見出し画像

バイクライドの風景_#17 (痛い思い出は美しい絵と共に)

まずは、こちらの風景から。

水管橋

この映像はつい先日、いつもの河川敷から見る水管橋を支流にかかる橋から撮影したものだ。

この支流にかかる橋は毎日のように走っているのだが、あえて水管橋を眺めることはなかった。ところが自転車を停めて、改めて眺めてみると意外と美しい絵だった。

ところで呑気に写真を撮っているこの橋….。
実は4年前、自転車で転倒して、人生で初めて骨折を経験した橋なのだ。

転倒事故

それは2020年6月、ロードバイクを購入して9ヶ月目の出来事だった。

当時はロードバイクを手に入れたのがうれしくて、取り憑かれたように東西南北、色々な場所に走りに行っていた。そのうちのコースの一つが現在毎日走っている河川敷の一周コースだった。

その日は前日の雨が嘘のように、朝からいい天気だった。おそらくロードコンディションも改善されているだろうと、10時過ぎになって河川敷を走ることにした。

河川敷を川下から川上へと上るコースで、水管橋を通過した後にある右カーブへと快調に飛ばして進入していった。速度は30km/h近く出ていた。車体を右に傾けた瞬間に、右肩に激痛が走り、自転車ごと地面を転がっていた。

路面の砂地に前輪が滑り、自転車が転倒。私は右肩から地面に叩きつけられたのだった。

幸い自転車には異常がなかったので、肩の痛みを我慢してペダルを踏み続け、途中でショートカットしてなんとか家まで帰り着いた。

骨折

肩は痛みこそあるが、それほど腫れてもなかったので、このままにしておこうかと思ったのだが、念のために行きつけの整形外科で診てもらうことにする。

レントゲンを撮って診察室に入ると、そこには久しぶりに会う主治医が座っていた。

主治医「ちょっとわかりにくいんやけど、鎖骨が骨折しとるなぁ。
    骨折言うてもいわゆるヒビやけどな。」

処置としては湿布のみで、三角巾で手を吊って動かさないようにしなさいとのこと。人生初めての骨折だった。

「自転車で転倒して、右鎖骨を骨折」というようなことを書いているのだろう。下を向いてカルテにペンを走らせる主治医の表情がにやけている気がしたのは、気のせいだろうか。

「自転車にはいつから乗れますか」と質問すると、「まっ、1ヶ月はおとなしくしとくんやな」と笑顔で答えてくれた。

負傷直後の状況
タイヤが滑った砂地

状況を確認するために、その日の午後に現場を車で訪れてみると、見事に砂地に滑った跡(まるで囲んでいる部分)が残っていた。路面の状態を確認しないでコーナーに突入するという初歩的なミスの結果だ。情けない話だ。

青い三角巾

事故は土曜日だった。そして週明けには行きつけの医師に言われた通り、病院でもらった白い三角巾で手を吊って出社した。さっそく支店長に自転車で転んで養生のために手を吊っている旨を報告した。

当時、支店での私の職位は安全衛生部門の管理職だった。そんな立場にある者がプライベートとは言え、本人の不注意で怪我をしたというのは、あまりよろしいことではないなぁ、と半分笑いつつ、一応苦い顔をされた。

そして、
「せめて、その白い三角巾は目立たない色にしとこうな。」
とのこと。

その日の帰りに手芸屋さんによって、制服と同じ青い色の生地を買ってかえり、自作の三角巾を作った。しかしパソコンのキーボードを叩くときには三角巾を取らないといけないのが面倒で、結局数日後には三角巾はしなくなった。

危険なカーブ

自転車乗りの先輩が所属する部署に用事があり、用事のついでに彼に今回の転倒のことを話した。

私 「実は河川敷の上りコースで転んでしもてん」
先輩「えっ、どこ?』
私 「水管橋を出たところの右カーブ」
先輩「あそこかいな!!俺も転んで骨折したことがあるで!
   なんか、他にも転んでたわ!」

ということで、どうも河川敷では魔のカーブだったようだ。

忘れる主治医

3週間後に経過確認のために受診した。
診察前にレントゲンを撮り、その後診察室に入り、主治医の前に座った。

主治医「よくなりつつあるようやな。」
私  「よかった。ありがとうございます。」
主治医「で、なんで骨折したんやったっけ」
私  (ガクッ!)「自転車で….」
主治医「そうそう、転んだんやなぁ〜」

主治医はカルテから顔をあげ、にこやかに私の顔を見た。「わざと忘れたフリか?」と思いつつ私も苦笑いをしたのだった。


そして月日は流れ、コーナーでは減速して路面の確認を怠るまい!!と心に決めて走っていた約2年後、今度は歩道の段差に斜めにかけられた濡れた金属プレートで滑って転倒した。

この時は左の肘と肩を強打したが、明らかに前回よりも痛みが小さいので病院は受診しなかった。主治医に「またかいなぁ」と言われるのも嫌だったし….(冗談です)(笑)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?