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【推し・仏教】善財童子の説話に学ぶ、世界観を広げる修行

投稿:012
【記事の要約】
皆さんはお気に入りの神様や仏様がいますか?
マニアックな話になりますが、
私は善財童子というキャラクターが好きです。

本記事では善財童子が悟りを得るまでの過程を
仏教的な視点だけではなく、私の視点で勝手に解釈してみたものです。
私の「推し」の紹介が、皆さんの参考になれば嬉しいです。


推しの名前は「善財童子」


善財童子は
『華厳経入法界品(けごんきょうにゅうほっかいぼん)』に代表される
仏教経典の説話に登場する人物なのですが、
文殊菩薩の従者の一人で『文殊渡海図』などでもよく描かれています。

童子らしく愛らしい顔立ちに無邪気な微笑みをたたえながらも
厚い信仰心を持ち合わせたキャラクターです。
掲載写真は筆者が高知県の竹林寺を訪問した際のもの。
竹林寺で善財童子の像を発見した際は、
喜びのあまり思わず並んで合掌している姿を真似てしまいました。

竹林寺境内にて。凛とした善財童子像もいい感じでした。


振り向きざまの何とも言えない可愛らしいポージングの童子像など、
バリエーションがあるのでよければ画像検索してみてください。

善財童子が悟りに至るまでの物語


この説話のあらすじが結構面白いのでざっくりと説明させていただきます。

童子はインドの裕福な家庭に生まれ、
ふとしたきっかけで仏教に目覚めます。
その後、文殊菩薩に勧められて、
道行く先で出会う人に教えを請う修行を重ねることになりました。
その人数、なんと53人。
修行の最後に普賢菩薩との対話を通して悟りを開く童子は、
修行者の理想的なイメージとして描かれているというお話です。
ちなみに、「53」という数字は
歌川広重の『東海道五十三次』のモチーフにもなったとか。
(ご専門の方から見て、誤りがあったらごめんなさい)

話を戻しますが、この善財童子の魅力は
仏教における修行者の理想像に収まらないところにあると思います。
いくら文殊菩薩から進められたからといって
53人に自ら歩いて情報を取りに行く行動力はなかなかのものです。
SNSやWeb全盛の現代ならいける人もいるかもしれませんが、
かつてのインドで53人とつながるにはそれなりの時間と労力がかかるはず(それで悟れるならコスパとしては悪くないけど)。

しかも、53人の内訳がまた面白い。
「悟りに近づくために教えを請う」と聞くと、相手としてはお坊さんや尼さんを思い浮かべがちです。
でも、童子が話を聞いた相手はその枠に収まりません。
外道(他の信仰をしている人)や遊女、普通の少年少女など、
一見仏教の修行には関係なさそうな人にまで話を聞きに行っているんです。

価値観の幅を広げる修行だったのかも


この行動って、自分の価値観の枠を破るアクションに通じていませんか?
例えば「仏教徒ならこうあるべき」とか、ついつい思いがちです。
善財童子は、自分とは接点のない世界で生きている人とも対話し、
時には利害が対立するであろう人からも学びを得ようとしています。
仏教のエッセンスをどんな人からも学べるという説話にも捉えられますが、
「悟りを得る」という目的を達成するために情熱を絶やさず、
自ら世界観を広げていく童子の姿は、
現代に生きる私たちにも通じる生き方だと心に刺さりました。

見方を変えれば「世界観を広げられた」から、
童子は悟りに至れたのかなとも思います。
他者とのつながりをただ増やせばいいということではないけれども、
いろいろな生き方や価値観に実際に触れて
自分が望む生き方ってどんな感じだろうと考えてみる。
そのヒントを与えてくれるのが善財童子の物語なのではないかと、
あの微笑みを思い浮かべています。

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