ポートランドにて醸造_シエラ醸造会社

両足だからビビる、まずは片足だけ┃整形アイドル轟ちゃん

つまらない人生より面白い人生がいいと思うなら、まずは片足をいろんなものに突っ込んでみてほしい。

真面目な人ほど中途半端に始めることに嫌悪感があったり、「どうせやるならちゃんとやりたい」と準備に時間をかけてしまう。 
でも、入念な準備をしている間に、人生の時間はどんどん過ぎ去っていく。まず、今すぐにできることを探して、とにかく一歩踏み出せば、立ち止まっていては得られない何かがある。

私は色々なことに挑戦しては、挫折してきた。どれも中途半端に終えてしまって、何かに熱中しては冷めて放り出してきた。

「長続きしないダメ人間」なのかもしれないけれど、行動力には自信があり、「やりたい」と思ったら居ても立ってもいられない。

私が大学卒業後に就職先に選んだのは、ベンチャー企業。文学部だったので、同級生はだいたい大手の金融系に進んだり、教員免許を取ったりしていたが、私は「え、何でそこ?」と言われるような小さな会社に、大手の会社からの内定を蹴って入社した。

なぜなら、新しい業種で面白そうだったし自分の力を試してみたかったから。周りには「大手の方が、安定しているし給料もいいよ?」と言われたが、私は会社に人生をかける気などハナからなかったし、一度は見てみたい世界にチャレンジしようと思った。

大学3年生の3月には内定が出ていたので、そこからの1年研修を受けたり、合宿に行ったりして、翌年の4月に入社した。

入社初日から薄々気付いていたが、とんでもないブラック会社だった。
社員の始発出勤、終電退社は当たり前で、もちろん残業代などない。業績をあげても昇給もボーナスもない。皆が自社の製品を買い、そのローンで辞められない。
人情と洗脳だけで成り立っているような会社だった。

内定者の中で唯一1人暮らしだった私は、安月給では生活していけないと思い、社長に直々に「募集要項と違う」と文句を言い、もともとの条件であった家賃補助を出して貰うよう申し立てたが、それを見た先輩たちは私を白い目で見た。

こんな会社にはいられない。
そう思い、私は会社を辞めた。それを見て、「だから言ったのに」と得意気に言ってきた友達もいた。

私は社会人一発目で、すでに失敗した。
「やっちゃったなぁ」とは思ったけれど、外から見た景色からではわからないこともある。入社前は本当にいい会社に映ったのだ。
1人ひとりがきらきら活躍していてやりがいもあって、ベンチャーならではの上司との距離の近さがあった。

ここでなら、自分らしく働ける。そう思った。
会社説明会で「うちの会社は良いですよ〜」と話していた社員も、私たちが入社した後辞めていった。

「他の会社を選んでいれば」と正直凹んだこともあった。
でも、新卒で入った会社がもし自分に合っていたら、私がYouTuberになることなどなかったかもしれない。

片足を突っ込んで、憧れの世界を見られて、ろくでもないところだと知って、他の世界を見に行こうという意欲が湧いた。

別にやり直せないことではなかったし、今は全く違う職種でこうして頑張っている。
「何かを始めたい」と思った時、「でも時間が……」とか「上手くいくかわからないし……」とか、理由を付けて諦めてしまう人も多いけど、もったいないと思う。
 
初めからどっぷり浸かろうとする必要なんてない。上手くいかなければいけないわけでもない。

「ダイエットしたい」と思うならジムの情報を検索する前に、今すぐスクワットをしたらいい。したい仕事があるなら正社員になるために勉強する前に、その業種に近いアルバイトをしてみたらいい。

人生を賭ける気で両足を突っ込もうとするから疲れるのだ。私がそうだったように、触れてみないとわからないこともたくさんある。取り戻せないなんてことはないのだから、失敗したっていい。

新しいことに挑戦するのはしんどい。お金もかかるし、疎外感もあるし、とても勇気がいる。0から1に持っていく作業が一番大変なのだ。でもこの「1」をたくさん増やしておくと、将来「2」「3」と成長していくかもしれない。

だから、0のまま置いておくよりも「やりたい」と思ったものはたとえ中途半端になろうとやっておいた方がいい。「1」の弾をたくさ持っておくと、その中からその都度好きなものを選んでいつでも成長させることができる。

それをきっかけに人生が豊かになるかもしれないし、危機を乗り越える武器にもなるかもしれない。0に何をかけても0だが、1はかける数によっては無限大だ。

バイキングと同じで、美味しそうだからといって一つの料理をてんこ盛りに持ってくるのではなく、ちょっとずつつまみ食いして、美味しいものが見つかったらたらふく食べればいい。

並んでいるお皿の前を行ったり来たりして、味もわからないうちから「食べたいけど美味しくないかもしれないし……」と逐一怖気づいていてはもったいない。

食べたいものが目の前にあるのなら、とりあえず一口食べるべきた。

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12月19日発売
イラスト@おさかなゼリー

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