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水の都にて③

今回の旅の目的に書店巡りもあったのだけれど、ここでお邪魔させて頂いた書店の皆様をまずはご紹介

PASSAGE by ALL REVIEWSさん以外は初めての訪問
ROUTE BOOKSさんは私は知らなかったのだけれど、古書みつけさんからご紹介いただいた

PASSAGEさんとの出会いはどこかの記事で書いている気がするので割愛するけれど、その時以降、電子書籍派だった私は、再び紙の本を読むようになった

本屋稼業というものに興味を持つようになったのは、PASSAGEさんで出会ったこの本がきっかけ
この本は本当に良かった
興味があってもなくても、たくさんの方に読んでいただきたい名著

当たり前だが本屋はビジネスである
儲からないことには意味がない
けれど、この本に登場する古本屋さんたちからは、言うなればそうした
「金の匂い」
というものを感じない
本の、もっといえば「紙の」本に対する情熱、愛情、敬意
ただただ、そういうものが色濃く香る

二ヶ月ほど前にPASSAGEさんを訪れた時に、テレビの取材が来ていて、その時、棚主の方もたまたま店内にいらして、インタビューを受けていた
その時の言葉で非常に印象的だったのが
「儲けたいというより、この本を知って欲しいという気持ちが大きい」
という主旨の発言をされていたこと

何か色々と腑に落ちた気がした
棚主と店主とでは立場が違い過ぎるので、それが全てではないにしても、書店を営む方々、企業も含めて、その根底にあるのは
「伝えたい」
というその気持ちなのだろうと感じた

そう思うと、大型書店、PASSAGEの棚、そして個人営業の書店からは色々なものが見えてくる

本は書き手の思いを集めたもの
書店主はその思いを汲み取り、棚に置く
書店はつまりはその店主の思いそのものなのだろうと思う

そう思うようになってから、断然、書店巡りが楽しくなった

書店に行く
びっしりと詰め込まれた本棚
ふらふらと歩き回りながら、気になる本を取る
時々、本が呼びかけてくる
それを手に取る
その重み、装丁の美しさ、帯のコピー、裏表紙に書かれたあらすじ、紙の手ざわり…
どんな内容なのか分からない本もたくさんある
それでも買う
呼ばれたから買う

ネット書店では決して味わえないこの感覚
けれど、それよりも何よりも、実際に書店に足を運び、店主の思いを感じたい
本を手に取り、それを買い求めることで、私も自分の気持ちを伝える

相性というものは当然ある
好きな本で溢れている書店もあれば、そうでもない書店だってもちろんある
好きな本、面白そうな本があればもちろん買う
けれど、そう思わなかったとしても、たいてい、何かしらの本が私に呼びかけてくる
その1冊を手に取って、読んでみたくなる
それを読むことで、私は店主の思いに近づけるような気がするし、近づきたいとも思う
それを繰り返すことで、私は私が知らなかった世界を取り込んでゆき、私という人間もきっと大きくなってゆく

私にとって、本、そして書店というのはそういう存在になっている

旅行中に荷物が増えるのは少々アレなので、今回は書店巡りをしても、本を買う気はあまりなかったのだけれど、そんなことは出来るはずもなかった

カウンターへ本を持ってゆく
店主殿の
『お、これ選んだんだ』
という微笑みが嬉しい

別のお店の店主殿の言葉も胸に残る
「人生、どれだけ無駄なことをしたかで決まる」

店主が変われば、店も変わる
当然のことながら、今回、お邪魔した書店は、どのお店もそれぞれの色がある
ただ、ほぼ確実にどのお店でも扱われている本やジャンルがあった事は興味深かったし、どこか嬉しくなる気持ちもあった
芯にあるものは、きっと、同じなのだろうと感じた

素敵で素晴らしいお店、本、店主殿…
こんなに楽しく、感動的な書店巡りをしたのは初めてです
最高の出会いに改めての感謝を申し上げます

また、必ず伺います

エコバッグに大量の本を詰め込む
まだ読み終わっていない本もたくさんある
本棚に空きもない
読む時間もなかなかない
荷物は重く、財布は軽くなった

いい旅をしているな、と思った


今回の旅でお迎えした本の数々
(ブックオフでの購入含む)
自宅にある本を全て読み終わる日が
どんどん遠のいてゆく

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