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メンタルを保つには「やらなきゃいけないこと」を増やさない #2 ウチダメンタル

日本を代表するプロサッカー選手として、一時代を築いた内田篤人さん。引退後、初めて発表した本が『ウチダメンタル 心の幹を太くする術』です。本書では、重圧やケガと長年向き合ってきた内田さんがこれまで実践してきた「メンタル統制メソッド」を初公開。仕事や勉強、人間関係など、日常生活にも役立つこと間違いありません。ファンはもちろん、そうでない方もぜひご覧ください!

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ルーティンで逆にしんどくなる


振れ幅を減らすために、「やること」を増やしちゃう人がいる。

ルーティンを作ったり、すっごい丁寧に準備をしたり、食事や睡眠に気をつけたり……心を整えようとしちゃう。
 
それって、逆にしんどくないのかな、って思っていた。
 
僕は、振れ幅を少なくするために、やらないこと、適当さを身につけることが一番大事だと思っている。
 
現役中、寝る時間を決めたことがない。ソファーでゲームをしながら寝落ちしちゃうなんてこともざらにあった。(吉田)麻也とかは「絶対それを直せ」ってよく言ってたな。食事も同じ感覚だった。これも麻也に言われた。「ちゃんとしろ」って。
 
もちろん、最低限のラインはあったよ。栄養だって完全に無頓着ってわけじゃない。でも、だからってちゃんと寝て、食事はしっかり考えて、っていう枠にはまりすぎたくなかった
 
プロフェッショナルとしてそれじゃだめ、って言われるかもしれないけれど、僕はそうやって決めないことでストレスを感じないメリットがあった。むしろ、決めすぎることのほうがきつかった。
 
さっきも書いたけど、大事なのは試合に勝つか負けるかだ。それは試合になってみないとわからない。結局、コントロールができない。じゃあ、無理にルールを決める必要はないし、自分にとって一番、試合にモチベーション高く臨める方法でいく。
 
実際、それで十分であることは何度も実感してきた。

眠れないときはこう考える


試合前、特にそれが大一番だったりすると眠れないことはざらにあった。じゃあ、その翌日の試合でプレーがどうだったかというと、正直あまり関係なかった。

眠れなかった次の日の試合で最高のパフォーマンスが発揮できたり、よく寝られたのに全然だめだったり。極端な例だけど、そういうことを何回も経験して、「気にしないほうが、自分に合っている」――心の振れ幅を少なくできる、と思った。

睡眠に関しては多くのアスリートが、何かしら課題を持っていると思う。試合前後はなかなか寝つけない。睡眠薬を使っている人も多い。もちろん睡眠は大事だから適度にしっかりとるほうがいいんだろうけど、コントロールできないものでもある。

コントロールできないのに、「昨日、寝られなかった、ヤバい」とか「全然、寝つけないぞ、困った」みたいな感覚に陥りやすい。心の振れ幅が大きい人の特徴だ。
 
だから僕はこう考えていた。
 
「よし、ちゃんと緊張してるじゃん」
 
寝られない、寝られなかった。試合に向けて準備できてるじゃん、と。
 
だから無理をして寝ようとか思わないし、そもそも寝なきゃいけない、とかこうしなきゃいけない、みたいなストレスを感じない方法をとるようにしていた。
 
それが心の振れ幅を保つときに役立ったのは確かだ。
 
結局「こうしなきゃいけない」って決めすぎちゃうと、ブレたときの振れ幅が大きくなってしまう。自分なりの保ち方を検証することが必要だと思う。

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