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傘村トータ「アルルの花」原田マハ「リボルバー」を思い出す

傘村トータさんの曲「アルルの花」を聞いたとき、原田マハさんの「リボルバー」という小説が頭に浮かんだ。 傘村トータさんは、日本の音楽家でボカロPである。私も「人工呼吸」など好きな楽曲が沢山あり、眠る前に聴くことが多い。 原田マハさんの小説にはまったのは「暗幕のゲルニカ」を読んだことがきっかけである。どちらもフィクションであるが、もともと美術についての知識がない私にとっては、詳しく知りたい…!と興味を持つきっかけとなった。 「リボルバー」は主人公である高遠冴が、勤務先へ持ち込

    • 【読書感想】生命式/村田沙耶香

      「コンビニ人間」をはじめ、「地球星人」、「丸の内魔法少女ミラクリーナ」、「殺人出産」といった村田沙耶香の本を読み虜になり、今回手に取ったのが「生命式」であった。 殺人出産とともに購入した本であり、どちらとも現在の世界とは異なる世界が舞台となっていることから、セットで読んだことによる衝撃はすさまじかった。 まず読み終わった際に感じたのは、変化への恐怖だ。正常は発狂の一種という言葉が頭から離れない。正常とは、たまたま多数で世界に認められた発狂なだけであり、ころころと変化する。そ

      • 【読書感想】さいはての家/彩瀬まる

        彩瀬まるの本で初めて読んだのは『やがて海へと届く』。他にも『くちなし』『朝が来るまでそばにいる』を読んできた。そして今回手に取ったのは『さいはての家』。2020年1月刊行。 5話からなる短編集だが、舞台は同じ古い借家である。住民のこの家に来た目的はそれぞれだが、同じようにこの古い家の「住民」になっていく。そして自分自身の光と影を覗くことになる。 私はこの本を読み、読書の素晴らしさを再確認できた。言葉にできない感情、まだ感じたことのない気持ち、そして背負ったことのない責任も

        • 【読書感想】平成くん、さようなら/古市憲寿

          芥川賞候補作品 作者の古市憲寿の初小説 舞台は平成が終わるまでの1年間。安楽死が合法化された日本。 突然安楽死をしたいと言い出した平成くん。平成くんは。平成が終わり、古い人間になるのが嫌で安楽死をしたいと告げる。そして、そんな恋人の説得を試みる愛ちゃんの話。 テーマとしては安楽死や死の実感についてなどいろいろと考えられるが、改元っていうシンプルなものでもありそう。 おもしろかった。「ねえ平成くん、」から始まる2人の会話がとても好き。固有名詞がリアリティを出していて、現実と

        傘村トータ「アルルの花」原田マハ「リボルバー」を思い出す

          【読書感想】ちとせ/高野知宙

          第三回京都文学賞受賞作(中高生部門) 作者は高野知宙 17歳 表紙に描かれた三味線と、同い年という作者に惹かれて手に取った本。 帯にはいしいしんじと今村翔吾が作者を絶賛するメッセージがあり、 赤く「17歳の新星!」という文字が。 私的には京都の小説ということもあり、いしいしんじさんの「高野知宙は、きわだつ耳と冒険心をそなえた、時の上の旅行者だ。」という言葉に強く興味をそそられた。 また、三味線を習っていることもあり、すぐに買う決心がついた。 舞台は明治5・6年の京都。 文

          【読書感想】ちとせ/高野知宙