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#1 スキークラウンホルダーインタビュー  史上最年長合格者!?12年のブランクを埋めて59歳で合格!【筒井正浩さん】

【今回のクラウンホルダーは…】

高校卒業後、社会人になってからスキーを始めた筒井さん。すぐに指導員まで取られました。その後40歳で一度スキーを引退。以来13年間1度も雪の上に立つこともなかったそう。53歳でスキーを再開してスキー熱が再燃。還暦直前の59歳でクラウンプライズに合格されました。
(中略)
「練習をして20代の頃より確実に上手くなってきてるのを感じて、『選手としての寿命は数年だし、せっかくある資格なんだから受けてみよう!』と思いましたね。」
そう語る筒井さんのスキーの歴史そしてスキー観に迫ります!


【スキークラウンホルダーにこんなこと聞きました!】


①クラウン合格証(写真)を見せてください

②いまの年齢を教えてください。
60歳

③お住まいはどちらですか?
兵庫県

④初めてスキーしたのはいつですか?

→19歳
私は神戸生まれ神戸育ちで社会人になるまで基本的には野球をやってきました。スキーはもちろん知ってはいましたが、学生の頃は経験がなくまた興味もなかったというのが正直なところです(笑)それが社会人になった翌年に高校の同級生に誘われ、2泊3日でスキー旅行にいったのが私とスキーとの出会いでした。「スキーをしてみたい!」という気持ちは特になかったのですが、友達と遊びにいくことそれ自体が楽しみだったので行くことにしたという感じですね。一緒に行った友達はみな経験者だったのですが、3日目が終わるころには自分が一番上手くなっていました。その上手くなっていく感覚が「面白い」と思い、そこからスキーにハマっていきました。

⑤スキーを本格的に始めたのはいつですか?

→20歳
初めてスキーにいった翌年に会社のスキー部に入部しました。もともと野球部に入っていたのですが冬は自主トレ期間ということで、「オフの間も走り込むか何かしないと体力落ちるぞ」って言われたんですね。でも。なんかコツコツ走るの嫌だなと思って、その時に、そういえばスキームがあったなと、去年やって面白かったな、となって足腰鍛えるのにもいいかなと思ってスキー部に入ったんです。
 
そのスキー部がめちゃくちゃ体育会系でそこで凄く鍛えられましたね。指導員が14人もいるビッグクラブで、僕はそこで一番上手で県大会でも成績を出している人に師事しました。その人は何人かいる僕のスキーの師匠の人なんですが、「俺の背中を見て学べ」スタイルの人で、技術的なことを教えてもらったという記憶は一度もないですね(笑)でも、スキーを上手くなりたいと思ったので、その師匠がスキーにいく日程を全て聞いて、そこに全部ついていきましたね。
 
悪雪、新雪とか滑ったらダメな所にばっかり連れていかれました(笑)。でも、そのおかげで今でもそういう場所は凄く得意です。
 

⑥ー1 2級とったのはいつですか?/どこで取りましたか?
ー2 何回目のチャレンジですか?

N/A
 

⑦ー1 1級とったのはいつですか?/どこで取りましたか?
ー2 何回目のチャレンジですか?

→20歳 栂池高原スキー場
スキーを始めて2年目に1級の検定を受けました。師匠の計らいで2級を飛ばしていきなり1級を受けさせてもらいました。師匠からは「これで落ちたら次は2級からだよ」と言われていたのですが、なんとか合格することが出来ました。合格して師匠に報告しにいった時、褒めてもらえるのかなと思ったら、「スキーはここからだよ」という言葉を言われたのが記憶に残っています。そんな形でスキーを続けていたら5年目で準指導員、7年目で指導員の検定に合格することが出来ました。(※通常、準指導員の資格取得後3年後以降にしか指導員の資格は取れないが、この時は管轄組織の改変等の影響で2年後に取得することが出来たとのこと)
 
最終的に社会人時代は全日本(マスターズ?)で補欠入るくらいのレベルになっていました。ちなみにこの頃は、仲間内でビデオを撮り合って自分のスキーを振り返るという練習をしていました。今から思えば、ちゃんとコーチについて習っておけばもっと上達は早かっただろうなと思いますね。 

⑧ー1 テクニカルとったのはいつですか?/どこで取りましたか?
ー2 何回目のチャレンジですか?

→2020年3月の戸隠スキー場
 
Q:1級取得からだいぶ時間が空きましたが、何か理由があったのですか?
→一度40歳の時にスキーをやめたんです。ちなみにスキーだけじゃなく野球も会社の部活に入っていたのですが、40歳でどちらもやめました。元々どちらも40歳でやめようと決めてたんです。
スキー、野球をやるにあたって、かなり会社に協力してもらってたので、40歳からは会社に恩返しをしようと思ったんです。
 
Q:12年間スキーに行かれてませんが「行きたい」という気持ちはありましたか?
→全くなかったですね(笑)実は私は45歳の時に25年勤めた会社を退社し独立しています。会社の野球部で学び身に着けたメンタルトレーニングを現在の生業としているのですが、最初はなかなか仕事がなくお金がないこともあってそれどころじゃないというのもありました。それから、スキーに行かなければ行かないで、不思議と「行きたい」って気持ちが沸いてきませんでした。完全に興味が薄れていましたね。
 ※ちなみに筒井さんはメンタルトレーナーとして、大阪の履正社高校野球部や、プロ野球阪神タイガースの選手のサポートもされているそうです。
 
Q:スキーを再開されたきっかけ何だったんですか?
→53歳の時に偶然、全日本スキー技術選手権優勝経験者でデモンストレーターの渡辺一樹さんと仕事の関係で対談する機会がありました。そこで「では一度一緒に滑りませんか?」という話になりました。レジェンドと対談もして、しかも一緒に滑れるなんて今思えば本当に贅沢な時間でした。渡辺さんとお話をする中で、「どうせやるんだったら、もう一回本気で頑張ったら?」と言われたのがきっかけでした。
 
その後、渡辺さんに「キャンプにおいでよ」と誘われて行ったのですが、集まってたのは皆さん、メディアで拝見する有名人の方ばかりでした(笑)
気さくな人が多くて楽しかったですが、目の前でトップスキーヤーのプレーが見れたのは物凄い刺激的でしたね。
 
ただ、キャンプに行っても僕は下手で下のチームに所属しているし、年に数回しかないんで、「(社会人の時とは違って)今度はちゃんと上手くなろう」と思って、それで出会ったのが藤井守之さんでした。藤井さんのクラブに入れてもらって、そこはポールが中心だったので、藤井さんがポール終わってからいつも最後にちょっとフリー滑る時に、後ろを滑らせてもらうみたいな形で練習させてもらっていました。
それで、練習をして20代の頃より確実に上手くなってきてるのを感じて、「選手としての寿命は数年だし、せっかくある資格(テクニカル、クラウン)なんだから受けてみよう」と思いましたね。

⑨ー1 クラウンとったのはいつですか?/どこで取りましたか?
ー2 何回目のチャレンジですか?

→2021年4月シャルマン火打スキー場 1回で合格。
試験を受ける際、検定員の方が僕のプロフィールの年齢欄のところを見てびっくりされていました(笑)合格してその方とお話した時に、「自分がジャッジした中では59歳という年齢は合格者の最高齢です」と言われましたね。

⑩年間滑走日数は何日ですか?

→100日
スキーを再開した2015年は滑走日数は5日程度で、翌年も仕事がかなり忙しかったので30日程度でしたが、その次の年からは今年に至るまで年平均100日くらいは行くようになりましたね。」会社員時代はというと、社会人2年目は34日滑っていて、1級をとった3年目以降も「もっと上手くなりたい!」という気持ちがあり、毎年平均27~8日くらいは滑っていました。2年目こそ34日滑っていますが、社会人だと確保できるスキーの時間は30日くらいが限界ですね。

⑪ホームゲレンデはありますか?/どこのスキー場ですか?

→戸隠スキー場

⑫スキーにはどうやって行きますか?車/電車/バス?

→車 

⑬定宿はありますか?

→長野市に家を借りてます。

⑭普段は誰と行きますか?

→元デモンストレーターの藤井守之さん
 
Q:素人の方とスキーにいくことはありますか?
→ないですね。生徒さんで入ってくる生徒さんにプライベートレッスンで教えるということはありますが、素人の友達と滑るってことは0です。

⑮クラブやサークルには入っていますか?

→兵庫県で自分のチームで登録しています。新潟のMRSCのメンバーでもあります。

⑯レッスンは受けていますか?特定のコーチがいますか?

→藤井守之さん
 

⑰年間スキーに使うお金は?

→50~80万円
20代~30代の頃は、スキー学校のお手伝いをしていたので宿泊費はかかってないんですよね。出費としては道具代がメインになりますね。準指を受けた年には道具をたくさん買ったので、合計で100万円程度使っていますが、それ以外は年平均40万円くらいですね。
現在は年間で100万円くらいはかかってるかなと思います。まず道具代が大きいですね。サロモンで選手登録をしており、古い板を使うわけにもいかないので、道具代でだいたい毎年50万円くらい。
それから道具をチューンナップしてもらったり、あと今は長野で友人の家を安く借りさせてもらっているのですが、その賃料、移動のガソリン代、リフト代、諸々合わせると年間100万円くらいにはなってると思いますね。

⑱スキーをするために、仕事や家族の理解を得るように工夫していますか?

→仕事は夜にリモート 家族は理解してくれてます。
まずスキーシーズンに入ってからは基本的に仕事を入れていないですね。私はメンタルトレーナーの仕事をしているのですが、コロナ前の2017年から、電話やオンラインベースでのコーチングスタイルになっていたので、夜そのような形で仕事をしています。
 
Q:社会人時代はどうやってスキーを続けられてたんですか?
→社会人以降もスキーを続けるにあたって一つのポイントが「結婚」ですよね。私の周りでも結婚を機にスキーをやめる人は多かったと記憶しています。私は24歳で結婚し、25歳で長男が生まれ、31歳の時には長女が生まれているんですが、その間もスキーを続けていました。私がスキーを続けられたのは、「スキーをもっと上手くなりたい」という思いが強かったのが前提にありつつ、家族の協力も大きかったと思います。まず結婚する時に「結婚してもスキーを続けるが良いか」という話をきちんと話しました。その確認をして結婚しています(笑)
 
Q:ご家族の方もスキーはされるんですか?
→この間、少し連れて行きましたけど、基本的には全くしないですね。家内も昔連れて行きましたが、「私はもう二度と行かないから一人でいっておいで」と言われましたね(笑)
 
Q:スキーと家庭の調整はどうつけられたんですか?
→私の場合、子供が生まれたのもスキー継続にあたってプラスに働きましたね。義理の両親の家が自宅からすぐのところにあり、私がスキーに行くことになると、妻が実家に帰ることになりました。お義父さんやお義母さんからすると、娘と孫が会いに来てくれることになるので大歓迎だったんですね。だから、妻が私のスキーに難色を示しても、お二人から「スキーに行かせてあげたらいいじゃない?」と後押しされていました(笑)妻も妻で、実家では家事育児の負担が減ることもあり、なんだかんだで私がスキーに行くことを許してくれていたという状況でしたね。

⑲クラウン取ってからスキーへの取り組み方/楽しみ方は変わりましたか?

→もっと上手くなりたいのでポールを始めました。
クラウンをとったら「スキーはもうええわ」ってなるかなと思ったんですが、全然そんなことにはならなかったです。ゴールではなく全然通過点でしたね。クラウン取得の満足感よりも、自分の足らない部分、まだもっと成長できる部分の多さを感じることの方が大きかったです。コーチをはじめ周りの人も「おめでとう!」とは言ってくれましたが、彼らもクラウンは通過点だと思っていて誰もゴールとは思ってない感じでしたね。一緒に滑っている人たちがレベルの高い方々なので、なかなか自分の滑りに満足することがないんです。
 
今でもスキー上達に向けて、週に2回はウエイトトレーニングとランニングをしています。年を取ると踏み込みが甘くなるんですが、コブでスピードを出すためにはその踏み込みが大事になるのでそこの対策も考えて、ですね。オフの時も週6で運動するようにはしていますね。
 
Q:筒井さんはこの先いつまでスキーを続けていくつもりですか?
→私がスキーの魅力として感じているのはスキーの競技の部分なんです。スタート台に立った時の緊張感や得点が出た時の喜び、逆に上手くいかなかった時の悔しさに魅せられています。去年全日本マスターズに出てみたんですが、点数が出た時に達成感を感じることはなかったのもそういうことかなと思います。だから、選手としての寿命が終わった時にレジャーとしてスキーを楽しめるかは自分でも分からないんですよね。選手として引退した時にスキーをしてみてどう感じるかは自分でも興味がありますね。
 
Q:クラウンを取得された方でスキーをやめた方は周りにいますか?
→私の周りではいないですね。僕が以前勤めていた会社の師匠もクラウンを持っていますが、78歳の今でもスキーをされていて、先日も全日本の選手の後ろついて、上から下までノンストップで離されずについていってます。その選手は30代だったんですが、もう飛ばしに飛ばして滑っていっても、後ろ振り返ったらついてきててびっくりしたって言ってましたね(笑)
 
Q:海外のスキー場にいってみたいという気持ちはありますか?
→憧れはあるけど、海外にいくと一発で凄い金額のお金が飛んでしまうんですよね。僕は数いきたいので、そういう意味で海外のスキーに興味はないですね。それに海外の多くのスキーヤーが「日本のスキー場が一番いいよ」と言うので、条件面はやはり日本でやるのが一番いいのかなと思います。でも、日本のオフシーズンの時に南半球にいくとかはありですね。

最後に、これからクラウン取得を目指す方に向けてのアドバイスをお願いします。

→本気でクラウンを取るんだ!その覚悟があるのなら、若い人なら全然いけると思います。30代の人でも運動神経がいい人なら取れると思います。40~50代でゼロからスキーを始める人だったらというと、ちょっと何とも言えないですね。見てみないと分からないなという感じですね。ただ、年齢に関係なく言えるのは、クラウン取得にむけては時間とお金がかかるのでそこをどうするかは考えないといけない。スキー上達に向けてはとにかく環境が大事だと思うので。

【スキークラウンホルダーのアンケート回答まとめ】※年齢は2022年12月時点

【スキークラウンホルダーのキャリアまとめ】

【スキークラウンホルダーの話を聞いて…】

社会人でのスキーデビューからたった6年で指導員まで取得した後、40歳の時に一度きっぱりとスキーを辞められた筒井さん。そこから12年ものブランクがありながら、そして還暦直前という年齢的なハンディがありながらクラウンの頂に到達できたのは、年間100日という驚異的な滑走日数とそれを実現させる飽くなきスキーの探求心があったからだと感じました。



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