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気象予報士試験対策 学科 一般知識 前線の話

天気予報でよく聞く言葉ですね。「前線」
前線は性質の異なる空気が接したところと説明しました。
日本付近には、4つの大きな性質の異なる空気のグループがあります。

🔵オホーツク海気団
 オホーツク海にいます。海洋性の気団なので空気は湿っています。背の高い高気圧なので上空は相対的に暖かくなっていますが、下層は冷たい海で冷やされて寒冷になっています。梅雨期と秋霖期に影響を及ぼします。

🟡小笠原気団
 ハドレー循環の下降気流付近にあたり北太平洋の亜熱帯高気圧により発生します。湿潤で高温な気団です。夏季に日本に高温・多湿をもたらす気団です。梅雨期にオホーツク海気団とともに日本付近に大雨をもたらします。

🔵シベリア気団
 中国大陸が寒冷となる冬季に発生します。放射冷却により大気下層の空気が冷却され地上付近で高気圧が見られます。他方、上空に向かって高気圧は不明瞭になります。
冬季の北西よりの季節風を引き起こし、冬季の日本海側の大雪などに寄与します。冬季の太平洋側には晴天をもたらします。

🟡揚子江気団
 日本付近の春と秋に移動性高気圧をもたらします。乾燥していて温暖な気団です。

前線と前線面
異なる空気が接したところに前線帯ができます。前線帯のうち、暖気側の境界線が「前線面」になります。
「前線」は前線面と地上が接したところを指します。他方「前線面」は地上から上空にかけて繋がっているという意味合いがあります。
性質の異なる空気が接している「地上」の暖気側との境界が「前線」ということになります。
実技試験で、地上から上空にかけて広がっている前線帯に関して、「前線面」と出題者が解答させたい問題で「前線」と書いてしまうと減点となります。
実技試験では厳密な定義が定着しているか試されることがあります。

前線帯では等温線または等相当温位線が集中しており、温度傾度または相当温位傾度が大きくなっています。

前線について、主なものは次のとおりです。

🔴温暖前線
 暖かい空気が冷たい空気の上を登っていく時にできる前線です。主に温帯低気圧の進行方向前面に現れます。前線面の傾きは100分の1から200分の1と緩やかです、実技試験ではこの傾きを計算で求めなければならないことがあります。100分の1から200分の1の間から大きく外れる数値が導かれたら計算間違いを疑う必要があります。
 前線面の傾きが緩やかなので、層状に広がった雲が形成されます。気象衛星からの写真では雲頂が滑らかな雲として観測されます。温暖前線通過後は一般的には低気圧の暖域に入るので暖かくなります。

🔵寒冷前線
 冷たい空気が暖かい空気の下に潜り込む時にできる前線です。主に温帯低気圧の進行方向後面に現れます。前線面の傾きは50分の1から100分の1と温暖前線と比べて急です。前線面の傾きが急なので鉛直方向に発達した雲が発生します。特に積乱雲のように激しい現象を引き起こす雲が発生します。寒冷前線通過後は冷たくて乾いた空気が入ってくるために気温・湿度ともに下がります。寒冷前線の通過のタイミングが実技試験などで問われます。低気圧の暖域の南西よりの風が西または北西の風に急変して気温が急降下、相対湿度が急低下した時が目安です。

🟡閉塞前線
 寒冷前線と温暖前線では、その進行速度が異なるため、進行速度の速い寒冷前線が温暖前線に追いついてしまいますが、その時に発生するのが閉塞前線です。
 閉塞前線にはアナフロントとカタフロントの2種類があります。

🟢停滞前線
 温暖前線や寒冷前線と違って動きが小さく同じ場所に比較的長く止まったりします。梅雨期や秋霖期に日本列島付近に東西方向に伸びたものが現れます。停滞前線上に低気圧が発生することもあります。オホーツク気団と小笠原気団の境目に発生するのが梅雨前線です。
 日本付近の梅雨前線ですが、梅雨前線は西側では温度傾度は東側に比べて小さく、その代わりに相当温位傾度が大きいのが特徴です。この特徴については実技試験で問われることがあり、実技対策でまたお話しします。
 中国の華南地方から東シナ海にかけて高相当温位領域が伸びていることがあります。最近の気象番組では「湿舌」ということで解説されていますので「湿舌」という言葉は馴染みがあるかもしれません。
気象庁のウェブサイトでは次のように湿舌を説明しています。『梅雨前線帯などに見られる高度3km付近の舌状にのびた湿潤な領域。前線帯での対流活動により、下層の水蒸気が上空に運ばれた結果、形成される。』


最後までお読みいただきありがとうございました。

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