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「夫のご飯を作らない」というSDGs

「SDGs」と聞くと、まず思い浮かぶのは環境負荷の低いエコな暮らしにまつわることだけど、「ジェンダー平等を実現しよう」という項目も17の目標のなかに入っている。

私がジェンダー平等実現のためにやっていることは「堂々と夫のご飯を作らないでいること」かもしれない。

我が家は夫と二人暮らしで、私は比較的料理好きな方。夫はあまり得意ではない。
この状況だと流れ的に私が家庭の「ごはん係」になるし、実際そう思って頑張っていた時期もあった。

私は在宅で仕事をしているので、オンラインミーティングの合間に献立を考え、買い出しに行く。業務終了頃に夫が帰宅するのでPCを閉じて急いで作って夕食にする。

仕事が立て込んでいるときは一品しか作れなかったり、夕食が遅くなったりして勝手に罪悪感を抱いていた。きちんと「ごはん係」ができていないことにイライラしながら台所に向かっているので、包丁の音にも棘があった。

夫は片付けを担当してくれるし、私が忙しいときには「外食やテイクアウトでもいいんじゃない?無理しないで」と言ってくれていたのだけど、私は「ちゃんとご飯を作らない妻」になるのは悪いことなんじゃないかと内心思っていて、それを喜んで受け入れられなかった。

夕食を作れなくて週3回転寿司になったとき、夫が健康診断でコレステロール値が要観察になったとき、「ちゃんと栄養あるご飯を作れない妻でごめんね」と思った。

私の母は昔ながらの主婦で、家族8人の食事を毎日3食手作りする生活を数十年間続けた女である。

そんな母の娘なので、「家族に栄養あるご飯を作ること」は妻の義務であると教え込まれた。
その代わり、母はキャリアを積んだり趣味や自己実現のために時間を使うことができないまま還暦を迎えて、いまも「家事を完璧にこなさなければ」という呪縛に囚われているのだけれど。

女にばかり家事や育児といったケア労働の比重が偏ることで社会進出が阻まれるというのは周知の事実。
この状況を変えるには、男性がもっと家事や育児を担うようになるべきなのはもちろん、女たちの中にある「ケア労働をしない罪悪感」を払拭する必要がある。

堂々と「今日は外食にしよう」と言うのはその第一歩だ。妻がイラつきながら作ったご飯を食べるより、楽しく外食するほうがハッピーな日だってある。

そんなわけで私たちは今日も回転寿司へ行く。栄養のために茶碗蒸しを必ず食べるのが我が家の新しいルールなのだ。



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