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高野文緒『ビブリオフォリア・ラプソディ』

 本をめぐる、5本の独立した小説群。
 不思議な話、リアルな話、様々混じっている。
 私が読んでいて心に残ったのは、本に関するとある法律が施行された世界を描いた「ハンノキのある島で」。絶対にこんな世界で生きたくない!生きていけない!古い本にも価値はあるんだ!!と叫びたくなった。そういう意味で、心に残った。
 もう一つ忘れられないのは、「詩人になれますように」。元天才美少女大学生詩人の、今は冴えない会社員が主人公。病んでいく様子が自分自身とすごく重なって、他人事と思えなかった。こういう、パッと花が咲いて次が出なかった人ってたくさんいるんだろうな、そういう人はどうしているのかな、と考えさせられた。

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