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パン作りに使うイーストってなんだろう?

イーストはパン作りに欠かせない材料の一つです。しかし、最近になってこれは一体なんだろう?と思うようになりました。きっかけはサワー種作りに失敗したことからです。
サワー種とは小麦粉と水のみで作られる酵母のことです。これを手間暇かけて育てていたのですが、完成目前だった10日目にして失敗しました。手間と時間をかけた分すぐに再度挑戦する気にはなれず、またイーストに戻った時「サワー種は水と小麦粉という天然のもので作れたけど、イーストって何からできているんだろう?」という疑問が湧いてきたのです。

イーストとは
酵母を人工的に培養して作られたもの。
酵母は自然界のあらゆるところに存在し、その中からパンに適した酵母のみを採取して人工的に培養して作られたのが市販されているイーストである。
製造方法は、まず採取した酵母に糖分(糖蜜やブドウ糖果糖液糖など)を加える。次に、それをpHと温度を調整した場所に置いて培養*させる。その後、水洗いし脱水したものが生イースト、さらにそれを低温乾燥させて粒状にしたものがドライイーストである。
酵母の培養を促すために、窒素、リン酸、( pH調整剤 ) が使われる。これらは酵母によって吸収されて細胞の中で有機質として変化し、培養後に残った場合は除去される。商品によっては乳化剤が添付されるものもある。
*パン酵母は、出芽という方法で分裂することで数が増えていく。
イーストでパンが膨らむ原理
酵母は生きもので、空気と糖分があるところで分裂していく。
その時、酵母は糖分をアルコールと炭酸ガスに分解する。そのガスが発生することで、生地の内側に気泡ができ膨らむ。
イーストの種類
生イースト:  安定した性質で糖の分解が活発(優れた発酵力)なため、発酵が速い。ふんわりと柔らかい食感のパンに向いてる。消費期間が短い。
ドライイースト:  インスタントとアクティブの2種類に分かれる。インスタントは予備発酵*なく粉と合わせて使えるが、アクティブは酵母が仮眠状態なので予備発酵をする必要がある。どちらも生イーストに比べると発酵力は少し弱まる。ハード系のパンに向いている。乾燥しているため、賞費期限が長い。
*ぬるま湯、イースト、(砂糖)を合わせて15分程度置いて酵母を活性化させる。

ドイツでは自分でパンを作る人が多く、コロナの影響でスーパーが品薄になった際、小麦粉とイーストはパスタより長い間入手困難でした。
スーパーでは、乳製品コーナーに生イースト(Frische Hefe=フリッシュ・へーフェ)が、製菓コーナーにドライイースト(Trockenhefe=トロッケンヘーフェ)が置かれています。

ドイツ語でパンのレシピを調べると、生イーストを使用したレシピの方が多いような気がします。日本ではドライイーストの方が手に入りやすく、そちらに慣れていたため、ドイツに来てからも最初のうちはドライイーストを使っていました。しかし、どうもイースト臭が気になって生イーストに替えてみたところ、ほとんど違和感はなくなりました。それに、発酵の調子もよく、予備発酵に慣れてしまえばドライイーストより扱いやすい気がします。

ちなみに、ドイツのイーストには生もドライもBIO(有機)のものがあります。これは有機の酵母を種菌に使用しているということらしいです。

最近、YouTubeで完全感覚ベイカーさんを見つけました。独学でパン作りを学ばれた方で、レシピの他にパン作りの実験的な動画も上げられているのですが、その検証&解説がわかりやすいです。
《完全感覚ベイカー:独学でパンに挑む人へ》よりイーストに関する回は、
・【パン基礎講座】発酵時間でパンの仕上がりは変わるのか
・【食パンレシピ】生イーストの特徴と使い方(how to use fresh yeast)
・【パン基礎講座】イーストを多くするとどんなパンが焼けるのか?

参考
cotta, ぜろから学ぶパン酵母(イースト・天然酵母・自家製酵母の作り方)
https://www.cotta.jp/special/bread/yeast.php
気ままな生活, ドライイーストと天然酵母 http://kimamalove.blog94.fc2.com/blog-entry-3005.html
パンのはなし, 安全性QandA・Q4 パン酵母とは?
https://www.panstory.jp/QandA/QandA04.html

ドイツの美味しいもや面白い場所の発見に使わせていただきます!