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63歳で会社を定年退職してみたら、QOLが向上した

在籍していた会社の定年は65歳だが、「選択定年制」が導入されており、60歳から65歳の間で定年退職年齢を決めることができた。そして私は役職定年を迎えた昨年3月末に、63歳で会社を定年退職したのである。

さて定年退職はしたものの、具体的な生活設計はなかった。幸い住宅ローンは終わっているし、子供は自立している、また少しは貯蓄もあるので、なんとかなるだろうと高を括っていた。

確かになんとかなった。しかし、それにはいろいろな対応や日々の生活での節約が必要だった。そしてそれらは辛く苦しいことかと思いきや、意外と豊かな生活を過ごすことができるようになったのである。いわゆるQOLが向上したのだった。


■収支の把握と目標の設定

本来であれば退職を決意した時点で行うべきことだが、現実を直視するのが恐ろしくて、先送りしていると退職後になってしまった。さすがに、退職してしまった以上、目を瞑るわけにはいかない。

そして、恐ろしいことがわかった。1月の収支だったこともあり、驚くべき支出だったのである。あえて書かない(書けない)が、その調子で生活していたら、あっという間に破綻してしまう。

そこで、将来年金が満額支給された時点で、無理のない程度の仕事で賄えるほどの赤字で済むように、それぞれの支出項目に目標金額を設定した。本来であれば、仕事をしなくても済むように設定し、仕事はまるまるお小遣いにしたいところだが、いきなりは無理であろうから、現実路線で開始した。

この設定目標に向けた取り組みが、意外な形で生活の質を向上させる結果になったのである。

■通信費の削減

我が家は私と妻がそれぞれiPhoneを所有しており、中でも私は仕事で使用していたこともあり、贅沢なプラン設定になっていた。そこでそのプランを格安プランに変更した。具体的にはAUの標準プランからUQモバイルの格安プランに変更したのだが、おかげで以前より通信費を気にせずにスマートフォンを使えるようになった。

■保険契約の見直し

新たな契約内容では、死亡時の支払いをなくした。この歳になって死亡時の支払いと言ってもそれほどの金額は支払ってもらえない。その割には保険料は高くつく。むしろ、私が死んでも妻が安心して生活できるように、妻の特約を充実させることにした。

ところが、保険の契約内容が大きく変更されたことで再契約となり、健康診断結果などの再審査となったのである。

私たちの場合は、特に健康上の異常がなかったために問題なく再契約できたが、この手続きが遅くなり、なんらかの健康障害があると再契約はできなくなる。保険に手をつけるのであれば、早い方がいい。

ちなみに、再契約で約6,000円の減額となったが、今回は金額の問題よりもその内容が充実できたことに意義を感じている。これで安心して病気になれる、と言ったら叱られるのだが。

■高速道路を使わない

自宅から片道50kmほどの移動は高速道路を使わないことにした。

最近の高速料金の高騰はひどい。自宅から(兵庫県)西宮まで約50kmだが、阪神高速を使うと片道1,500円かかる。往復で3,000円である。月に一度くらいは買い物などで出掛けていたので、下道を利用すると3,000円の節約になる。

高速を使うと1時間半だが、下道だと2時間かかる。要するに時間を金で買っているのだが、30分余分に時間をかけて、周りの景色をゆっくり楽しむドライブの方が気持ちがいい。

■ガソリン代を節約する

要するに無駄な遠出をしないということである。

「せっかくの休みだし、(我が家の兵庫県の南側から)日本海までパスタを食べに行こうか」なんてことは「普通には」しない、ということである。もっとも、「これって普通なのか?!」ということだが、車の運転が好きな私はすぐに遠出したがった。

しかし、いくら車の運転が好きとはいえ、先述の高速道路の使用とは逆の意味で、これは時間の無駄である。その時間を使ってもっと有意義なことができる。例えば、読書をするとか、映画を見るとか。

■食材の価値を吟味する

贅沢を無くすと、次に節約しないとけないのは日々の食費である。そのためには食材の価格を吟味しないといけない。安くて品質の良いものを買う、という当たり前のことに注力する必要がある。

美味しくて健康的な食材を売りにしている割高な店に盲目的に行くのではなく、店にこだわらず地元で採れた旬の食材を選ぶことで美味しさと健康を手にする。店で評価するのではなく、食材それぞれで評価する。なんと言っても旬は安くて美味しい。

これらのことにこだわると食費は大きく節約することができる、と同時に食の価値が向上する。

■外食をしない

食事を作るのは面倒だ。だから外食にしよう、というのが、今までの発想だった。

しかし、節約のためには外食をやめて家で料理をすると、(すでに記事をかいている通り)これが意外と楽しい。

妻は今までの家事から、(少しだけ)解放されるし、私は料理が美味しくできて褒められると、それが喜びになる。そしてなにより節約になる。一石三鳥ではないか。

■まとめ

定年退職してから1年を迎えようとしている。
先日64歳になり、特別支給の老齢厚生年金の支給が始まったものの、満額でない現在は生活費を切り詰めつつ、貯蓄からの持ち出しになっているのが実態である。

しかし、その生活自体は会社勤めをしている時期の何倍も充実している。

それは、時間を金で買う生活から、時間をかけて金では買えない質をえる生活にかわったということだろう。

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