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気象予報士試験対策 学科 一般知識 大気 その2

大気の部門に関する過去問です。昨日の記事「気象予報士試験対策 学科 一般知識 大気」を合わせてどうぞ。

令和4年度第1回(第58回) 学科一般知識 問1
正誤問題
(1)対流圏の気温の鉛直分布は放射収支によって決まり、気温は平均的に高度が1km高くなると約6.5℃低下する。❌
👉対流圏における気温の平均的な鉛直分布は、放射のバランスと対流による大気の鉛直混合および水蒸気の凝結過程によりほぼ決まります。

(2)対流圏界面の高度は平均的には低緯度で高く、高緯度で低くなっている。⭕️
👉正しい記述です。このまま覚えましょう。

(3)乾燥空気の化学組成は成層圏界面までは高度によらず一定であるが、それより上空では重力の影響によって分子量の大きい気体と小さい気体の分離が起こるため高度によって異なる。❌
👉中間圏界面(高度約80km)まで一緒です。

(4)1月や7月の中間圏界面付近の気温は、夏極が低く、冬極の方が高い。⭕️
👉成層圏界面と中間圏界面ではちょうど真逆です。成層圏界面と「逆」と覚えておけば良いでしょう。
 成層圏界面は夏極で気温が高くなります。24時間太陽放射が夏極ではあります。一日中日射があるので暖かくなります。
 成層圏界面は冬極では気温が極少です。一日中日射がないので冷え冷えです。

令和5年度第1回(第60回)学科一般 問1
(1)乾燥大気における酸素の容積比は30%を超える程度であり、残りのほとんどを窒素が占めている。❌
👉酸素は21%です。30%超えではありません。正確な知識が求められます。

(2)乾燥大気において、窒素と酸素に次いで大きな容積を占めるのは、二酸化炭素である。❌
👉窒素(78%)、酸素(21%)のつぎは、アルゴン(0.9%)です。二酸化炭素は0.038%です。

(3)オゾンは低緯度の成層圏で多く生成されており、オゾン全量は年間を通じて赤道を中心とした低緯度で最も多くなっている。❌
👉前段の「オゾンは低緯度の成層圏で多く生成される」のは正しい記述です。
 オゾンの濃度が最も高くなるのは中高緯度の冬から春にかけてのタイミングです。
 冬半球の冬季から春季(北半球では、12月から5月。
            南半球では、6月から11月。)

令和3年度第1回(第56回)学科一般 問1
気圧の平均的な高度分布は、地上(高度0km)で1000hPa、高度約5kmで500hPa、約10kmで250hPa、約15kmで125hPaというように、ほぼ一定の高度間隔ごとに一定の比率で減少している。この時大気全体の質量の99.9%が含まれる地上からの平均的な高度として最も適切なものを、下記の①〜⑤の中から選べ。
① 約24km  ② 約32km  ③ 約48km  ④ 約64km  ⑤ 約96km

成層圏界面の気圧は1hPa。成層圏界面高度は約50km。これを思い出すと計算しなくても③約48kmが導けます。

(別解)計算してみましょう。
地上では1000hPa。地上より上空には地球の大気が100%あります。
5km上空。500hPa面よりも上空には地球の大気の50%があります。
10km上空。250hPa面よりも上空には地球の大気の25%があります。
(対流圏界面の平均高度付近)
15km上空。125hPa面よりも上空には地球の大気の12.5%があります。
20km上空。62.5hPa面よりも上空には地球の大気の6.25%があります。
25km上空。31.125hPa面よりも上空には地球の大気の3.125%があります。
30km上空。15.5hPa面よりも上空には地球の大気の1.6%があります。
35km上空。7.7hPa面よりも上空には地球の大気の0.8%があります。
40km上空。3.8hPa面よりも上空には地球の大気の0.4%があります。
45km上空。1.9hPa面よりも上空には地球の大気の0.2%があります。
50km上空。1hPa面よりも上空には地球の大気の0.1%があります。
(成層圏界面付近)

よって、成層圏界面付近の気圧は約1hPa。成層圏界面よりも下層には地球の大気の99.9%があるということになります。
逆に言えば、中間圏以上には地球の大気は0.1%しかないことになります。

令和2年度第2回(第55回)学科一般 問1
(1)水蒸気を除いた乾燥空気における窒素、酸素、アルゴンの存在比は、地上から高度約80kmの中間圏界面付近までほぼ一定である。⭕️

(2)成層圏界面付近で気温が極大になるのは、主にオゾンが太陽からの紫外線を吸収して大気を加熱するからである。⭕️

(3)対流圏界面の高さは、平均的には低緯度より高緯度の方が高い。❌

(4)対流圏の温度減率は、平均的には約9.8℃/kmである。❌


令和2年度第1回(第54回)学科一般 問1

気象業務支援センターウェブサイトから引用
E層は筆者による加筆です。過去問にはE層はありません。

(1)気層Aでは、大気が波長の短い紫外線などを吸収して、高度が高いほど気温も高い。⭕️
👉熱圏の記述。

(2)電離層は紫外線の作用により形成され、その大部分は気層Bの中にある。❌
👉電離層は熱圏(気層A)です。気層Bは中間圏です。

(3)気層Cのオゾンの数密度は、大気層全体の中で最も大きい。❌
👉気層C(成層圏界面)ではなく、気層E(オゾン層:高度約25km)にオゾンがたくさんあります。

(4)気層Dにおける気温の平均的な鉛直分布は、放射のバランスと対流による大気の鉛直混合および水蒸気の凝結過程によりほぼ決まる。⭕️
👉太字は重要です。対流圏における気温の平均的な鉛直分布については、このまま覚えましょう。

本日はここまでにします。最後までお読みいただきありがとうございました。

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