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結論はシンプル!水やり10年のノウハウを10分で説明します。

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Hey! What's up people~!? 鎌田です。前回のセミナーでお話しした内容を改めてアーカイブ続けます。

それで行き着いた先が自然栽培だったんですよ。私はりんご栽培で有名な木村さんではなく、ナチュラルハーモニーの河名さんより教わりました。

そこで情報を一方から見て鵜呑みにしているだけだと自然栽培だと植物は腐らないで枯れるだけなんでしょ?と思っている人も多くてまずはその真実から現場を経験した人間として事実を発信したいと思います。

広辞苑および日本国語大辞典によるところでは、腐敗とは有機物、特にタンパク質が細菌によって分解され、有毒な物質と悪臭ある気体を生じる変化とあります。

一方で枯れるとは、植物が水気がなくなって正気がなくなる。または花や葉が落ちる状態であることを意味します。

木村秋則氏の「奇跡のりんご」がブームとなった頃に、ナチュラルハーモニーの河名氏が「自然の野菜は腐らない」という本を出版して、自然栽培の野菜は腐りにくい、だから安全安心な野菜だよっていうイメージが独り歩きしたんだと思います。

ちゃうねん、全然ちゃうねん!私は酒蔵も経営していましたしセカンドキャリアはビール会社で実家も酒屋ということもあって人一倍「分解」ということに興味を持ってきた人間です。

そもそも腐ったらあかんのかと、それは母なる自然に帰ろうとする神聖な行為ですよと思うんですわ。

そもそも慣行栽培の野菜は化学肥料をたくさん使っていて、硝酸態窒素をたくさん与えているから腐りやすいんやという話がありますよね。でも食べ物の腐敗をもたらすのは微生物で、動植物の生息する環境ではどこにでもいる微生物なんですよ。

農産物なら、畑の土壌微生物が食べ物を腐らせる原因の1つになるわけです。腐敗するフローを分解すると腐敗をもたらす菌に対して植物自体が「抵抗」できなくなったときから腐敗が始まるわけです。

したがい有機農業の研究者によると化学肥料や有機質肥料を大量に使用することで硝酸態窒素を溜め込んでいる植物は急速に生長するがために細胞壁が薄くなる傾向があって、病害虫にかかりやすくなったり、菌に対抗することができずに菌が増殖してしまった結果、腐りやすくなると考えられるということなんです。

一方で適度な肥料を与え育った野菜なら、細胞壁が厚くなって菌に抵抗する力があることから腐りにくいというわけでございます。

ようは植物はいずれ腐るというわけです。腐ったら食べたくないのは人間だけで他の領域ではそれが好物に変わったサインにもなります。人間のつけあがった思い込みで「腐る」ことが悪いなんて思わないことです。

自然農法の野菜であろうと慣行農法の野菜であろうと、それが森や野原に自生している植物であっても最後には腐れるのが自然の原理原則なんです。

植物が枯れただけなら土壌は豊かにはなりません。森の中を観察するとわかることですが例えば落ち葉の堆積しているところを掘ってみると下の方は湿って腐って、つまり分解されています。

自然栽培の野菜だから腐らないのはなくて、腐敗するスピードが全然ちゃいまっせというのが真実のところです。

この真実を探究すると動植物は最終的には分解されるわけです。

だから自然栽培の野菜が腐らないと言われるのは、先に植物のもつ水分が飛んでいって枯れてしまうからです。

水分がないと腐らないということです。ミイラのつくり方、もっと身近なとこでいうと干物のつくり方のメカニズムと一緒です。

生態系から考えてみたときに自然界には生産者、つまり自分で有機物を生産するものと消費者、その有機物を食べるもの、そして分解者。ここでは有機物を分解して無機物にするものがいます。 

腐敗は分解者が有機物を分解して無機物にする自然のサイクルに組み込まれたシステムの一部でしかなくて自然栽培で育てた野菜は腐らないのではなくて、腐るまでに時間がかかると考えるほうが良いかもしれません。 

腐りにくくするために保存料などを使っているものもあるので一概に腐るまでに時間がかかる野菜が安全!とも言えないのと同義です。

さて、どれが正しいのか分からなくなってきましたよね、それぞれの栽培方法にはつくる人のメリットとか消費者側のメリットもあって、その中でどう選択していけばいいのでしょうか。

これまで農業生産法人だけではなく様々な経営に関わっていく中で「判断する」というのが自分の仕事なんだとわかるようになってきました。適切な判断ができるようになるために常にインプットし続けてきました。

このような場合、判断はどうしたらいいのでしょうか? それは簡単です。慣行栽培、農薬や肥料を減らした特別栽培、有機栽培はどれをとっても肥料も農薬も使います。ようは自然に負荷を与えるわけですよ。選択肢として自然栽培しか残されてませんよねってことなんです。

しかし自然栽培のネックは収量減だという話もさせていただきました。これでは事業として旨味がないと飛びついてもらえませんよね。SDGsったって余裕のある企業が上段で構えて私たちは環境保全運動に貢献していますってIRで謳いたいだけで、本気ですかって疑ってしまいます。

もしも、この自然栽培が慣行農法以上に収量がある。しかも管理費も削減できて、「うちは自然栽培だよ」なんてイキらんでも一般流通に乗せられます。そこにコソッと「実は自然栽培ですねん」と告知した方がかっこええですわな。宣伝は周りにやってもらう時代ですからね。

めっちゃ関西弁ですけど、神奈川県出身で海外生活もながくて現在は宮崎市に住んでおります。さきほど小説の力は怖いよねって話をしましたけど、関西弁のこべりつき具合も怖いっすね笑

さてさて今回は自然栽培って具体的どうするねんって言ったあたりの入口についてレクチャーしていきたいと思います。

これまで500名以上の方にアグリハック(生産工程管理手法)であったり、作物の栽培方法から流通手段に至るまで教えて来ましたが、そのなかでも皆さんが必ず勘違いしているのが「水やり」です。

野菜を育てるには頻繁に毎日のように「水やり」が必要と思っている方は非常に多いもので、そこが栽培するときの難易度を上げたり減収の原因になっていると思います。いつも言っているように「過剰の欠乏」といった状態なわけです。

そこで皆さんに「露地栽培なら水やりは基本しません。むしろやらないよう意識しましょう」というお話をすると驚かれます。

もちろんナスなどでは走水してやってツヤをよくしてなんて技がありますけど、実際には水やりをしていることで、野菜が病気になりやすくなったりしますし、農業に身を置かれている方なら水やり10年とかキモい話を聞かれたことがあると思います。

今はそんな時代ではないのでここで10分で習得できる「水やり」の正しい知識を身につけていただきたいなと思います。

水やりをしない方が良い最大の理由は、水やりをすることで植物が根っこを土壌の深くまで伸ばさなくなるからです。

ほしたら当然、化成肥料でドーピングして欲しくなるし実力に伴わない体格持っていたら虚弱体質で薬も欲しくなるという現代病ともいえるなかで植物も暮らしているわけです。

雨と違って、水やり程度では水の量が圧倒的に少ないので土の表面しか濡らしません。したがい野菜もその表面にしか根っこを伸ばさないということになってしまうんです。

そうすると土の表面に水分がなくなるとすぐダレてくるんで、また水やりをしないといけないという悪循環になってしまうわけです。甘やかすとロクなことにならんということを自然から学べますよね。

雑草なんか、誰も好き好んで育てていないから水やりしていませんけど、むかつくほど元気に育っていますよね。これはつまり雨からの水分だけで発芽して、立派に育っていることの証なんです。うちの子だけが特別なんて思っていると気付けば生存競争に勝てないようになってしまうんです。

同じように野菜の種も雨が降るまで待つことができます。雨は降るときはドカッと降って数日は降らないというようなサイクルです。このサイクルがとても大事なんです。雨が降らない間に、野菜はしっかりと深くまで根を張ろうとするんですよ。

土壌は40~50cmほどの深い層では、とても硬くしまっているので、水が溜まりやすい傾向にあります。雨が降らない時でも、ここまで根が到達すれば、まず枯れることはありません。

農業オタクの人なんかはここで棒を突き刺して「うちは1mまで棒が入ります」なんてオナニーしてますけど、そんなことせんでもいいんですよ。これも過剰の欠乏ってやつですね。

ただし、苗を定植するときだけは水やりが必要とご認識ください。播種するときは雨が降るまでそのまま待っておけば良いんですけど、苗で植え付けするときはその根っこが土に活着するまで、十分な水分がないと枯れてしまうんです。

ですから、ちゃんと活着するまでの水分が切れないように栽培行程中に定植するときだけは水をしっかりやることを念頭に置いて栽培しましょう。ただし雨が降った直後とか降る直前などは必要ないです。

そして一度たっぷり水をあげたら、そのあとは極力水やりをせずに育てて行くと丈夫な野菜に育つので植物の力を信じて成長を待ちましょう。

それではまたお会いしましょう!

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