戻そう。M5でスイッチ体験という流れは、そのまま選択の方に焦点をずらしていく。
無事スイッチがつながり、M5の電源が入れられたら、スライドを映してる自分のマックにWiFi経由でつながり、画面に自分の番号の四角が出てくる。そして、スイッチの選択に合わせて色が変わる。
つまり、選択を表示することができる。そして多数決モードも作っておいたので、多数決をとる遊びをした。
「今晩食べたい食べ物は?」
ハンバーグ / カレー
「好きな教科は?」
体育 / 算数
「中学受験する?」
する / しない
「大学行く?」
行く予定 / 早く働きたい
こんな具合で多数決をとって遊んだ。
人生の選択
質問の内容から察しがついたかもしれない。好みを質問するようなものから、徐々にシリアスな人生の選択とも感じる質問を選んでみた。
「人生の選択」感のある質問とはどんなものか。
どこの大学入る?
大学辞めちゃう?
どこに就職する?
会社辞めちゃう?
この人と結婚する?
家を買う?借りる?
なんかこういう選択は人生に大きな影響を与えるかもしれないと思わせる。でも実はそうじゃないかもしれない。昼ごはんに中華食べるのか、カレー食べるのかでも分岐がある。何がどう影響するかはわからん。
ちなみに、自分は大学院でて就職したんだけど、その会社は3ヶ月で辞めた。
人生の分岐
この感じ、子供にどこまで伝わるかわからないので、イメージを何回かしてもらった。
エブエブをサンプルにしてみた。イメージしてもらうため。
この映画には主人公のさまざまな人生の可能性がマルチバースとして並行に存在するとして「別の自分」が出てくるシーンがある。
同様に、藤子F不二雄のパラレル同窓会も紹介した。
パラレル同窓会は、主人公がふとしたことで迷い込んだのだが、そこにはさまざまな「自分」が集まってる。人生の選択の違いで、さまざまな職についた自分がいたりする。ある自分は大会社の社長だし、平社員の自分だったり、アーティストの自分だったり。
こうした人生の可能性の話は小学4年生でもわかるだろう。パラレルワールドを描く物語はよくあるし、タイムリープみたいなことでも同じ可能性を感じられる。そういう物語は多く存在するので知ってると思う。
物語と現実は違うものとして考えがちだが、ぜひ自分に当てはめることをしてもらいたい。
事例から学ぶ
人生の選択の事例として、松山の過去の出来事や大事にしてきたことを語った。
わかりやすいポイントは、小学5年生からプログラミングを独学で学び始め、今まで継続してることだ。同様に電子工作も小学生から通信教育で始めた。工作やなんかも好きだったので、知識と経験は少ないが、小学生の頃から今とやってることは近い。
あとは、高専に入ったので、部活の弓道を五年間やったこともある。スキルの習得という観点では、プログラミングで積み重ねてるわけだが、それ以外のことでも同様に積み重ねが効いてる経験を得たのは意味がある。
ワークショップでは話さなかったが、ビリヤードも19歳から始めて10年以上の期間ものすごいハマってた。毎日行くくらいのレベルだ。これもまたスキルの習得、そしてメンタルの鍛錬などに効いた。
つまり「スキルは1日にしてならず」で、なんなら年単位で積み重ねることが大事。5〜10年やってると、流石にそこそこのスキルが手に入る。
自分の場合は小学生からそこそこのペースでプログラミングやってたので、大学の頃にはそこそこのスキルとして身についていた。これは強烈なアドバンテージで、自分の人生を支える特技となっている。
そして、特技は複数あるとよりいい。これも身をもって感じたことだ。デザインに関することに興味を持ち、アートに興味を持ったが、プログラミングなどのスキルを捨てず、融合したところを模索したことで複数のスキルが混ざっていった。数学や物理が好きなこともすべて活かせた。
これらを要約するとこうなる。
プロ並みのスキルを得るにはそこそこ時間がかかる
プロ並みのスキルが一つでもあると良い
プロ並みのスキルが複数あるともっと良い
スキルの習得は小学生の頃からスタートできる!
最後が特に大事。子供だからまだいいと思う人は多い。基本的に人は怠惰なので、面倒なことを避ける傾向がある。だが、冷静に考えて欲しい。スキルを積み上げていくことを早くスタートする方が面倒なことは少なくなる。なにかと手に職があるとスムーズに進めると思う。
子供の方が時間に余裕があるので、多くの時間をそのスキルに注ぎ込める。大人になってから働きながら新しいスキルを得るのはなかなかしんどい。大人になってからピアノ習い始めたとしても毎日練習する時間は作れない人の方が多いだろう。
締めくくり
当たり前のことだが、子供だとしても人生は始まってるのだ。子供だとしても、ゲームなどのたくさんの物語で人生を擬似体験してると思うが、その人生はリアルな実世界においても始まってる。
その事を見過ごしがちだし、油断しがちだ。「学校では習ってない」とか言いがちな与えられる人生という価値観ではもったいない。自分の人生を乗りこなしてこそだ。
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