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#8 ケアする空間デザインとは?~日本の福祉現場での実践;第2回北欧のヘルスケアアート講座での学び・後編~

「北欧の福祉はすすんでいるけど、日本はどうなのか?」

北欧の福祉現場のアートを学んで、日本で実践している、素晴らしいデザイナーさんがいます!
今回は、北欧のヘルスケアアート公開講座で学んだことの後編として、tona代表の河東さんが日本の医療福祉現場で実践されているヘルスケアアートについてご紹介します。

前編の記事は、こちら。

公開講座の主催団体「なごやヘルスケア・アート」についてはこちら。

tonaの河東さんのお話②~日本の福祉現場のケアする空間デザイン~



河東さんが日本の福祉現場で取り組まれている『ケアする空間デザイン』について、事例を交えてご紹介いただきました。印象に残った2つをご紹介します。

アートで地域を元気にする総合診療クリニック

現在進行中の総合診療クリニックのリノベーション企画についてご紹介がありました。
ヘルスケアアートとふれあえる総合診療クリニックで、クリニックの一部にアトリエがあり、地域の子どもたちやアーティストの作品を展示したり、アートイベントを行ったりできるとのこと。
医療とアートで地域を元気にする」というコンセプトは、とても素敵だな、私もいつかやってみたいなと感じました。

このクリニックについて、まだ公式の情報はネットに掲載されていないようでしたので、公表されましたら、追記したいと思います。

聖マリアンナ医科大学病院 ぽかぽか広場~カラーヒストリーを考える~

皆さん、カラーヒストリーって聞いたことはありますでしょうか?

カラーヒストリーとは、空間に入った時に経験する色の経験・体験のことで、その空間を構成する配色を絵の具のパレットのように3~8色くらいで表現するものです。

ここでは、聖マリアンナ医科大学病院のラウンジのアート企画の事例が紹介されました。
灰色や白で無機質だったラウンジが、黄色や黄緑など温かみのある壁、椅子を取り入れることで、とても心地のよい空間に変わっていました。
デザインだけでなく、車いすの人が入れるスペースを設けたり、手術の間、家族がパソコンなどみながら、ゆっくりできるよう、背もたれが高く作られた椅子が配置されていたりと、とことん使う人の目線で、インテリアが改善されていました。背もたれの高さは、感染対策にも役立ったそうです。

カラーヒストリーを考慮し、機能と癒しを兼ね備えたヘルスケアアートを作り出すtonaさんの企画は、まるで色と空間のマジックだな、と感じました。

詳しくは、tonaのホームページにbefore/afterの写真がありますので、ぜひご覧ください。

河東 梨香さんのご紹介は、
noteのこちらの記事にも載っています。


最後に

今回の講座と通して、ケアされる患者さんの視点、そして、介護福祉スタッフもケアの対象するヘルスケアアートの奥深さをまた一歩学べた講座となりました。

そして、空間は医療チームの一員なんだなと実感しました。

カラーヒストリーからは、空間の色のバランスを変化させることで印象がガラリと変わり、そこで過ごす人の気持ちも変化することを学びました。

言葉が通じなくても、アートでつながることができる。

言葉を交わさなくて、同じ空間で、音楽を通して時間を共有することで、
なんだか心がほんわかする。
アートには、そんなケアする力があるなと感じます。

これは、私自身、院内コンサートを行って感じていたのですが、「アートでつながる」ということは楽しさだけではなく、ケアの重要な要素であることを講座を通じで学ぶことができました。

けれども、実際には、日本のホスピタルアートの歴史はまだまだ浅く、医療現場に取り入れるには多くの壁があると感じます。

医療現場におけるアートやデザインの意味について考えて続け、実践を繰り返し、いつか日本のホスピタルアートが、北欧のように医療福祉現場に根付く存在になれば、と思っています。

2022年のnoteを振り返って

前回の記事は、私の2022年noteで一番読まれた記事となりました。
読んでいただいた方、スキをしてくださった方、本当にありがとうございます。これからも、少しずつではありますが、発信し続けていきたいと思います。

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