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人生は「四苦八苦」…お釈迦さまが明らかにしたこの世のしくみ #2 知識ゼロからの仏教入門

お墓参りから除夜の鐘まで、私たちの生活に深く根ざしている仏教。しかし、意外と知っているようで知らないことが多いのではないでしょうか?  『知識ゼロからの仏教入門』は、お釈迦さまの一生から、仏像の楽しみ方、あの世の世界、お葬式のマナーまで、仏教にまつわる常識を完全網羅。日本人なら一度は読んでおきたい本書から、内容を一部ご紹介します。

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私たちはどんな世界に生きているのか?

お釈迦さまはさまざまな教えを残し、それを後生の僧侶らが解釈して色々な名前をつけてくれた。いったん中国を経由しているために漢字ばかりになってはいるが、漢字ならではのわかりやすいキーワードも生み出された。

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それぞれのキーワードの話に入る前に、お釈迦さまが明らかにしたこの世の仕組みを大雑把に見ておこう。

まず、お釈迦さまが修行の道を志した原因となったのは、人間に生まれたからには誰もが避けられない「生老病死」の苦しみだ。

この苦しみをなくすためには、苦の原因を知らなければならない。その原因とは、人間のさまざまな欲望である。

では、人間がなぜ欲望にとらわれるのかといえば、この世のすべてが移ろい変わっていくもの(無常)であるということを知らないからだ。この状態を「無明」と呼ぶ。

根本の原因である無明から脱するための道筋と心構えをお釈迦さまは説いた。それは肉体を痛めつけるような苦行ではなく、正しい行ないや正しい言葉、そして正しい瞑想である。

これを実際にどのような方法で行なうかについては人それぞれ。お釈迦さまも相手に合わせて説いたし、その後創出された多くのノウハウが現在の多様な仏教につながっていると言える。

人生は思い通りにならない

お釈迦さまを修行へと駆り立てた、すべての出発点は「苦」であった。

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生まれること、老いること、病むこと、死ぬことは、決して自分の思い通りにはならない。「生老病死」の四つの苦からは、誰も逃れることができないのだ。

「生」は「生きる苦しみ」ではなく、「生まれる苦」である。どんな姿でどんな環境に生まれてくるかは、思い通りにはならない。身分制度が厳格だったインドでは、特に重要なことであった。

お釈迦さまは「初転法輪」の際、この「四苦」に「愛別離苦」「怨憎会苦」「求不得苦」「五蘊盛苦」を加えて「八苦」とした。

愛別離苦――どんなに愛する人でも、別れは必ずやってくる。

怨憎会苦――恨みや憎しみを抱いていても、会わなければならない。

求不得苦――物であれ地位であれ、求めても望み通りには得られない。

五蘊盛苦――心も体も五蘊(色・受・想・行・識)から構成され、煩悩を生じるもととなり、自分の思い通りにはならない。

これらを合わせて「四苦八苦」という。

この世はすべて苦であること(一切皆苦)をまず受け止め、苦を生み出している原因を探ることが、苦を乗り越える唯一の道であるとした。

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