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銀座の恋の物語 1

朝方 強い地震の有った或る日の土曜日。
時間は午後6時半・・・

震度5の地震で止まったヘタレなJR常磐線に見切りをつけて 高速バスで銀座にやって来た俺だった。
30分遅れで 待ち合わせの居酒屋に辿り着いたのである。
この日は高校の同窓会・・・

昔から極貧の茨城の県北地方は集団就職(!?)で 東京に就職した仲間が多かった。
そのため 地元と東京で交互に同窓会を開くのが習わしとなっていた。
ガハハハハ・・・!

今回は 銀座4丁目の商業ビルの中にある洒落た居酒屋さんが集合場所であった。

ここで少し飲んで ほろ酔い加減となってから 同級生がやっている焼き鳥屋になだれ込もうという算段である。
なぜなら その焼き鳥屋というのが ミシュランで初めて星を取った焼き鳥屋ということで 少々お高い・・・
最初からそこで飲んだのでは 予算オーバーとなってしまう。
そのため飲み放題の居酒屋で飲み始めとなった訳である。

生きのいいオネエチャンに案内されて 奥のお座敷に通された俺・・・

もう みんな集まっているらしかった。

俺 「悪い 悪い・・・ 朝の地震で電車が止まっちまったから 国道を全力で走って来たよ!! ギャハハハハ・・・」
「おう ケン! やっと来たか! 茨城から走って来たって・・・??? お前は高校時代から体だけは無駄に丈夫だったからな!! ダハハハハハハ・・・」

学生時代の卒業旅行で一緒にヨーロッパを回った前島が ニコニコしながら口を開いた。

俺 「1・2・3・・・6・7 8  あれっ 今日は9人のはずじゃなかったっけ!?」

「そうだったんだけど 作山が 体の具合が悪くなったとかで 今日はパスだって!!」
学級委員長だった山田が答えた。
俺 「みんな年寄りだからな! お前らみんな59だろ!? 体調維持するのも大変だろ!?? ブヒョヒョヒョ・・・」
「何 若ぶってるんだ! お前も同い年だろ!? どひゃひゃひゃひゃ・・!」
学年1の秀才だった片野が口を尖らせる。

考えてみれば ここ10年以上 同窓会に来るやつというのは同じ顔ぶれが多い気がする。
50人近くのクラスだったのだが 毎回15人ぐらいが 代わる代わる来てるだけで 残りの35人ぐらいは ほとんど顔を見せない。
還暦近くになって 同窓会に来れると言うことは 健康も含めて 人生それなりに上手く行っているヤツだけなのである。

「ケン! ここに座れ!!」
片野が 昔のマドンナ梶山さんの脇を指差した。
マドンナと言っても40年前の話である。
(時の流れと言うのは残酷なもので 今はその面影も全く無い・・・)

しかし 大人の俺・・・
「相変わらず お美しい・・・ お美しい!」と呪文を唱えながら 席に座ったのであった。

「じゃ 再度改め 乾杯をしよう!!」
山田の音頭で乾杯が始まった。
昔話と現在の話が咲き乱れる室内・・・
片野 「そういえば ケンのところは金属加工会社だったな!? うちの材料を使ってくれてるの??」

(彼は 金属メーカー大手の重役さんである)
俺 「もちろんだよ! お前ん所は 世界有数のシェアを持ってるじゃないか!? うちは精密加工だから高級材じゃないと加工出来ないしね!」
片野 「そうか アリガトネ!! ブヒョヒョヒョヒョ・・・」
俺 「でも お前ん所は品質はいいんだけど 価格がな・・・ なんとか もうちょっと お友達価格で安くならないか???」
片野 「『お友達価格で もうちょっと』って言われても・・・ 今年は儲かって無いからな・・」
俺 「儲かって無い!??? ふざけんなよ!! 去年まで過去最高益を更新してたじゃないか!?」

片野 「えっ!? 知ってたの?? ブヒョヒョヒョ・・・ そうか・・・ だったら 焼き鳥屋のあとで どっか行くか!?? 」

俺 「えっ!? もしかして銀座のクラブ???」
片野 「ああ・・・ この近くは 行きつけの店が結構有るから・・・ 」
「いっ 行く イク~~!!」

思わず裏返った声で返事をした俺なのであった。


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