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「行動目標」「成果目標」はもう古い! これからのチームは「意義目標」を設定せよ #1 THE TEAM

あらゆる仕事に求められる「チームワーク」。みなさんの会社・部署は、強く、合理的で、なおかつメンバーみんなが幸せになれるチームでしょうか? もし疑問符がつくならば、こちらの『THE TEAM』を手にとってみてください。著者は、経営コンサルタントで、リンクアンドモチベーション取締役の麻野耕司さん。チームづくりのプロが教える「5つの法則」の一端を、特別にご紹介します。

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時代によって目標は変わる

ビジネスにおける目標設定は、行動目標→成果目標→意義目標と、時代と共に重視される目標が変化してきました。

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かつての高度経済成長期の日本においては、各企業におけるビジネスの勝ちパターンはさほど変化することはありませんでした。多くの企業が「安くて良いものを速くつくって届ける」という勝ちパターンに基づき、「予め定められた行動をしっかりと遂行するチーム」をつくることが大切でした。よって、行動目標が重視されたのです。

しかし、ビジネス環境の変化スピードが速くなる中で、行動目標に基づく評価だけではパフォーマンスが上がりにくくなってきます。何故ならば、一度成功した勝ちパターンが陳腐化するのが速い状況においては、チームやメンバーが取るべき行動も刻一刻と変わってくるからです。

そんな中で1990年代以降の日本で普及したのが成果目標に基づく「MBO」でした。MBOはManagement By Objectivesの略称です。MBOでは、チームごとの成果目標を各メンバーにブレイクダウンしていきます。成果目標はできる限り定量的に設定され、評価は期末時点の成果目標の達成度合いによって決まります。

これにより、成果を創出するためにどんな行動を取るか、というのは個人の自己責任による部分が大きくなりました。成果を創出するために必要な行動をメンバー自らが考えることにより、ビジネス環境の変化にも対応できるチームが生まれてきました。

しかし、昨今のビジネス環境の変化スピードは更に速くなってきています。企業によっては、チームで設定していた成果目標が、半年や一年の中で効果的でなくなることもあり得る時代になってきました。

そして今、普及し出しているのが意義目標に基づく「OKR」です。OKRはObjectives and Key Resultsの略称です。世界的な半導体企業であるインテルのかつてのCEO、アンディ・グローブが生み出したと言われるOKRは、シリコンバレーのインターネット企業や日本の一部のインターネット企業が導入しています。

OKRにおいては、「Key Results=創出すべき成果」と共に、その先にある「Objectives=実現すべき目的や意義」まで含めて目標設定します。Key Results(創出すべき成果)にはチームの成果目標を、Objectives(実現すべき目的)には成果目標の先にあるチームの意義目標を設定します

OKRにおいて最も大切なのは「Objectives(実現すべき目的)」、つまりは意義目標であり、「Objectives(実現すべき目的/意義目標)」の実現に効果的だと判断されれば、「Key Results(創出すべき成果/成果目標)」を変更することも可能です。

ビジネス環境の変化が激しい現代では、各チームが意義や目的に立ち返り、時に成果目標の観点や水準を見直さなければいけないのです。

「作業」と「数字」の奴隷になるな

チームに行動目標しか設定されていなければ、時にメンバーは「作業」の奴隷になります。チームに成果目標しか設定されていなければ、時にメンバーは「数字」の奴隷になります。しかし、多くのチームが意義目標の重要性を十分に認識していません。

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意義目標を設定することによって、メンバーは自らの生むべき成果や取るべき行動について、意思を持つことができます。「何をやるべきか?」だけでなく「何故やるべきか?」が分かれば、新たな「何をやるべきか?」が見つかるからです。

例えばあなたがビールメーカーの営業チームに所属していたとします。チームの成果目標は売上1000万円です。売上1000万円という成果目標だけであれば、どの量販店や飲食店に何回訪問する、などの行動しか生まれないかもしれません。

そこに自分たちで意義目標を加えて下さい。ビールの販売を通じてエンドユーザーに提供したい価値が「幸せな食事の時間を届ける」ということであれば、それをそのまま意義目標にしても良いでしょう。

そうすると、量販店に対して、エンドユーザーに向けてビールの美味しい飲み方を紹介するポップ(店頭広告)をメンバーたちが提案しだすかもしれません。また、飲食店に向けてビールに合う季節の料理をメニュー化することを提案するかもしれません。

意義目標はこうしたブレイクスルーを生み出すきっかけとなるのです。

今の時代は、チームが何のために存在し、どんな影響を与えていくべきなのかという意義目標をすべてのメンバーが意識し、自発的に行動し、成果をあげるチームづくりが求められています。

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THE TEAM 麻野耕司

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