2023.4.15 読書記録『高層建築物の世界史』

本の情報

(タイトル・著者・出版社)
高層建築物の世界史・大澤昭彦・講談社現代新書

読書期間

2023/4/10~4/15

感想

3~4年くらい積読していた本書をようやく手にとる。
永遠に本棚に埋没する一歩手前で発掘。これも縁であろう。

内容は、世界の歴史を通して高層建築物がどのような役割を担い、どのように発展していったかを、過去から現在にかけて時系列で振り返っていくようなものである。

様々な地域、時代の高層建築物を振り返った上で、筆者は高層建築物のもつ意味には、作り手(「高さ」を生み出す側)にとっての意味と、受け手(「高さ」を享受する側)にとっての意味があると述べている。

作り手側の意味とは、権力誇示のための手段、自身の能力を誇示するための手段、人間の「高さ」への憧憬、国家間・都市間の競争としての意味などが指摘されている。

そして、受け手側としては、景観の変化、高さの獲得、心のよりどころとして機能する象徴的な建築物としての役割が挙げられる。

高層建築物がどのようにして建てられていったのか、どのようにして壊されていったのか、ということを紐解いていくと、高層建築物が権力と密接に結びついていたり、人間の欲望がそのまま表れている様などが非常によく理解できた。

建築をみるとは、物体としての建築物を見るだけでなく、機能面、建設の背景、美観、その建物が周りに与えた影響など、多岐に渡る視点をもって理解して初めて建築をみることができているのだと改めて学んだ。

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