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[UFC306] メラブ・ドバリシビリ、遂に王座を手にする!

バンタム級タイトルマッチをメインイベントに据えたNOCHE UFC。

ファイト・オブ・ザ・ナイト級の試合が立て続けに行われた今回のナンバーシリーズは非常に見応えのある内容となった。

その中でも大きな注目が向けられたのがメインとコ・メイン、そしてロペスとオルテガが激突したフェザー級のランカーマッチだ。

それぞれの試合の結果は今後の流れに大きな変化を生み出していくことになる。

フェザー級 ランカーマッチ
○(13)ディエゴ・ロペスVS.●(3)ブライアン・オルテガ
※ロペスの3R判定勝ち


©︎Getty Images / UFC l Jeff Bottari

ランキングを駆け上がりタイトルマッチへ漕ぎ着けたいロペスは1R目に大きなチャンスを作ることに成功した。

パンチのコンビネーションをヒットさせてオルテガをグラつかせたロペスはフィニッシュを狙って追撃を仕掛け、オルテガをかなり危険な状態へと追い込んでいく。

しかし、グラウンドで上手くディフェンスしたオルテガはロペスにそれ以上攻め込ませることをさせず何とか危機を脱することに成功した。

オルテガはロドリゲス戦でもそうだったように、危なくなってから粘ることが出来るというところが一つの長所となっており、大逆転を生み出す可能性を最後まで失わない怪しさを持っている。

今回も立ち上がり早々にロペスに攻め込まれ、あわやフィニッシュという状況に陥ったけれど、何とか持ち堪えて立て直すとロペスに反撃を仕掛けていった。

この気迫に飲まれてペースを乱されてしまうと一気にオルテガの試合へと流れが変化していってしまうのだが、己の実力にしっかりとした自信を持つロペスは乱れたり焦ったりすることなく優勢の流れをキープし続けた。

オルテガもロペスを崩すための動きを見せるが、流れを引き寄せるところまではいかず、勢いのあるディエゴ・ロペスにその座を空け渡す結果となった。

これでフェザー級ランキングの上位へと浮上したロペスは王座への挑戦も期待できる位置に到達することに成功する。

次戦などでトップランカーとの試合を制することがあればベルトへの挑戦が可能となってくるのではないだろうか。

ホロウェイがトプリアに挑戦するのならば、ロペスはヴォルカノフスキーとの対戦になるのか、いずれにせよ今後は興味深いカードが組まれることが予想される。

女子フライ級タイトルマッチ
●(C)アレクサ・グラッソVS.○(1)ヴァレンティーナ・シェフチェンコ
※シェフチェンコの5R判定勝ち


©︎Getty Images / UFC l Jeff Bottari

過去の対戦に見られたような激闘とはならなかった3回目の戦い。

シェフチェンコは確実に勝つことが出来る戦法で勝負に臨み、グラッソに可能性を与えなかった。

グラッソはシェフチェンコに自身の強みを押し付ける術を見出せなかったが、シェフチェンコは自身が勝っている部分だけで戦うことが出来た。

ストライキングやフィジカルで勝るシェフチェンコは徹底的に待ちの姿勢を貫き、カウンターでリズムを作ってテイクダウンで主導権を掴むことに成功していた。

ここでシェフチェンコの戦法を崩すだけの選択肢がグラッソ側にあれば、混戦へと持ち込んでいくことも出来たかもしれないが、タックルを切ることも出来ず寝かされ、寝かされたら立つことも出来ないといった状況になっており、グラッソは技術の中で大きく劣っている分野で勝負を持ち掛けられ見事に嵌められてしまったような形となった。

シェフチェンコは安全に手堅く自分が有利になることができる展開で攻めに出て、自身の強みをグラッソに押し付けることが出来ていたため、かなり差を感じさせるような内容の試合に仕上げることが出来ており、結果的に色々とハッキリさせる形で王座へと返り咲くことに成功している。

これで再びシェフチェンコが王座に付いたが、これまでのように長い支配を続けられる可能性は低いのではないかと思う。

グラッソに続いてこの階級に新たな流れを持ち込むのはどのファイターとなるのだろうか。

バンタム級タイトルマッチ
●(C)ショーン・オマリーVS.○(1)メラブ・ドバリシビリ
※ドバリシビリの5R判定勝ち。新王者の誕生。


©︎Getty Images / UFC l Jeff Bottari

無尽蔵のスタミナを持つテイクダウンマシーンのドバリシビリを王者オマリーが打撃で迎え討つ構図となった今回のタイトル戦。

ピョートル・ヤンとの戦いで、組みの攻防を交えながら打撃戦で激闘を演じることが出来たオマリーは今回のドバリシビリ戦でもテイクダウンを上手く処理しながら打撃でジリジリと削っていくのではないかと考えていたが、結果的にはドバリシビリの独壇場のような内容となってしまった。

打撃のやり取りを避けるドバリシビリはスタートからかなり遠い間合いを確保しながらインローや飛び込みで攻撃を仕掛けていたが、その攻撃でオマリーに何か危険を感じさせるようなことはなかった。

しかし、その後に続けられるテイクダウンの仕掛けにオマリーが対処することが出来ず、思っていた以上にあっさりとテイクダウンされてしまった上に、ドバリシビリのコントロールからも逃れることがほとんど出来ていなかったので、オマリーにとってはかなり厳しい立ち上がりとなった。

加えて、このようなスタミナを使う戦法で試合に臨んでもドバリシビリは最後まで同じペースで動いていくことが出来てしまうため、後半戦でもオマリーが自分のターンを行使するタイミングを得ることが出来ず、最後までドバリシビリのテイクダウンとトップコントロールに苦しめられてしまう状況となった。

また、こういったレスリング技術に優れ、組みの展開に強い選手はクラッチを切らせない技術にも長けているため、一度クラッチを取られてしまうとそのコントロールから脱出することが出来ずに良いポジションを取られ続けてしまうケースがある。

今回のタイトルマッチはまさにそういった状況で、寝かされた状況から起き上がることは出来てもバックコントロールに回られてしまうと立ち上がることは出来ず、クラッチを切ることも出来ないため正対して次の展開を作るといった動きを生み出すことも出来なかった。

そういった展開が長く続き、ほとんどドバリシビリの思うように試合が進んでいたので、オマリーは特に見せ場を作ることも出来ずに王座陥落してしまった印象。

これで同門であるアルジャメイン・スターリングの仇を討つと共に、その王座を取り返す形でベルトを獲得したドバリシビリは強豪ひしめくバンタム級のトップに立った。

そこで予想される次の挑戦者は、恐らく無敗のダゲスタンファイター「ウマル・ヌルマゴメドフ」になってくるだろう。

ストライキング・グラップリング共に1段階上にあることが考えられるヌルマゴメドフはどの相手にも勝てる可能性を持っていると言える。

スタミナではドバリシビリが勝っていると考えられるが、そのほかの部分で勝負した時に精度の高さといったところで差が出てきてしまうのではないかと感じている。

なので、これまでの戦い方でドバリシビリがヌルマゴメドフとの防衛戦に臨んだとしたら、一度も防衛出来ずに王座陥落するといった最悪の結果が訪れる可能性もあるのではないかと思う。

果たしてドバリシビリはダゲスタンの脅威からベルトを守ることが出来るのか、今後の発表に注目したい。

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