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小売業に携わるすべての方の悩みを解決するヒントに溢れている本

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Hey What's up pleple!? 鎌田です。今回も編集者目線で気になった本をご紹介させていただきたいと思います。今回はこちら「福島屋 毎日通いたくなるスーパーの秘密」です。

わたしの経営していた農業生産法人では野菜の出荷先別ポートフォリオとしては市場への出荷は極端に少なかったです。

ほとんどを量販店のセンターへの直接出荷が占めており、ECを利用したBtoCなどは一見良さそうに見えますが、マーケティング面から「取引数量最小化」や「不確実性プール原理」の法則を考えれば、ロジスティックコストもアホらしいし環境へも優しくないので、ほとんど取り組みませんでした。

そんな中でお取引先様でもあった量販店の本ということで拝読させていただきました。福島屋さんって微妙に都心から離れたスーパーマーケットで、面白い取り組みをされている企業という印象です。

本書を読んで改めて思いましたが福島屋さんは実にユニークな経営方針を持っておられますよね。

そのせいか全国の小売業者や地方自治体から視察者が頻繁に訪れるお店となっているようです。

著者が親から受け継いだ「よろずや」を出発点に、どの事業にだってドラマがあるように福島屋さんも紆余曲折を繰り返しながら、消費者のみならず多くの事業者にとってもロールモデルとして支持される存在へとなりました。

グーグルマップとかでみると、デベロッパー目線で見るとなかなか「ここで開店しましょうか」とはならない立地にある福島屋さんですが、これほど圧倒的な支持を集めた秘密に迫りたいと思います。

目次から順にご紹介させていただきますと、第1章に「町のスーパー福島屋が強い理由」とありまして、この辺り恐らくはライターさんが介在して書籍化へと至ってらっしゃると思うのですが、街➡町という表現が素敵ですね!

地域密着だなんてお題目に唱えている量販店とは一線を画しています。次に第2章では、失敗から学んだ「商売で大切なこと」ということで、失敗をきちんと可視化して、それをどう生かされたか、福島流PDCAについて書かれています。

第3章では、「売り場づくりはスーパーの要」と題して、食品の現場の最前線として体験として掴んでこられたマーチャンダイジングについて独自の考え方や手法について述べられており、小売業に関わる方は必見の内容ではないでしょうか。

第4章では、実践で掴んだ「吟味する力」となっていて、最近何かと「〇〇力」っていいますけど、要はバイヤーとして選球眼について持論を展開されています。

この辺りは元農業生産法人経営者としてこれを見てくださっている農業者の方はぜひ、ここの章の視点から逆算して自分の農園で栽培する作物のポートフォリオを考えて設計されると農業経営がより需要者のニーズに合ったものとなると思いますよ。

とくに第5章では、生産者さんとの連携で「共存共栄」という需要者目線でのメッセージは必読だと考えます。

そして第6章では、「講座ビジネス」が小売業の核となると題してひとつの章が割り当てられています。これは教育というのは大学までのものではなく生涯教育ですよと。

この本は少し前の本だけに改めて拝読すると先見の明に驚かされますね。ここから第7章へと移り、「これからの小売りの在り方と題して」未来のスタンスはどうあるべきなのかについて述べられています。

これは良い意味でどこででも語られている話なのかなと思いこそすれど、福島屋という存在は、「中庸」を大事にしながら革新的な経営をされている類まれな会社であることの証拠だと言えるのではないでしょうか。

他にも、私も取り組んできた自然栽培で奇跡のリンゴで有名な木村秋則氏との対談もありまして、こちらなんかは生産者サイドの話も識ることができます。

また、本書のコラムの内容もめっちゃ充実しています。これだけでもう一冊できそうなネタの宝庫ですね。

たとえば福島屋では毎月2回ほど売り場の改善を図っていくために「グラフィック・ワークショップ」を開催しているそうで、店内の棚ごとに写真を撮り、スクリーンに映し出して意見交換するという機会を作っていたり、消費者に商品を伝えるために、POPを有効活用しているのも福島屋の特徴といえるでしょう。

POPの表示方法そのものにも工夫を凝らして、食の安全性を独自の3段階で評価しているあたりは、安心と安全の違いを明確にご理解されている食のプロフェッショナルだと思いました。

こういった取り組みはライバルしかみていない量販店ではうまくいかないでしょう。ライバルは利をもたらしてくれないのに、なぜか経営者はライバルの方向ばかり向いて戦略をたててしまいがちです。

消費者に集中することが大切だと教えてくれます。

他にもお伝えしたい素敵なポイントはいっぱいあります。小売業者のみならず、生産者や食品事業者にも是非読んでいただきたい内容となっておりますので是非、読んでみてくださいね!

今回は以上となります。

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言の葉を綴じる杜
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