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森沢明夫さんによる『あなたへ』は夫婦の深い愛情と絆を綴った、心温まる感涙小説です。刑務所…
「私と付き合ってください、君に死んで欲しくないから」。高校二年の北原恭介は、クラスの人気…
破綻の危機を乗り越え、総務部長に昇進した二瓶正平。副頭取の不倫スキャンダル、金融庁からの圧力、中国ファンドによる敵対的買収。真面目なだけが取り柄の男は、銀行、仲間、そして家族を守ることができるのか……。金融業界を舞台にした波多野聖さんのエンターテインメント小説、シリーズ第二弾となる『メガバンク絶体絶命――総務部長・二瓶正平』は、前作を超える痛快なストーリーで一気読み必至。ためしにその冒頭をご覧ください。 * * * 京都旅行は奮発した。 一流のホテルに泊まり、名の知
破綻の危機を乗り越え、総務部長に昇進した二瓶正平。副頭取の不倫スキャンダル、金融庁からの…
その夜、例によって竜哉は彼のグループとキャバレーで遊んだ。その内に、指名して呼んでいた女給の一人が何かの折に彼等の席を立つと、フロアを隔てた向うのボックスに坐って帰って来ない。その女を前から口説きかけていた西村がやっきになった。坐ったまま背伸びして向うを覗いてみる内に、三人の客の内、真ん中で手真似まで入れて女を笑わせている男に、竜哉はふと見覚えを感じ、やがて思い出した。あの夜英子が連れていた男であった。江田が一昨日会った男であるのかも知れない。彼は女給に客の素姓を何気なく訊い