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派遣という働き方

派遣社員と呼ばれる働き方になってから、もうかれこれ20年以上になる。

ちょっと人生を遡ってみると。

中学2年生の頃に将来について先生に聞かれた時、わたしは「手に職をつけたい」と答えた。
何か特別な職を思い描いていたわけではない。
「手に職」という言葉に魅力を感じていただけだったように思う。

その数年後、大学2年のときに、当時習っていたピアノの講師の資格を取った。
取ったからと言ってすぐに生徒をとって教室を開けるなどという簡単な世界でもなかったのだが、わたしの先生が病気を理由に生徒を手放すことになったので、まるっと引き受けた。これぞ棚ぼた。

生徒は20人強いた。
そして、大学生の自分は、いとこの家庭教師をしておりそれも続いていたため、ピアノ講師と家庭教師という二足のわらじで、就職活動をしないまま大学を卒業した。

ちなみにめっちゃバブリーな時期だったので、学生が自分で就職活動しなくても、事務局の人が勝手に書類選考まで通して面接の約束を取り付けてきたりしてた。うちの大学だけかな?
でも自分は銀行の窓口業務なんて全くもって興味がなかったので断ったらあとですごい怒られた、事務局にも父親にも。
当時の花形職業は銀行員とかスチュワーデスとか。いまはCAって言うよね。それらが人気の時代だった。あ、今も人気かもしれないけど。
あと、途中から塾講師もやったので、三足のわらじだった。

終身雇用が当たり前だった時代に就職しなかったわたしは、団塊世代の親から見ると”定職に就かない半端者”に見えていたようだ。

ピアノ講師と家庭教師という仕事を7年くらい続けたあと、ふと、留学したくなってすべてを辞めて渡米した。

アメリカから帰ってきたのは、そのさらに数年後。
見事なまでにバブルは弾け飛んでいた。
そして、「派遣」という働き方が注目を浴び始めてきた頃だった。

渡米前にまともに就職活動をしておらず、「会社に就職して決まった時間から決まった時間までお勤め」というのも経験がないわたしがどうやって仕事に就けばいいのか思案していたら、妹が「派遣会社に登録してそこから仕事を紹介して貰えばいい」と教えてくれた。

便利。と思って、某派遣会社に登録することにした。
登録フォームに数少ない履歴を入力しながら、果たしてすぐに仕事を紹介してもらえるものなのだろうか、と半信半疑だったが、その週のうちに連絡が来て3日後には面接を受けた。
縁があって、とある会社に派遣社員として行くようになった。
その後引っ越したり色々とあったが長くなるので割愛。
しばらく後、派遣会社の正社員になった。
この時から、一般派遣社員ではなく、会社間契約で派遣される派遣社員に変わった。(3年縛りというのがなくなった)
派遣というスタイルは変わらず、契約先の会社もスライド式で同じままだった。
ただ、正社員という雇用形式になったことで福利厚生が充実したので、その点でも自分にとっては理想的になった。

めっちゃ前置きが長くなったけど、20年以上このスタイルで働いているのは、この働き方が自分に合っているから。

もちろん自社の業務もゼロではないが、毎日出社するのは派遣先である。
自社ではないので、人事異動や転勤などには無関係。
毎日出社する派遣先ではあるが、組織としてのいろいろなことにはあまり巻き込まれずにいられる。(巻き込まれることがないわけじゃないけど)

持っているスキルで契約が成立するので、スキルに合う職場にダイレクトに入れるし、そこで新入社員扱いもされない。
頼まれた仕事には責任を持つが、人間関係とか組織のあれこれとかそういうのとは無関係でいたい。
どんな派遣先にするかも、自分で選べる。
いろんな経験がしたければ、派遣先を乗り換えることも自由だ。

だからわたしにはこの派遣というスタイルが合っているのだと思う。

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