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2023.4.19 読書記録『汝、星のごとく』

本の情報

(タイトル・著者・出版社)
汝、星のごとく・凪良ゆう・講談社

読書期間

2023/4/18~4/19

あらすじ(本書帯より)

風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転向してきた櫂。ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。
生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。

感想

2023年本屋大賞受賞作。
著者の作品はこの本が初めてであり、さらにこれまであまり読んでこなかった恋愛小説とあって、未知の領域に踏みこむワクワク感とともに読み進めていった。

本書は、孤独や苦しみ、傷などを背負いながらも、それでも自分は自分として生きていくしかないというテーマをもとに描かれている。

社会に縛られない形の共同体みたいなものをつくっていったのが印象的であった。
人間は社会的生物だから、どうしても常識とか社会の視線とかを通して生きていかざるを得ない。
でもそこで削られて、登場人物のように自分として生きていけないのであれば、他人の目線など一切気にせずわがままに生きていいんだよ、みたいな救いの道も提示しているメッセージを込めているのだろうか。
現実問題的にはなかなか難しい所はあるかもしれないが。

あと、島という田舎の小さなコミュニティにおける人間関係や前時代的な男尊女卑的マインド、毒親、ヤングケアラー、LGBTQなどの現代社会の課題もふんだんに盛り込まれていた。
瀬戸内という土地の美しい情景とともに、登場人物たちを取り囲む上記の問題たちが絡み合って、一つの物語となっている所が読み応えがあり、面白かった。

重い内容ではあったが、全体を通してとても読みやすくなっていて、さすが本屋大賞だな、という感想を抱いた。
同著者の「流浪の月」も同時に購入しているので、また後日読みたいと思う。


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