見出し画像

大手企業の会社員の私が地方創生スタートアップを始める理由 <第1回 「きっかけ」>

私は日本最大手の印刷会社でプロモーションの企画を行っている。自分で言うのも何だが、よく働いている。過去転職を考えたこともあったが、ハッキリ言って、今の環境より恵まれている環境はそうないと思った。なので、すでに転職という選択肢は私の中にはないのであるが、私は現在第3の選択肢として、起業家としての道を歩もうとしている。

きっかけは、帰省だった。

私は小中高の12年間を静岡県の伊豆で過ごしている。生家こそないものの今も両親が住む伊豆は私にとって故郷である。2人の子供がいる私は、宿泊費がかからず、気軽に行ける伊豆が最高の旅行先になっている。言わば私は東京在住で伊豆のヘビーリピーターなのである。

そんなある日、ふと気づいたことがあった。ネットで有名な観光スポットを調べて尽くしていた私は、さらに踏み込んだ『ジモピー』らしい、隠れスポットに行きたいと思った。すると、突如調べるのが難しくなったのである。12年伊豆に住んでいて、『自称ジモピー』の私は、実は隠れスポットのひとつもまともに探せない、数多いる一般の観光客と大差ない存在だったことに気付かされた瞬間であった。

地方観光地と企業のプロモーションとのギャップ

日頃から、企業のプロモーション企画・制作を行なっている私は、このギャップに非常に疑問を持った。どんな商品でもプロダクトには開発者の想いがあり、それを販売したいマーケティング担当者には販売戦略がある。それらを、最適な伝達手段に変換して市場に投下する。企業では当たり前のように行われている行為が地方では感じにくいというのが率直な印象だ。

まさか、地元の魅力はこんなもんだったのか・・・?

そう考えた私は、観光ガイドに載っている有名スポットから、ほとんど載っていない(有名かどうかも不明な)スポットを中心に、様々なスポットを回ってみることにした。父の紹介で、幸運なことに地元議員のO氏と知り合いになり、まず地元目玉スポットの世界遺産韮山反射炉を訪れた。さすが、こちらはガイドブックに載っているよう、駐車場から観光施設までしっかりと整備されていた。ここでO氏から紹介された内容を聞いて「半ジモピー(自称ジモピーから降格)」の私は驚いた。このスポットでは、高台から富士山も見え、産業遺産の韮山反射炉と、文化遺産の富士山を同時に見ることができる「二つの世界遺産が同時に見えるスポット」だったのである。やはり、本物の地元住民からガイドされる内容は、旅の体験をさらに高めてもらうことができる。最近ではこの事を書くガイドブックもちらほら見られるが、そもそも、地元の人にとって当たり前になりすぎた「富士山が見える」という事実をすぐにプロモーションに直結できなかった結果が、この「魅力の伝え漏れ」に繋がったのだと感じた事例であった。

画像1

まだまだありそうだ。名スポット。

地図が好きな私は、ガイドブックに無いのならばと考え、google mapでスポットをシラミ潰しに探してみた。すると地図上では小さなスポットアイコンだったが、何か惹かれる直感がありそこへ訪問、すると予想を超えた立派なお寺があった。そこで、自治体ホームメージで調べたところ、なかなか興味深いスポットであった。このお寺は「国清寺(こくしょうじ)」1362年創建で650年以上前に建てられたお寺。すごい!室町時代には関東で6番目に大きなお寺だったとか。歴史が深いため、日本昔話になっていると言う「天狗のお話」や「国清汁」なる名物もあるとか。ふらりと寄っただけだったため、その魅力の全てを知ることはできなかったが、もし観光客(潜在顧客)が訪れたならと考えると、「天狗のお話」の伝え方、「国清汁」の体験方法など、顧客への伝え方一つで、強力な魅力スポットになるポテンシャルがあると感じた。私なら歴史系アニメのコスプレイヤー撮影会のロケ地に使いたくなる。

画像2

行くとまだ出る魅力のタマゴ

国清寺を散策していると、今度は地図にもない気になるスポットを発見した。片膝ほおづえ姿のお地蔵様である。綺麗にかぶせられた傘が斜めがけでダンディズムさえ感じる。これは素敵だ!絵になると思わずシャッターを切たのだが、横にあった看板を見て、また新鮮な驚きがあった。このダンディ地蔵、ほおづえ姿は「歯が痛いからだとか」そのため、このお地蔵様に祈ると歯痛に効果があるそう。学生時代不摂生から激しい歯痛に苦しんだ経験のある私は、歯痛にご利益があるお地蔵様にはありがたみを感じざるを得ない(笑)。

画像3

このように、ガイドに無くとも深掘するほど、魅力のタマゴと思えるスポットが湧いて出てくる。ここで気づいたことがある。有名スポットを既に体験済みの顧客=リピート客には、むしろこう言う楽しみ方を提供するべきではないのかと。広告によって得られる集客効果は、観光地における基本戦略だが、サスティナブルな事業継続にはコンバージョン率の低い広告より、リピート客を増やす方法の方が効果的である。しかし、リピート客に毎回同じような有名スポットを紹介しても飽きが来てしまい、リピートメリットが薄れてしまうし、新たなリピート客を作ることも難しい。この事を課題と捉え、事業計画を立てることとした。

<第1回はここまで>

次回:第2回は2020年6月中旬公開予定で執筆中
1週間に1回の投稿を目指し進めてまいります!

スタートアップ現在の取り組み
デジタルマップで持続可能な魅力発信ができる仕組みを実現すべく、クラウドファンディングに挑戦中。下記URLよりご支援のほどよろしくお願いいたします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?