サトシくんとおじいちゃん
どうも。
KONGです。
もうすぐ梅雨が始まり、気持ちが乗らない日が多くなると思うので、たまにはこんなお話を。
小学生の頃、KONGの友達で2つ年上のサトシ君(仮名)という少年がいた。
KONGとサトシ君は、家から学校までの通学路をよく一緒に並んで歩いていた。
アニメや漫画の話など、くだらない話をしながら歩く通学路。
その途中に、
車が入ってくるけど信号のない場所が一箇所あり、そこには一人のおじいさんが、毎朝黄色い旗を持って立っていた。
挨拶をすると、
「ほい!行ってらっしゃい!」
と、元気に返してくれる。
彼はサトシ君のおじいちゃん。
暑い夏の日も。
冬の日も。
雨の日も。
台風の日も。
孫のサトシ君が学校を休んだ日も。
おじいちゃんは、
ほぼ毎日そこに立っていた。
誰かに頼まれた訳でもないのに、元気よく毎朝黄色い棒を振っていた。
おじいちゃんが立っていない時には
「あれ?サトシくんのじいちゃんは?」
と、少し心配する人もいたくらいだ。
そんなある日。
『毎日子ども達を見守ってくれた人を表彰する』として、全校朝礼で警察署の人がやって来た。
サトシ君のおじいちゃんが表彰される事になったのだ。
警察署の人は朝礼台に立つと、皆んなに表彰状を見せる。
巻き起こる拍手。
しかし、当の本人である、サトシ君のおじいちゃんは現れなかった。
そのまま表彰状を脇に抱えて去っていく警察署の人。
その日の帰り道。
たまたまサトシ君を見かけたKONGは、サトシくんに聞いてみた。
「おじいちゃん来んかったね?」
するとサトシ君は少し照れ臭そうに答えた。
「だってじいちゃん、ボケちょーけぇね。
やけぇ、コレ俺が渡さんといけんのんよ」
そんな彼の手には表彰状の入った筒が握られていた。
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翌日の登校時。
おじいちゃんはまた元気よく立っていた。
おじいちゃんに話しかけるKONG。
「昨日、警察の人が来てくれとったんよ!」
そしたらお爺ちゃんは笑いながら言った。
「なんで悪ぃ事しとらんのに警察に会わんといけんのじゃ!!
ほら、早く行かんにゃあ遅刻するで」
KONGのランドセルを棒で軽く叩いて送り出してくれた、おじいちゃん。
数十年経った今でも、ふとこの出来事を思い出す。
あの表彰状は警察署の人からではなく、サトシ君本人が直接渡せてよかったなぁ、
と。
たまにはいいじゃん。
こんなホッコリ話でも。
それでは!
また!!
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