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親の財布が「小銭でいっぱい」だったら認知症を疑いなさい #4 70歳の正解

今年、発表した著書『80歳の壁』が大ベストセラーとなっている、精神科医の和田秀樹さん。この夏、待望の続編にあたる『70歳の正解』が発売となりました。健康のこと、お金のこと、人間関係のこと……。70歳でやっておくこと、やめていいことが、この一冊でわかります。本書の教えをいくつかご紹介しますので、すでに70歳の方も、これから70歳になる方も、ぜひ実践してみてください!

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早期に手を打てば進行を遅らせられる

私は「現代の親孝行とは、親をボケさせないこと」(正確にはボケるのをなるべく遅らせること)だと思っています。そして、それは、自分のためでもあります。

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とにかく、親や配偶者が認知症になると、いろいろと大変です。そのために仕事を辞めたり、余暇の大半を奪われることにもなりかねません。

ただ、認知症はある程度は予防できるうえ、早期に手を打てば、進行を遅らせることのできる病気です。

他人は、認知症の進行に気づいていても、教えてくれたり、手を打ったりはしてくれないもの。いちはやく、家族の認知症の進行に気づき、適切な手段を講じるのは、子供、あるいは連れ合いとしての役目であり、また双方の人生を守るために必要なことなのです。

では、親や配偶者にどのような症状が現れたら、認知症を疑えばいいのか?

まずは、彼らの財布の中身を調べてみましょう。といっても、問題は金額の多寡ではなく、財布の中の小銭の数です。認知症の人の財布は「小銭でいっぱい」というケースが多いのです。

認知症が始まると、現在のモノの値段が、よくわからなくなります。菓子パンひとつ買うにしても、100円玉ひとつ出すだけでは、「これでは足りませんよ」といわれるかもしれない。そこで、認知症の人は1000円札を出すので、財布が釣り銭で小銭だらけになるというわけです。

「家族に敬語を使う」のも認知症の兆候

人間の脳は本当によくできていて、認知症が始まっていても、そのことをごまかそうとする意欲や能力は残っています。そこで、値段がわからなくなっていることを隠すため、安価な買い物でも1000円札や1万円札を出してお釣りをもらう。

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そうすれば、自分のボケをごまかせるからです

むろん、そういう症状が出ている人は、次の買い物でも小銭を使いません。財布が小銭でパンパンでも、またお札を出す。そうして、財布が硬貨で溢れかえることになるのです。

また、「買い置きがやたらと増える」のも、認知症の初期症状のひとつです。その品を買ったことを忘れて、また買ってきてしまうので、“在庫”が増えることになるのです。引き出しが、好物のお菓子で一杯になっているようなときは、初期の認知症を疑ったほうがいいでしょう。

また、「家族に対して、敬語を使う」のも、認知症の典型的な症状です。認知症が進むと、自分の息子に対しても敬語を使うようなケースが増えるのです。

それは、危機回避能力を“発揮”した結果ともいえる症状です。相手がどんな人物かよくわからなくなっているので、失礼になる危険を回避するため、敬語を使うのです。

そのような症状から、「認知症が始まった」「認知症が進んでいる」と感じたときには、なんとか説得して病院に連れていくことです。

認知症の診断・治療を受けられるのは、脳神経外科、神経内科、老年科、物忘れ外来などです。くわしくは、地域の拠点病院で相談してみるといいでしょう。

そこで、認知症テスト、頭部CT、頭部MRI、脳シンチグラフィなどの検査を受けた後、治療が始まることになります。それ以上に大切な介護保険の利用ですが、これに医師の意見書が書けるのです。

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70歳の正解 和田秀樹

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