この詩を日本語ネイティブとして楽しめる幸せをかみしめる
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Hey! What's up people~!? 鎌田です。それでは編集者目線で気になった本をご紹介させていただきたいと思います。
今回は詩集というものについて語りたいと思います。
詩集というのは独特な立ち位置なんですよ。そもそも別々の文章だった作品が、言葉が綴じられてひとつの本になる。しかも本書は詩人の名をそのまま書名とする一冊の選詩集に編まれているのです。
そして、それが代表作となってゆくことが少なくありません。そのひとつが本書、「自選 谷川俊太郎詩集」です。
谷川俊太郎の二千以上もの全詩から、作者自身が厳選した173篇が収録されていています。子どもが読んで楽しめる言葉遊びから引用文だけで構成された実験的な長編詩まで、さまざまな文体で書き分けられたリズム感あふれる言葉を綴る旅となっています。
『自選谷川俊太郎詩集』は詩人自身が編集した作品ですからページをめくりながら詩人の思いがけない言葉に僥倖しては、感動を覚える。まるで時計をもったウサギのあとをあわてて追いかけるアリスのような気持ちに浸れる詩集なのです。
その中でも特に鮮烈な印象を与える詩は、ひらがなの言葉を話す、いや、ひらがなの言葉でしか話さない少年や少女のことを書いた詩でした。
「ゆうぐれ」
この詩から皆さんは何を感じましたか?ソシオパスかよと。
思わずゾッとさせられるのに、何事もない日常のように夕方の静かな光景につつまれて終わる、なんとなくグリム童話のような寓話詩の怖さがありますよね。
この詩も特徴的でした。
「ごちそうさま」
この詩なんかはもう完全にソシオパスではないかと思います。息子がこの詩を朗読してたらビビってしまいそう。笑
しかしながら谷川俊太郎のブラックな寓話詩には、「言葉」の向こうから詩を読む人をじっと見つめているような「鋭い視点をもつ一人の子ども」が行間にいるんだと思いませんか?
まるで一人称で書かれているのに他人事のように三人称で書かれているような中世の寓話詩のように感じますよね。
『自選谷川俊太郎詩集』のなかに見えるのは、言葉だけの詩のなかにイメージを膨らませ踊り出すかのような臨場感あふれる「気品ある言葉」でした。
それではまたお会いしましょう!
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