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【エッセイ】マラソン大会を本気で潰そうとした話

どうも、河戸二句(かわとじく)です。
外に出ると寒さが肌をつんざく感じがしてきました。
そろそろって感じの季節になってきましたね。
冬は私にとって落ち着きの季節です。
経験上物事が安定し始めることが多い。
割と楽しみな季節です。

というわけで冬についてあったことを書いてみようと思います。

【マラソン大会を本気で潰そうとした話】
高校の頃マラソン大会がありました。
私の高校は山奥にありど田舎、冬なんざ平均気温マイナス超えが当たり前。
大体地面凍ってます。
そんな極寒学校ですが三年生になるとこんな時期にマラソン大会があります。
もうね、アホかと。バカかと。しかもクソみたいな伝統で上着を脱いで全員半袖半ズボン。

舐めてんのか。死ぬわ。

元陸上部の私でも冬のマラソンは嫌でした。
まぁ冬でも半袖半ズボンで毎日走っていましたが、なんせその頃とは違いもう引退済み、毎日練習してない私は激よわだったこともあり、元部長の私が一位を取れないのがとにかくイヤでイヤで仕方がなかった。
その気持ちは友達も同じだったようで「男子校の頃だったらなんとか中止にさせそうだよな」(マラソン大会に自転車使う先輩がいたような学校です)なんて話し合ってました。

「なんで共学ならしないみたいな感じになってんの?」
はい私の中の悪魔がいらんこと言いました。

よし潰すか。

この一言がきっかけでマラソン大会を潰す計画が始まりました。

はいまずどう潰すかです。
そもそもマラソン大会が中止になる条件を考えました。

  • 生徒全員サボる

  • コロナ(当時流行ってた)

  • 大雪

  • 地面が凍る

こんなところでしょうか。
生徒全員サボるは真面目な生徒が乗ってこないから却下。
となると残りの大体環境的なものに祈るしかなくなるわけです。

・・いやいやそんな運ゲーしかないのか、手を合わせ祈るしかないのか。
そんな・・せめてどうにか抵抗したい、中止になる確率くらいは上げたい・・
ん、地面が凍る・・?

これって地面が雨上がりや雪で濡れてるから引きおこるわけで。

水撒くか!!

なんというアホな結論でしょう。
ですが面白いことに気温などの条件は合っていたのです。

思い立ったが吉日。友達と自販機で水のペットボトルを5、6本買いました。その時水を持つ手がクソ冷たくて辛かったことが記憶に残っています。

マラソン大会は山の道を走ります。傾斜も激しく上り下りが心臓と脚を殺しにきます。
その中でも最後の方にコンクリートの道があるのです。
コンクリートに水を撒けば間違いなく凍るであろう。というわけでそのまま本番のルートを下見しに行きました。

下見途中にすでに凍ってる箇所を発見。どうやら昨日少し雪が降ったらしくところどころ積もっています。

きたでこれは

中止の可能性がすでにあることにニヤニヤが止まらないアホ二人。
これは期待してはいいのではないでしょうか。
ダメ押しの如くゴール前のコンクリートに持ってきた水を撒きました。
濡れていく地面を見ながら笑う二人。なんだかこんな悪ふざけがとても楽しい。やっぱり私たちはこうじゃないと。
びしょびしょになった地面を背に期待を込めて帰りました。

いよいよマラソン大会当日。

先生「地面が凍っていたのでルートを変えます」

くそが、やりやがった。ルート変更なんてするなよ、どんだけ走らせたいんだ。
友達と私はため息をつきました。
ですけどルート変更のおかげで地獄のような坂道がなくなったのでまぁ妥協点。それでもマイナス4℃の中半袖半ズボンで走るわけなのでまぁ死ぬのは変わりません。

泣く泣く走りました。寒い、いや痛い、なんだこれ肌に画鋲でも刺してんのか。
叫びたい思いを堪えながら脚を踏み出します。

「そういえば水巻いたところはどうなってんだろう」

走りながらそんなことを思いました。
そう、ルート変更はされてもゴール前に水を巻いた箇所は変わっていません。
つまり私たちが巻いた箇所は凍っていないかなんかで放置されたということです。作戦の失敗を感じる。

ラスト終盤、私は8位、流石に他の現役スポーツ部には負けます。毎日教室でギター弾いてるだけじゃそんなもんだ。
一方友達は15位、卓球部元部長です。ガチガチの運動部には劣りますが結構体力あります。

ラストの上り坂に差し掛かった時、腕を振りまくります。つーかなんでラスト上り坂なんだよふざけんな。
その時気づきました・・・作戦が成功していたことに。

「めちゃくちゃ凍ってるうううう」

なんと私たちが水を撒いた箇所が綺麗に凍っているではありませんか。
つかこれで決行させたのかよ先生たち!!
うわあああって心の底で叫びました、マジで。
腐っても2年間毎日走っていた私。
凍ってる箇所の走法も心得ております。

とにかく地面を踏み締める!

なんとか凍ってる箇所は抜けました。ただでさえ爆発しそうな心臓が張り避けるかと思った・・

最後めまいしながらなんとかゴール。走り終わった後が一番苦しいです。
喉と肺が熱い。
全力で走った直後はゆっくりでいいので軽くジョギングすることをお勧めします。急ブレーキをかけるのは心臓に負担が大きい。少しですが苦しいのがマシになります。

一方友達。どうやらこちらはライバルとデッドヒートを繰り広げてる様子。ギャラリーの後輩たちは全員ライバルを応援していたらしいです。人望ないのか卓球部部長よ。
それでも負けるわけにはいかない友達。彼にも意地はあります。
いよいよラストスパート。

つるっ

はい転びました。
自分たちの作戦が自分たちに牙を向くとは・・・なんたる事態・・

これが原因で友達はライバルに負けてしまったようです。
私は競ってる人がいなくてよかった・・根性勝負なら私も絶対滑ってる・・
・・・・・・ちなみに私は大学で滑りました。クソです。

そんなこんなで私たちの作戦は失敗どころか自業自得の結果に終わりました。
いやぁいい思い出ですね。そしてバカですね。
まぁ高校なんて一番ばかできるような気がします。こけた友人ともまだ連絡をとってていい友人です。

今思えば輝けなくなった私たちの謙虚な抵抗だったような気もします笑












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