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「死んだらどうなるの?」お釈迦さまはこう答えた! #3 知識ゼロからの仏教入門

お墓参りから除夜の鐘まで、私たちの生活に深く根ざしている仏教。しかし、意外と知っているようで知らないことが多いのではないでしょうか?  『知識ゼロからの仏教入門』は、お釈迦さまの一生から、仏像の楽しみ方、あの世の世界、お葬式のマナーまで、仏教にまつわる常識を完全網羅。日本人なら一度は読んでおきたい本書から、内容を一部ご紹介します。

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「死後の世界」はどうなっている?

死んだらどうなるの? ――誰もが一度は悩んだことがあるだろう。

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仏教が生まれた頃、インドには「輪廻」の考え方が根づいていた。死んだら、また何かに生まれ変わってこの世に戻ってくる。仏教も基本的にはこの考え方を受け継いだ。

人が死ぬと、まず「中陰」と呼ばれる状態に入る。ここで生前の行ないによって、次にどんな世界に生まれ変わるかが決まる。人間に生まれ変わるとは限らない。天道から地獄道まで六つの世界に振り分ける裁判官が、かの有名な閻魔大王だ。

中陰は四十九日間とされ、日本では「冥土」と呼ばれる。「三途の川」を渡った後、着物の重さによって生前の罪が秤にかけられる――といったストーリーは日本独自のものだ。

何に生まれるにせよ、仏教では「この世」は苦界と考える。何度も生まれ変わって少しずつ良い行ないを積み重ね、いずれは輪廻から抜け出す、つまり「解脱」するのが理想だ。

さて、お釈迦さま自身はどう考えていたのか。

「死んだらどうなる?」「世界に果てはあるの?」といった質問をするマールンクヤという弟子に対してこう答えた――「毒矢が刺さったら、あれこれ考える前に、まず矢を抜かねばならない」。つまり、答えが得られないことで思い悩まずに、この世で今できることを考えよ、というわけだ。

次は何に生まれ変わる?

この世に生を享けた私たちは、悟りの境地に至らない限り、何度も何度も生まれ変わりながら六つの世界をぐるぐると巡っている。

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最も辛いのが地獄道だ。罪深い者たちが八つの地獄で絶え間ない責め苦を受ける。餓鬼道は、欲望の強すぎる者が生まれ変わる、飢えと渇きに支配された世界。とどまることなく欲望が湧き起こるのに決して満たされないという責め苦を受ける。

人間以外の動物の世界が畜生道。常に命の危険にさらされ、生きていくのが精一杯で、仏の言葉に耳を傾けることもできない。

修羅道では嫉妬に燃えた阿修羅たちが、天道の神々を相手にむなしい戦いを続けている。修羅の世界には、あらゆる望みをかなえる如意樹が生えているが、たわわに宝珠が実る枝は神々の世界に茂り、修羅の世界には根と幹しかない。

私たちが住むのは人間の世界、人道だ。苦しみに満ちているとはいえ、仏の教えを受けるチャンスに恵まれた唯一の世界である。

四天王に守られた神々の世界である天道は、幸福と快楽に満ちている。人の何万倍も長生きできるが、いつかは寿命がやってきて、また輪廻を繰り返すことになる。

よい行ないを積み重ねて輪廻の繰り返しを抜け出さない限り、苦しみは続くのだ。

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