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屈伏した女学生…官能小説の金字塔、衝撃の第2弾! #4 花と蛇2 涕泣の巻

緊縛、浣腸、剃毛……。義理の娘とともに、ズベ公たちによって性の奴隷となり、屈辱的な調教を受ける静子夫人。救出にきた探偵の京子もなぶられたうえ、妹の美津子までが捕らえられた。やがて、美津子の恋人とその姉が新たな餌食に……。団鬼六文学の最高傑作として、一部で高い評価を得ている『花と蛇』シリーズ。その第2作め、『花と蛇2 涕泣の巻』の冒頭をご紹介します。

*  *  *

「もうおしめなんて、贅沢なものは使わせないよ。朱美、そら、あれがどこかにあっただろう。病人の使うやつさ」

朱美が、ああ、あれかい、と笑って、部屋を出て行ったが、すぐかけもどって来て、カウンターの上に、ガラス製の横にした壺のような容器を置いた。尿瓶である。

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耳たぶまで真っ赤にして、美津子は、再び顔をカウンター台に、すりつけるようにして泣きじゃくる。

銀子の指図で、森田組の若い連中が、部屋の中央に椅子を積み重ねて、天井の梁に二本の縄を通した。二本の麻縄がゆらゆらと揺れているその下の床に、ズベ公達は、間隔をおいて、二本の短い棒を打ちこみ始める。

それを見た田代が、驚いて椅子から立ち上り、

「おいおい。部屋の床に杭なんか打ちこんで気でも狂ったのか」

と怒ったが、朱美が、

「お嬢さんがあまり強情なんでね。ちょいとばかり教育するんですよ。面白いものをお目にかけますから、今日のところは大目に見て下さいよ」

カウンター台に顔を埋めて、激しく嗚咽している美津子の、すべすべした陶器のように白い肩を銀子は、後ろから抱くようにして、

「お嬢さん、用意が出来たわよ。さあ、こっちへ、どうぞ」

魂を失った人間のように、美津子は、銀子に体を支えられるようにして、床の上を腰をかがめて歩いて行く。

天井から不気味に垂れ下っている二本の縄。そして、床の上に打ちこまれてある二本の棒杭。

ちらっとそれを見た美津子は、めまいがして、その場に膝をついてしまう。

悦子とマリが、そんな美津子の両側にしゃがんで、固く後手に縛ってある縄を解き始めた。これから、どういう事を演じさせられるか、美津子は、想像するだけで息が止まりそうだった。羞ずかしさと口惜しさで火の玉のようなものが、喉元にこみあがってくる。

縄を解かれた美津子は、本能的に両の胸を両手で固く押さえ、腿をぴったり閉じ合わせて、猿のようにちぢかんでしまう。

「さあ、元気を出して、お嬢さん」

銀子が、舌なめずりをするようにいい、悦子とマリが、死刑執行人のように美津子のしなやかな両腕を左右から、かいこむようにして立ち上らせた。

「――嫌です。お願いっ、や、やめて!」

美津子は、待ちかまえていたズベ公や、やくざ達に取り囲まれ、上から垂れている二本の縄に両手を大きく高々とあげさせられ、その各々の手首を縛りつけられてしまう。

両手首にきびしく喰いこむ縄目の痛さに、美津子は悲鳴をあげたが、吊られている両腕の附根のあたりに、真っ赤になった顔を、こすりつけつつ、すすり上げる。形のいい、ぴったりくっついた可愛い膝小僧が、思いなしか、ぶるぶる震えているようだ。

銀子が、美津子の紅潮した頬を指でつつくと、含み笑いしながらいった。

「ふふふ、どう、お嬢さん。貴女これから、皆んなの見ている前で、とんでもない事をしなきゃならないのだけど、思い直して、吉沢さんの花嫁になる気はないかい」

美津子は、嫌々と首を振る。

「――嫌ですっ、死、死んだって、そんなこと――」

銀子は、舌打ちする。

「そうかい。それなら仕方がないね。じゃ、酒の肴になってもらおうよ」

銀子は、悦子とマリに眼くばせした。

美津子の足元に身をかがめた悦子は、美津子の産毛の生えている白い脛を、パチンと平手で叩き、

「さあ、お嬢さん」

美津子は、悦子に足首を握られると、狂ったように悶え抜く。

「往生ぎわの悪い事では、姉の京子とそっくりだね。吉沢の兄さんに満座の中でヒジテツを喰わす度胸があるんじゃないか。何も今更、羞ずかしがる事はないよ」

マリは、そういって、見ている連中に応援を頼む。

「――やめてっ、嫌っ。ああ――お姉さん」

美津子は、かっと頭に血がのぼり、逆上したように悶えたが、どうしようもない。すらりとした両肢は、打ちこまれてある杭に、がっちりと足首を、つなぎ止められてしまった。

「お嬢さん。そういう恰好をね。どうでもして頂戴スタイルというのよ」

銀子が、楽しくてたまらぬような口ぶりでいった。

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美津子の屈伏

美津子の肉体を痛めつけるというのは、本心ではなく、美津子の心の底からの屈伏を狙っているズベ公達は、眼にしみるばかりの白い素肌を、しばらくは黙って凝視する。

輝くばかりに綺麗な白磁の裸身をX形に縄で固定されてしまった美津子。もう流す涙も涸れ果てたように、がっくり首を垂れ、切なく肩で息づいていた。

そんな美津子の周囲を、美津子の肉体を綿密に観察するように、ぐるぐる廻り歩く銀子と朱美である。

「どうだい、お嬢さん。そんな恰好にされても、吉沢兄貴のスケになるのは嫌かい。考え直すなら、今のうちだよ」

朱美は、柔らかい白桃の様にふっくら盛りあがっている美津子の尻をつねっていった。

美津子は悲鳴をあげて、裸身を悶えさす。

「仕方がないね。じゃ、まず、擽り責めといこうか」

銀子が、仲間のズベ公達に眼くばせした。

「あっ、な、何をするのっ、やめて!」

美津子は、狂乱したように吊り上げられている両手を悶えさせる。背後にいた朱美が、いきなり、後ろから美津子の胸をかかえこむように手を廻し、ふっくらとした胸の二つの隆起を両手でつかんだのである。

「あたいの得意な乳房責めよ。形のいいおっぱいに仕上げてあげるわ」

朱美は両手を動かしながら得意顔でいう。

「お、お願い! かんにんしてえ!」

美津子は、朱美の残忍な乳房責めに、逆上し、悲鳴をあげて悶えつづける。無垢な乙女にとって、何よりも辛い責めだ。

「今からでも遅くないわよ。吉沢兄貴のスケになる決心をしな。皆の見ている前で、これ以上、恥ずかしい思いはしたくないだろう」

朱美は、責めの手は休める事なく、後ろから美津子の耳元に口を寄せ、そういうのだった。

「――ああ――」

美津子は、歯をキリキリ噛み鳴らし、美しい眉を寄せ、白い喉を大きく見せて、あえぎつづける。

「お手伝いしましょうかね」

悦子とマリが、ニヤニヤし、朱美と調子を合わせるようにして、大きく波打つ美津子の肌のあちこちを擽り出そうとするに及んで、遂に美津子は、

「――聞きますっ。言う事を、聞、聞きますから――お願い。やめて――」

美しい美津子の額には、べっとり脂汗がにじんでいる。ハアハアと激しく肩で息をしながら、美津子はズベ公達の執拗な擽り責めに抗し切れず、彼女達の要求を承認したのだ。

「ほんとだね。吉沢さんの花嫁になる決心がついたんだね」

朱美は、やっと、乳房や脇腹の擽り責めを中止し、前へ廻って美津子に念を押す。

顔を伏せながら、美津子は、屈辱にむせびつつ、小さくうなずいた、が、同時に、美津子は堰をきったように、激しく身をふるわせて泣き出すのであった。

ズベ公もやくざ達も、どっと賑やかな歓声をあげる。

「よかったね、吉沢さん。こんな可愛いお嬢さんを花嫁に出来てさ」

銀子は、椅子に坐って、やたらにウイスキーを飲みつづけている、吉沢の肩を叩いていった。

「お前達が、その娘をこれから、どういう風に責めるのか、もう少し見物したかったのが、残念だったな」

吉沢は、いささか照れ臭そうな表情で、そんな事をいった。

「ちゃんと、美津子に宣誓させようよ」

朱美が銀子に持ちかける。そうだね、と銀子は、悦子やマリを呼んで、あられもない姿にされている美津子を取り巻いた。吉沢のスケになる事を承知した美津子に吉沢の前で宣誓させるべく、その要領を教えにかかっているらしい。

吉沢は、一応、親分の森田の了解を得る必要があるので、改めて、森田にそのことの承諾を求める。

「うん、うめえ事をしたな。だが、その娘も森田組の商品だって事を忘れるな。自分のスケにするのはいいが、森田組のため、うんと働くよう、お前からも、よくいって聞かせなきゃ、駄目だぜ」

森田は、吉沢にウイスキーのグラスを渡してやりながら、えびす顔で、そういった。

「へえ、俺のスケにするからにゃ、今までのような事はさせません。任せておくんなせえ」

そう吉沢がいった時、銀子が吉沢を物陰に呼んだ。

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花と蛇2 涕泣の巻

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