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人間関係を維持するには「リテンションマトリクス」を使え #5 仕事の速い人は150字で資料を作り3分でプレゼンする。

プレゼンのうまい人は、何文字で資料をつくり、何分喋るのか? 文章がうまい人は、一つの文章にメッセージをいくつ入れるのか? 営業がうまい人は、一ヶ月に何回顧客に会いに行くのか? テレビでもおなじみのコンサルタント、坂口孝則さんの『仕事の速い人は150字で資料を作り3分でプレゼンする。』は、あらゆる角度から「数」で仕事をとらえ直したまったく新しい仕事の本。ムダなく、ミスなく、いつも結果を出す人になれる、そんな本書の中身をご紹介します。

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会った事実と回数を重視する

かつて「少年ジャンプ」が栄華を誇っていたころの名編集長である堀江信彦さんは、ウケるマンガの特徴として、1回の連載あたり「100コマ以上」あることだと指摘した。はじめてこの話を聴いたときの衝撃は忘れられない。

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マンガなんてものは感性の商品だと思っていた。なのに、なんと、コマ数が重要なの?

1回の連載は約20ページ。だから、100コマを書こうと思えば、1ページあたり5コマ。見開きぶちぬきで書いたら、100コマにはとてもじゃないけどいたらない。

なぜ100コマが必要か。それだけコマを重ねないと、深みが出ず、かつストーリーが真実味をもちえないからだ。それに、人間はキャラクターに出「会う」ほど親近感を抱く……。なるほど、マンガすらも定量的に管理できるのか!

この章最後のテーマは、人間関係継続の技術だ。堀江さんは100コマといったけれど、人間関係継続のための16コマを塗りつぶす方法をお話しする。

これはリテンションマネジメントとも呼ばれるものだ。リテンションとは、関係の継続維持のこと。それを管理するわけ。あらためていうと、本書のテーマは仕事術だから、会社と会社の関係を維持継続する方法を述べたうえで、個人の人間関係維持継続について補足する。

ではどうやって、会社間の人間関係を継続できるだろうか。リテンションマネジメントでは、なによりレイヤー間の面談を重視する。レイヤーとは、役職を指す。しかるべき役職者が、先方のしかるべき役職者に会って面談しているか。その事実を重視するのだ。

面談の質じゃない。会話の中身じゃない。会った事実が重要なんだ。そのためのツールがリテンションマトリクスだ。

これはだいぶ古くさい考えと思われるかもしれない。だって、スマートじゃないし、理論的・論理的でもない。ご挨拶に伺って雑談するだけなんて、なにか旧日本的な「しがらみ営業」みたいじゃないか。

でも、リテンションマネジメントでは、それでいい。何度もいうとおり、面談の事実と回数を重視するからだ。

リテンションマトリクスの使い方

たとえば、読者が恒常的に50社の取引先とつきあっているとする。それなら、年度初めにこのリテンションマトリクス50枚を用意するんだ。

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そして、面談をするたび、マスに○をつけて色を塗っていこう。「正」の字を書いていってもよい。

たとえば、こんな場合があるかもしれない。

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この状況では、先方の上役(先方本部長)に会えていない。だから、トップ間の情報交換不足といえる。

あるいはこんな場合があるだろう。

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この場合は、自社の本部長が出不精のひとなのか、自社トップの意向を先方に伝えていない。おなじく、トップ間の情報交換不足だ。

このように見える化すると、どこの取引先と面談が不足しているか一目瞭然だ。担当者は1年が終わるまでに、しかるべき役職者間の面談をセッティングする必要がある。馬鹿らしいけれど、これが両社の関係を維持する肝要だからだ。

ぼくがかつて働いていた会社では、リテンションマトリクスをエクセルで管理していた。1年が終わるころに塗りつぶされていない取引先があったら、ツアーのようにまとめて訪問した。

その出張は、飲み会続きの「遊び」だったけれど、いまになって思えば両社の関係強化に寄与していた。考えてみるに、トップ間の仲がよかったから助けられた経験は一度や二度ではない

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