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発達障害がわかりづらい理由

今回は発達障害がわかりづらい理由を3つ取り上げ、解説します。

発達障害に対する世間の誤解

発達障害が、理解しづらい理由の1つに、発達障害が世間に誤解されたまま広がっていることが挙げられます。

例えば、発達障害とは、あくまでASD・ADHD・SLDなどの総称を意味する言葉ですが、世間の多くの人は未だに、発達障害という名称で診断される単一の障害が存在すると思っています。当事者が「発達障害」という便利な言葉を常用することもこうなる傾向の原因だと思われます。

また、マスコミには、しばしば「大人の発達障害」という用語が登場します。ここから、"大人になって初めて発達障害になる人がいる"という誤解が生じています。

実際のところ、大多数の発達障害は先天性です。なので、大人になってから発達障害になることはまずありません。ただ、子供~学生時代には、発達障害の特性が大きな問題にならなかったのが、社会に出ると、困難をきたしたというのが実状でしょう。社会人になると、それまで不問だった主体性や臨機応変さが求められ、それらに対応できない発達障害者が世間に顕在化したのだと思われます。

発達障害用語の氾濫

発達障害は、その用語の多さでも、誤解が生まれやすいと言えます。発達症障害用語をざっと連ねてみると、

・発達障害
・神経発達症
・広汎性発達障害(PDD)
・自閉症(自閉性障害)
・高機能自閉症
・アスペルガー症候群
・特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)
・自閉スペクトラム症(ASD)
・注意欠如多動性障害(ADHD)
・限局性学習障害(SLD)
・小児期崩壊性障害
・レット症候群

など数多くあります。特に誤解されやすいのは、自閉症関連の用語です。自閉スペクトラム症(ASD)とは、「自閉症・アスペルガー症候群・特定不能の広汎性発達障害・小児期崩壊性障害」を包括した概念です。広汎性発達障害とは、この4つにレット症候群を加えたものを指します(広汎性「発達障害」とあるが、ADHD・SLDは含まれない)。

ややこしいですね。ですが、最も問題のある用語は「発達障害」かもしれません。診断基準・障害特性がともに異なるASD・ADHD・SLDを同じ「発達障害」という語でまとめることが適切なのかは甚だ疑問ですね。例えば、ADHDやSLDには、コミュニケーションの障害はありませんが、「発達障害者にはコミュニケーションの障害がある」などとよく耳にします。

しかし、個々の障害を指す言葉ではなく、あくまで総称であると割り切って使うなら、これほど便利な言葉もないこともまた事実です。

障害特性の複雑さ

発達障害はその現れ方が多様で、人の数だけ障害の出方があると言っても過言ではありません。特に、ASDとADHDの区別や併発の理解は難しいことが多いとされます。

当事者でも、ASD・ADHD特性のある部分は強くある部分は弱いといった複雑な現れ方の場合、書籍に書いてあるような教科書通りのパターンと比べるだけではよく分かりません。

では、専門家の意見が常に正しいかというとそうとも言えません。例えば、ある病院ははADHDと診断された人が、別の病院ではASDと診断されるということが起こります。また、発達障害を診ている精神科医は、元々、自閉症を専門にしている方も多く、診断がASDに偏るという説もあります。

また、発達障害の特性は性格と区別がつきづらい点もわかりづらさの一因と言えるでしょう。特に軽度の発達障害の場合、ASDのこだわりを「頑固」「几帳面」、ADHDの衝動性を「せっかち」、「短気」といった性格と区別するのは難しいと考えられます。

まとめ:発達障害がわかりづらい理由は?
①世間で誤解されているため。
②用語が氾濫しているため。
③特性の出方が多様であるため。

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