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株価の調整と注意点

さて前回から引き続き、「第11話 ホールディングス化と資本政策の立案時に注意すべき8つのポイント」から、それぞれのポイントについて深堀させた解説をしておりまして、いよいよ残すところ最後となる2つのポイントとなります。


未上場会社が期待度が高く、注目されている場合には、株価が会社の現状以上の評価を受ける可能性があります。一見すると、これは会社にとって好都合な状況に見えますが、実際には様々なリスクを内包しています。


責任と期待値


株主の期待値

期待度が高いということは、株主や投資家からの期待も大きいです。その期待に応えられなければ、経営者の責任問題となることが多いです。


クレームのリスク

期待度が高く設定された株価で増資を行い、後にそれが実態に見合わないと判断された場合、既存株主からのクレームはほぼ確実に発生します。


公募価格の設定


公募価格の設定には多くの要素が影響しますが、事業計画書や財務状況、市場環境などが総合的に考慮されます。ブックビルディング方式においては、投資家の需要と供給のバランスも加味され、よりマーケットに即した価格が設定されます。


ディスクロージャー義務


未上場の状態から上場へ移行する過程では、有価証券届出書・有価証券報告書などの情報開示が必須です。その情報が不十分または不正確であると、それ自体が法的な問題を引き起こす可能性があります。


経営の透明性


未上場会社は経営が非常にクローズドであり、一部の大株主や経営者の意向が強く反映されやすいです。上場すると、より多くのステークホルダーが関与するため、経営の透明性が求められます。


最終的に、過度な期待値は持続可能な成長を阻害するリスクを孕んでいます。会社の実態に即した資本政策を慎重に計画することが、長期的な成功に繋がります。これは、事業計画書が非常にリアルであり、実行可能な計画に基づいていることが前提となります。そして、その全ては強固なディスクロージャー体制に支えられているべきです。


「名義株」は会社の息の根を止める危険性がある


「名義株」は特に株式上場を目指す企業にとっては大きな障害となり得ます。名義株は、株主総会の投票権の行使や配当の受け取り、さらには企業の重要な経営決定に関与する可能性もあるため、その存在は企業経営におけるリスクとなります。

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