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気象予報士試験対策 学科 一般知識

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2024年3月の記事一覧

気象予報士過去問対策 学科 一般知識 過去問 大気の構造

気象予報士過去問対策 学科 一般知識 過去問 大気の構造

大気の構造に関する過去問の解説です。

令和3年度第2回目(57回)問1
太字部分の正誤問題
中層大気1月の月平均の気温や等圧面高度などについての問題です。
(1)高度10〜20km付近では経度平均した気温が最も低いのは赤道付近である。❌
 👉対流圏界面から成層圏下部での現象についての問題でした。
  この領域では、年間を通じて赤道付近上空が最も気温が低くなります。

(2)高度20〜50km付

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気象予報士試験対策 学科 一般知識 中層大気

気象予報士試験対策 学科 一般知識 中層大気

本日は、中層大気(成層圏から下部熱圏までの気層)の話。
昨日までは、対流圏に出現する現象を見てきました。この分野の出題は稀ですが、たまに出題されているので、要点を押さえておきましょう。

🔵中層大気の気温の分布
 下図は東京大学大学院の佐藤薫先生の研究室のウェブサイトから引用しました。7月の緯度高度断面における東西平均気温を示したものです。
特徴は、夏極(この場合は北極)の成層圏界面付近が高温に

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気象予報士試験対策 学科 一般知識 局地風

気象予報士試験対策 学科 一般知識 局地風

本日は、局地風の話。
🔵海陸風
 海と陸では太陽から吸収する熱量が大きく異なります。太陽熱で海面と比べて比較的温まりやすい陸地はその上ある空気を温めます。温められた空気は上昇します。陸地で空気が上昇すると海上から陸地に空気が流れ込みます。
 日中は海上から陸上に向かって吹く風(海風)が吹きます。
 一方、夜間は陸地の方が海面と比べて温度の低下が早いため、海上の方が暖かい状態となります。そこで夜間

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気象予報士試験対策 学科 一般知識 降水過程、十種雲形と霧

気象予報士試験対策 学科 一般知識 降水過程、十種雲形と霧

🟣まずは雲粒
 水蒸気が上昇して冷却されて凝結することで雲粒ができます。エーロゾルなどの微小物質が空気中にあれば凝結核として働き、水蒸気が凝結しやすくなります。
また、海上の上空にある吸湿性のエーロゾルである海塩粒子は水蒸気の凝結を起こりやすくしています。

🟣雲粒が降水粒子に成長
(1)併合過程 暖かい雨
 雲粒同士が結びつき、より大きな粒子が落下中に小さい粒子を取り込んで降水粒子に成長して

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気象予報士試験対策 学科 一般知識 大気に働く力

気象予報士試験対策 学科 一般知識 大気に働く力

この部門も毎回出題されています。計算力が必要な場合もあります。

🟢気圧傾度力
 気圧の高い方から小さい方に働く力を気圧傾度力と言います。
 等圧線の高い方から等圧線に垂直で低い方に働く力を言います。等圧線の間隔が込み入っているほど気圧傾度力は大きくなります。
 静力学平衡の時に習った式も使います。ある高度の空気塊は地球の重力によって下向きに力を受けますが、重力に逆らって気圧傾度力は上向きに働い

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気象予報士試験対策 学科 一般知識 温帯低気圧

気象予報士試験対策 学科 一般知識 温帯低気圧

中緯度地方に現れて低緯度の熱を高緯度に運ぶ役割を担っています。統計的に処理された熱の運搬であるフェレル循環の役割です。

温帯低気圧の学習で重要なことは地上付近の低気圧と上空の気圧の谷との関係です。
500hPa面での気圧の谷をトラフと呼んでいます。地上低気圧の中心と500hPaのトラフを結んだ線(渦管と言います)が上空に向って西方向に傾いていると低気圧は発達します。地上低気圧の西にトラフがあれば

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気象予報士試験対策 学科 一般知識 前線の話

気象予報士試験対策 学科 一般知識 前線の話

天気予報でよく聞く言葉ですね。「前線」
前線は性質の異なる空気が接したところと説明しました。
日本付近には、4つの大きな性質の異なる空気のグループがあります。

🔵オホーツク海気団
 オホーツク海にいます。海洋性の気団なので空気は湿っています。背の高い高気圧なので上空は相対的に暖かくなっていますが、下層は冷たい海で冷やされて寒冷になっています。梅雨期と秋霖期に影響を及ぼします。

🟡小笠原気団

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気象予報士試験 学科 一般知識 大気の流れ

気象予報士試験 学科 一般知識 大気の流れ

地球の受け取るエネルギーについて学習しました。
低緯度は高緯度に比べて太陽から受け取るエネルギーが大きいこと、そしてその受け取った熱を低緯度から高緯度に運ぶために海流や台風などがあることに触れました。
ハドレー循環などの大気の流れを今回は紹介します。試験にもよく出ています。

 大気の南北の動きとして、低緯度側から、ハドレー循環、フェレル循環、極循環があります。
 ハドレー循環と極循環は直接循環と

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気象予報士試験 学科 一般知識 大気の熱

気象予報士試験 学科 一般知識 大気の熱

空気の熱力学などを学んだ後は、地球の大気を温める熱源と熱の伝搬について学びます。大気の熱源の大部分は太陽からのエネルギーです。

気象学などの教科書では、「黒体放射」とかプランクの法則、シュテファン・ボルツマンの法則などの説明があり、難しいなぁと感じる人もいるかもしれません。

山を張るわけではありませんが、どうしても理解が困難な場合は捨て問にしてその他で確実に得点するという戦略もあります。実技試

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気象予報士試験 学科 一般知識 大気の安定度

気象予報士試験 学科 一般知識 大気の安定度

よく天気予報を聞いていると特に梅雨期や夏季に「上空に寒気が入って大気が不安定になり・・・・」というフレーズを耳にすることが多いと思います。
大気が不安定になると天気が荒れます。荒天になるとはどういうことでしょうか?「荒天」と同じ読み方で「好天」があります。全く正反対です。
荒天(severe weather)。確定した定義はありません。しかし、好天と正反対で雨や風がつよく、雷が鳴ったり落雷があった

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気象予報士試験対策 学科 一般知識 エマグラム

気象予報士試験対策 学科 一般知識 エマグラム

本日はエマグラムについてです。気象予報士試験の勉強をするまで、お恥ずかしきことながら「エマグラム」を見たことはありませんでした。

上の図は気象庁ウェブサイトにあります。詳細なる解説も書かれているので、詳しく勉強される方は、そちらをご覧いただければ。
まず、グラフの縦軸(y軸)は気圧を示しています。y軸の大きくなる方向は高度が高くなる方向と同じです(高度が高くなるので、気圧は下がります。このため縦

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気象予報士試験 学科 一般知識 熱力学その2

気象予報士試験 学科 一般知識 熱力学その2

本日は、乾燥断熱減率と湿潤断熱減率と温位などについてです。
🟢乾燥断熱減率 dry adiabatic lapse rate DALR
空気塊がその空気塊の外から熱をもらったり、与えたりすることなく(このことを断熱と言います)変化することを断熱変化と呼んでいます。
乾燥断熱減率は、空気塊が飽和していない(湿度が100%に達していない)状態で空気塊が上昇した時に、周りから熱の出入りがない時の気温

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気象予報士試験 学科 一般知識 熱力学

気象予報士試験 学科 一般知識 熱力学

高等学校の物理の教科書をお持ちの方は、そちらをご参照ください。
理科系の知識が必要な部門です。
PV=nRT でお馴染みの式。n:物質量(mol)

密度ρは空気の重さnを体積Vで割ったものなので、上式は
P=ρRTと書けます。 P:圧力、ρ:密度、R:気体定数、T:絶対温度
↑この式を使って解答する問題が出題されています。

🔵ボイルの法則
PV=nRTを見てみましょう。気体の温度を一定として

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気象予報士試験対策 学科 一般知識 大気 その2

気象予報士試験対策 学科 一般知識 大気 その2

大気の部門に関する過去問です。昨日の記事「気象予報士試験対策 学科 一般知識 大気」を合わせてどうぞ。

令和4年度第1回(第58回) 学科一般知識 問1
正誤問題
(1)対流圏の気温の鉛直分布は放射収支によって決まり、気温は平均的に高度が1km高くなると約6.5℃低下する。❌
👉対流圏における気温の平均的な鉛直分布は、放射のバランスと対流による大気の鉛直混合および水蒸気の凝結過程によりほぼ決ま

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