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白い裸身を震わせて…官能小説の金字塔、衝撃の第2弾! #3 花と蛇2 涕泣の巻

緊縛、浣腸、剃毛……。義理の娘とともに、ズベ公たちによって性の奴隷となり、屈辱的な調教を受ける静子夫人。救出にきた探偵の京子もなぶられたうえ、妹の美津子までが捕らえられた。やがて、美津子の恋人とその姉が新たな餌食に……。団鬼六文学の最高傑作として、一部で高い評価を得ている『花と蛇』シリーズ。その第2作め、『花と蛇2 涕泣の巻』の冒頭をご紹介します。

*  *  *

狂乱の美津子

花模様の青い絨毯の敷かれた明るい部屋、そこは田代の邸の中の豪華なホーム酒場だ。十人ばかり坐れるスタンドが作られてあり、スタンド椅子にぎっしり坐っている森田組の若い連中に、カウンターの中に入ってズベ公達が壁の棚の洋酒をサービスしている。部屋の隅にあるテーブルには、田代と森田が向かい合い、メモを書いて何か話し合っているが、秘密ショーを開く時期や接待する客の打ち合わせであろう。

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やくざ達とズベ公達は、賑々しく盃のやりとりをし、異様な熱気が部屋全体に充満してきたが、その時、ドアが開いて、悦子が、姐さん、いるかい、と入って来た。

やくざ達の間に交って、スタンドの中央に女王然として坐っている銀子が、何だい、悦子、と酒に濁った眼を向ける。

「姐さん。美津子の奴ったら、全く強情なんだよ。せっかくしてやったおしめを使って用をたそうとしないんだ。少し、生意気だよ。ちょっとばかり、ヤキを入れてやって下さいよ」

悦子は、そういうと、廊下の方へ向かって、

「マリ、その娘、こっちへしょっぴいておいで」

外の廊下で、お願いです、許して、と美津子の悲鳴が聞こえる。野卑な愚連隊とズベ公達が酒を飲み合っているそんな場所へ、あられもない姿で、引っぱり出されようとしている美津子の必死の、あがきが聞こえてくる。

「何をしてるんだよ。おいでったら!」

マリのヒステリックな声、と同時に、マリにどんどんと背を突かれたらしい美津子が、倒れ落ちそうに部屋の中へ入って来た。

身に許されているものは、ピンクの褌一つというあられもない姿を、ひしひしと麻縄で緊縛されている美津子は、酒に濁った男女の眼に射すくめられたように、その場にちぢかんでしまう。そんな美津子の縄尻を後ろから、ひったくるように取ったマリは、強引に美津子を立ち上らせ、スタンドに坐る銀子の傍まで押し立てた。

「お嬢さんの褌姿って、全くよく似合うぜ。ふるいつきたいぐらい可愛いじゃねえか」

やくざ達は口々にそういい、ニヤニヤしながら、近づいて来る。

マリに縄尻を取られ、銀子の前に立たされている美津子は、体中を火の玉のように赤らめ、美しい顔を横に伏せ、血の出るほど固く唇を噛みしめている。

銀子は、底意地の悪い眼つきで、美津子の腰のあたりに眼を落とす。

「なるほどね。おしめを使うのは、嫌なようね。じゃ、いいわ。必要でないものを、していたってしかたがない。脱がせておしまい」

銀子は、悦子とマリにいった。

あいよ、と二人のズベ公が、ガムを噛みながら、結び目に手をかける。

「――か、かんにんして!」

美津子は、悲鳴をあげて、その場にうずくまってしまった。その上へ、のしかかっていく、悦子とマリ。

銀子は、自分の足元で、バタバタやっている三人を面白そうに眺めながら、ビールを飲みつづける。

「ふふふ、お嬢さん。そんな褌でも、ないよりはましなようね」

銀子が声をたてて笑うと、髪の毛をくしゃくしゃにしたマリと悦子が、ハアハア息をはずませて立ち上り、銀子の前のスタンド台に椅子を引き寄せて腰を置く。

「全く、手のかかる娘だよ」

悦子とマリは、コップに注がれたビールを一息に飲み干し、足元にうずくまり、激しく泣きじゃくっている美津子の尻を、憎々しげに蹴る。銀子は、二人をなだめて、

「手荒にしちゃ、いけないよ。商売ものじゃないか」

そして、椅子から降りた銀子は、床に泣き伏している美津子の、すべすべした両肩に手をかけて、抱き起こす。

「さあ、お嬢さん。この椅子に、お坐りするのよ」

スタンドの止まり木型になっている椅子へ、美津子は、ズベ公達に支えられるようにして坐らされる。

「たまらねえ眺めだな」

背後で、そんな光景を酒を飲みつつ眺めるやくざ達は、陶然としていうのだった。

丸い平たい背のない椅子へ、絹餅のような美津子の尻がぺたりと乗っかっている。美津子のなめらかな背の中頃にある、痛々しく後手にくくり上げられた可憐な手首が、妙に艶めかしく見えるのだ。

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「お嬢さん。ビールがいい、それとも、ウイスキーにする?」

銀子は、唇を噛んで、首を深く垂れている美津子の黒々とした髪を、手でいじりながらいう。

「姐さん。何もそんなに優しくしなくたっていいじゃないか。おしめを使おうとしないこの娘の強情さを、叩き直そうじゃありませんか」

悦子は、口をとがらせて、そういった。

「まあ、そうあわてなくてもいいよ。お前だって、このお嬢さんのセーラー服をちゃっかり頂戴したんじゃないか。あまり、そういじめてやるもんじゃないよ」

悦子のコップにビールを注いでやりながらそういった団長の銀子が、そんな風に嬲りものにする娘に対して優しく出る時は、嵐の前の静けさで、より一層の残忍さを発揮する時であり、悦子も、それを呑みこんで、顔をくずし、コップのビールをうまそうに飲み出す。

「ところで、お嬢さん。貴女も、森田組の商品になったのだから、そう何時までも、我儘を通してもらっちゃ困るのよ。そこで、考えたのだけどね、貴女に、いいお婿さんを、お世話してあげようと思うの。十八といえばもうそろそろ、花嫁になっても、いい年頃じゃないの」

銀子は、美津子の美しい横顔を眺めながらそんな事をいい出した。かなり酩酊した朱美が、割りこんで来て、美津子の雪のように白い肩に手をかけ、酒臭い息を吐きながら、

「そうよ。あんただって、男を知っちまえばもっと素直になって、葉桜団や森田組のために働く気になるわよ」

美津子は激しく首を振る。

「一応、お見合いだけでもしてみたら」

銀子は含み笑いして、美津子のすぐうしろに立って、ニヤニヤしている吉沢を呼び、席を開けて美津子の隣に坐らせる。

ちらと吉沢を見た美津子は、反射的に顔をそむけ、石のように身体を硬くする。忘れもしない、昨日、不良少年達に残忍な強制浣腸を受けた自分をからかいつづけ、そのあと、姉の京子にむごたらしい浣腸をほどこした、毒蛇のように恐ろしい男なのだ。

屈辱と憤怒に、肌身を、わなわなふるわせている美津子に、銀子は煙草を吐きかけながら、

「この人はね、森田組の幹部なんだよ。貴女のような初心な女学生が、とても好きだとおっしゃるのさ。今朝から、私達にね、貴女との間を、とりもってくれ、と何度も頼みに来てるのさ」

朱美が、続いて、

「森田組の大幹部に、女にしてもらえるなんて、すばらしい事じゃないの。私達の顔をたててくれるわね」

美津子は、狂ったように白い裸身を、震わせ、

「嫌っ、嫌です! かんにんして、かんにんして下さい!」

スタンドの台の上に、顔を押し当て、美津子は激しく泣きじゃくる。

ずいぶんと嫌われたものね、と銀子は笑いながら、吉沢の顔を見る。

派手な格子じま模様の背広を着、青色のソフトを横っちょかぶりにしている吉沢は、ウイスキーをなめるように飲みながら、

「鳴くまで待とう、ほととぎす、てのが俺の気持さ。鳴かすのは、お前達の役目だぜ。そのかわり、これからは、大いにお前達を眼にかけてやるからな」

わかってるよと、悦子が笑い、吉沢がポケットの中にしまっているものを出させる。それは、刺繍のほどこしてあるピンクのパンティであった。美津子のものである。悦子は、それを美津子の顔の前へ置き、

「ふふふ、お嬢さん。これは貴女のものね。吉沢さんがぜひ譲ってほしいというので、譲ってあげたんだけど、こんなものをポケットに入れるほど貴女の事を想っているのよ。思いを遂げさせてあげる気にならないかい」

眼の前に、自分の今の今まで穿いていた下着が、これ見よがしに置かれ、美津子は、羞恥にきゅっと唇を噛んで、それから眼をそらせる。

「吉沢の兄さんに抱かれるのは嫌、となるとお嬢さん、今、おしめを使わなかったというような我儘は絶対に許さないよ、いいね」

銀子は急に声を大きくして、いった。

美津子は、涙を流しながら、小さくうなずく。吉沢の毒牙にかかる事を思えば、どんな辛い目に遭わされても耐えようと悲痛な決心を美津子は、したのだ。

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