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横浜の震災遺構を巡る

横浜は開港後、レンガ造りの建造物が多く建てられた。関東大震災で倒壊し残った遺構が整備され、公開されている。
関東大震災は大正12年(1923 年)9月1日に起きた。2023年は100年目となる。神奈川県では「関東大震災100年事業」として地震防災対策の普及と啓発をしました。

遺構を見て何が楽しいのか?
建物を想像する?
その時代を想像する?
地震の凄まじさを想像する?
無くなってしまった建造物を思い描いてみたくて遺構をまわってみた。


みなとみらい線元町中華街駅を元町側にでます。港の見える丘公園の入り口に旧フランス領事館のメダリオンを見ることができます。そこからは登りですからちょっと大変。駅からエレベーターでアメリカ山公園にあがってもいいですよ。途中領事館跡や井戸の遺構が見れます。春は桜に始まり5月になるとバラが咲き乱れる庭園があります。

(1)旧横浜フランス領事館のメダリオン中区山手114(港の見える丘   公園)

メダリオン:建築装飾の円形や方形のフレーム。その家の来歴を物語る彫刻や絵画がを嵌め込んだもの。明治の西洋建築ではその建物に関する事物が刻まれている。

旧フランス領事館メダリオン
フランス橋のたもとにあります
レンガ造の井戸遺構
覗いたけど見えません
これはなんだったのかなぁ?
フランス山の風車

旧フランス領事館遺構 (港の見える丘公園)

再建後焼失した旧フランス領事館の遺構

上まで来たら公園を出て横浜地方気象台に向かいます。アメリカ陸軍病院の跡地に建っていて、病院があった頃の井戸の遺構があります。

(2)横浜地方気象台 アメリカ海軍病院レンガ造りの井戸
  中区山手99番地

横浜地方気象台
観測露場付近に説明展示
井戸の一部

外人墓地の前を通り元町公園に向かいます。富士山が見え、桜もステキです。エリスマン邸の前から元町公園に入ると山手80番館遺跡があります。
ジェラールの水屋敷の跡地は震災後整備され元町公園になりました。プールと弓道場があります。
昔、プールに行きましたが夏なのに水の冷たさに驚いたものです。元町公園をおりて行くとジェラールの貯水槽を見ることが出来ます。

(3)元町公園 中区元町1

横浜市が整備した復興公園。ジェラールの水屋敷の水源を利用して震災後プールや弓道場が作られた。昭和5年開園。

弓道場
弓道の練習
元町公園プール

(4)山手80番館遺跡 中区元町1(元町公園)

横浜で唯一現存する震災前に建てられた外国人住居の遺構。間取りがわかってステキな家が建っていたことが分かります。

山手80番館
山手80番館遺構
間取りまでわかります

(5)ジェラール水屋敷地下貯水槽 中区元町1-77(元町公園)

横浜に居留したA.ジェラールが谷戸の湧き水を貯水し、船舶給水業を行うために造った施設。震災で埋め戻されていたが、現在保存公開されている。

地下貯水槽

代官坂に出て向かい側の階段を登っていくと元町百段公園があります。街が一望にできる小さな公園です。昔を偲んで造られたそうです。大きな桜の木がありました。春に行ってみようと思います。

(6)元町百段公園 中区山手町56-1

昔浅間神社があり元町から101段の階段があったが震災で壊れた。再建されることはなかった。

元町百段公園
見晴らしがいいです

山下公園から日本大通り駅の周辺にもいくつも震災遺構があります。
そもそも山下公園が震災の瓦礫でできています。
今では春には桜、5月にはバラが咲き乱れ、市民や観光客が訪れます。
バラは1989年横浜市の花となりました。バラについては別に書きましょう。

(7)山下公園 中区山下町279

震災の瓦礫を埋め立てた日本初の臨海公園。政府直轄の震災復興公園。

氷川丸の前はバラ園になっています
山下公園

日本大通り駅4番出口を出てHYATTホテルと神奈川芸術劇場の間を入ります。次の辻の角に白い小さな建物があります。今まで何度も前を通っていましたが気に留めたことがありませんでした。今回は建物を紹介ではありませんが中を覗くとレンガ遺構です。

(8)旧横浜居留地48番館 中区山下54

明治16年(1883)に建設されたモリソン商会の店舗の一部。
倉庫として使われてきた。

ハイアットリージェンシー横浜のお向かいです
自己主張せずに建っていました
説明を読んでみました
図解もある
中を除いてみました
わぁ〜
なるほど遺構だ

神奈川芸術劇場の隣、NHK横浜放送局の側壁に山下居留地遺跡の展示があります。NHKの前はよく通っていたけれど見に行ったことがありません。今回じっくりと眺めてきました。2007年9月から12月に行われた発掘調査の様子や出土遺構が建物の側面に展示されています。思わずわぁ〜と声があがりました。こんな展示方法もありですね。

(9)山下居留地遺跡 中区山下25

神奈川芸術劇場の工事前に調査を行った時出土した外国人商館の遺構群

結構あります
一つずつ読むと詳しく書かれています
こんな風になっていたのだ

山下公園の向かい側ですが春には桜の写真を撮りに行きます。旧英国7番館が震災遺構だったとは知りませんでした。

(10)旧英国7番館 中区山下町7-1

大正11年(1922)に建てられた歴史的建造物。震災で焼けたが外装が残ったので再建された。

本町通りを横浜スタジアム側に曲がるとFANCLのビルがあります。
中に89-A番館のメダリオンが展示してあります。お休みだったので外から写真を撮りました。
向かい側に旧居留地消防隊地下貯水槽があります。消防救急発祥の地だそうです。横浜には「はじめて物語」がたくさんあります。

(11)居留地89-A番館メダリオン 中区山下町89-1 FANCLビル1F

89-A番地に建っていた商館のメダリオン

シャッターが閉まっていたのでこんな写真になった

(12)旧居留地消防隊地下貯水槽 中区日本大通13

明治26年(1893)ごろに出来た防火貯水槽

地下貯水池遺構
覗いてみた
消防救急発祥の地

日本大通り駅一番出口を出て信号の角にある駐車場を見てください。開港記念館の向かい側です。不思議な壁があります。開通合名社の外壁です。震災で壊れた建築物の一部です。保管されていましたが保存公開されることになったそうです。街に溶け込んでいるところが不思議・・・

(13)開通合名社煉瓦遺構 中区北中通1-6

商社・開通合名社の外壁

何か不思議な感じがします
ジャックの塔
たまには自分も

象の鼻パークに行ってみましょう。開港波止場にも遺構があります。山下公園から象の鼻パークへつながる山下臨海プロムナードを歩いて行くと下に鉄軌道と転車台が見えます。探してみてくださいね。

(14)横浜税関遺構 鉄軌道及び転車台中区海岸通1(象の鼻パーク)

象の鼻パークの整備中に見つかった明治20年後半の鉄軌道と転車台。強化ガラス越しに見ることができる。

上から見るとこんなです

赤レンガパーク、2号館の前に広がるのが旧横浜税関事務所基礎遺構です。
まるで庭園のようになっているので興味がない人は気に止めないかもしれません。
とっても立派な建物だったようです。赤レンガ倉庫も震災で半壊したものを修復して現在の大きさになったそうです。今では横浜の観光地をして有名ですね。

(15)旧横浜税関事務所基礎遺構 中区新港1-1-1 (赤レンガパーク)

大正3年(1914)竣工。煉瓦造スレートぶき3階建てだった。

立派ですね
ここはなんだかすごい建物を想像する 
草に埋もれて・・花壇だそうです
結構広いです
よく見ると基礎遺構とわかる

以前に前を通ってなんだこりゃ?と思って写真を撮ったことがあります。
改めて行ってみました。マンションの敷地内ですが入れます。
出来てすぐに震災にあって燃えてしまった二代目横浜駅の遺構です。

(16)二代目横浜駅基礎等遺構(第二代横浜駅駅舎基礎遺構および横浜共同電燈会社裏高島発電所遺構)西区高島2-1-1

大正3年(1914) 8年後の震災で焼失。「幻の駅」と呼ばれています。

(17)横浜市役所出土遺構群 中区本町6-50-10(横浜市役所)

桜木町駅から弁天橋を渡ると横浜市役所があります。2020年に完成した8代目の市役所です。

わかりやすく書かれています
馬車道の駅に向かう地下にあります
外の展示なので傷んでます
川縁にあります
航路標識管理所 倉庫基礎

土の中に眠っていた遺構を中心に見学してきました。公開の仕方も色々ありました。説明板も整備されていました。今まで前を通っていたり、すぐそばを歩いていても気づかずに行き過ぎていました。改めて見ると沢山ありますね。多くの近代建築が建てられた横浜だからこそのレンガ遺構です。
横浜にお越しの際には一つでも二つでも良いのでご覧ください。


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