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何度も聴きたいロック名盤をご紹介 ⑮

アーティスト:ジョージ・ハリソン
名盤:ブレインウォッシュド

『ブレインウォッシュド』(Brainwashed)は、2002年11月18日に発売されたイギリスのミュージシャンであるジョージ・ハリスンのアルバムです。
ジョージは発売前年の2001年11月29日に死去しており、本アルバムが遺作となりました。
ジョージ・ハリスンの生前より制作が進められ、没後にプロデューサーのジェフ・リンとジョージの息子であるダーニ・ハリスンが編集し直し、完成させたものです。
元ビートルズのジョージだが、今までも素晴らしいアルバムを世に出してきました。
このアルバムは彼の遺作となりましたが、全体を通して明るく、メロディもよく生前から遺作になることを意識して制作されたものだと思います。
また、サウンドもビートルズを愛して止まないジェフ・リンがいい仕事をしています。
楽曲もとても親しみやすく、いいアルバムが完成しました。個人的にぜひ聞いてほしいアルバムです。

1"Any Road" 
オープニング曲としては最高です。初期のイーグルスみたいなカントリーロックです。バンジョーとウクレレの中間みたいな楽器バンジュレレもジョージが弾いてます。
スライドギターもカントリーの雰囲気に良く合ってます。

2"P2 Vatican Blues" 
ウクレレもジョージが弾いてます。タイトルにバチカンとありますが、サウンド面ではヨーロッパ的要素ゼロでむしろアメリカの南部っぽいです。
エリック・クラプトンがカバーしたブルースのロバート・ジョンソンの曲っぽい雰囲気ですが、メロディもポップス的なところがジョージらしいです。ブルースとロックンロールの中間みたいな感じです。

3"Pisces Fish" 
邦題は「魚座」。ウクレレとベースもジョージが弾いてます。ジョージは自分が魚座であることを強く意識していたらしいのですが、この曲の歌詞はそれが反映されてます。
壮大な雰囲気でミディアムテンポな曲です。途中で、「Come Together」の「シュッ!」みたいなのがあります。

4"Looking For My Life" 
前作『クラウド・ナイン』の名残りを感じる80年代的な爽やかさのあるポップな曲です。歌詞は「My Sweet Lord」のような神に語りかけるような形式です。

5"Rising Sun" 
スライドギターが印象的なカントリーロックです。「I Am The Walrus」みたいな不気味な雰囲気をキーボードで出そうとしてるみたいですが、
明るさが勝ってしまってそんなに不気味に感じられないところがジョージらしいです。

6"Marwa Blues" 
インスト作品です。ジョージ自身が弾くスライドギターをフィーチャーしたバラード寄りのインスト曲です。途中で「Strawberry Fields Forever」を連想するフレーズがあります。

7"Stuck Inside A Cloud" 
録音は90年代から始まってたらしいです。ジョージらしいバラード寄りの爽やか系ポップスです。
あまりブルースっぽさを感じないスライドギターもジョージらしいです。ダーニによるとジョージが数字の7が好きでこの曲を気に入ってたので7曲目にしたらしいです。

8"Run So Far" 
1989年にエリック・クラプトンに提供された曲のセルフカバーです。アルバム『慈愛の輝き』に入ってそうな太陽の明るさを感じる曲です。

9"Never Get Over You" 
ポップス的なスライドギターが印象的なバラードですが、一歩間違えたら不協和音になってしまいそうな危うい美しさがあります。

10"Between The Devil And The Deep Blue Sea" 
オリジナル曲ではなくキャブ・キャロウェイのカバーです。本作唯一のカバー曲ですが、ジョージはギターではなくウクレレを弾いてます。
原曲はスウィングジャズという感じですが、このバージョンはハワイアンみたいな感じです。

11"Rocking Chair In Hawaii" 
ジョージはボーカルとギターの他にもウクレレとキーボードも演奏してます。ハワイアンとブルースを混ぜたような感じで、ビートルズ時代の「For You Blue」のフレーズが再利用されてます。

12"Brainwashed" 
タイトルは「洗脳された」という意味です。歌詞はマスコミ批判的な感じなので前作『クラウド・ナイン』収録の「Devil’s Radio」の続編的な曲であり、ジョージからのラストメッセージと言えると思います。
ジョージにしてはサウンド面でも重みがある感じです。最後にインド風な雰囲気になって、ジョージとダーニがマントラを唱えます。ジョージの魂が旅立って行くような感じで心に響きます。

以上が今回のアルバム評となります。ロック入門の一助になればと思います。ご参考になればうれしいです。

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