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お釈迦さまはどのようにして「ブッダ」になったのか? #1 知識ゼロからの仏教入門

お墓参りから除夜の鐘まで、私たちの生活に深く根ざしている仏教。しかし、意外と知っているようで知らないことが多いのではないでしょうか?  『知識ゼロからの仏教入門』は、お釈迦さまの一生から、仏像の楽しみ方、あの世の世界、お葬式のマナーまで、仏教にまつわる常識を完全網羅。日本人なら一度は読んでおきたい本書から、内容を一部ご紹介します。

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インドの王子さまとして生まれる

お釈迦さまは今からおよそ二千五百年前の紀元前五~四世紀に生まれたとされている。父はシャーキャ国の王。小さな国とはいえ、お釈迦さまは王子さまとして生を享けたのだ。

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シャーキャ国の都カピラヴァスツの場所についてはネパールとインドの二説がある。この「シャーキャ」という音が中国に伝わって「釈迦」と漢字で書かれるようになり、それを私たちは日本風に「お釈迦さま」と呼んでいる。

母マーヤー夫人は不思議な夢を見た。白い象が天から降りてきて右脇から胎内に入ったのだ。そして、占い師に、世にもまれな偉大な王子を身ごもったことを知らされた。

マーヤー夫人は実家に里帰りする途中、今のネパール南西部にあるルンビニー園で産気づいた。お釈迦さまは生まれるとすぐ立ち上がって七歩あゆみ、右手で天を、左手で地を指して「天上天下唯我独尊」(この世で最も尊いのは私ひとり)と宣言したとされている。

マーヤー夫人は出産後わずか七日目に亡くなり、妹のマハープラジャーパティーが養母となり、シッダールタと名付けられた王子を育てた。

父は後継者を得て喜んだ。王子は理想の帝王になる三十二の身体的な特徴を備えており、占い師たちは「武力によらず世界を支配するであろう」と予言した。

菩提樹の木の下で「目覚めた者」になる

シッダールタは菩提樹の木の下で深い瞑想に入った。さまざまな煩悩が魔物や美女に姿を変えてシッダールタの心を揺り動かそうとした。この様子は悪魔と戦う逸話として伝えられている。

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お釈迦さまの仏像に、右手の人差し指を地面につけているポーズがある。これは魔物を退散させた瞬間(降魔成道)の姿を表わしている

瞑想に入って七日目。満月の日の明け方、シッダールタはついに万物を貫く真理、すべての苦しみから解放される法則に到達した。

お釈迦さまのことを「ブッダ」と呼ぶが、サンスクリット語で「目覚めた者」という意味である。王子の身分を捨てて城を後にして六年目、三十五歳にして、真理に目覚めた「ブッダ」になったのだ。

ブッダという言葉は後に中国で「仏陀」と書かれるようになり、日本に入って「仏」と呼ばれるようになった。

さて、お釈迦さまは何を悟ったのだろうか。

「中道」「縁起」「四つの真理」などさまざまに言われている。おそらく一種の神秘体験として、すべてを瞬時に悟ったのであろう。

お釈迦さまはその後も瞑想を続けた。その真理は他人には理解しがたいものだと感じたため、当初は広めようという気はなかった。しかし、天上界の最高神・梵天(ブラフマー)に熱心に勧められ(梵天勧請)、教えを説くことを決心した。

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