【読書記録】ツバキ文具店・キラキラ共和国/小川糸
こんにちは!今回はシリーズ作品をご紹介したいと思いす。
すでに3作目も出ているということで、前の2作品をいっきに読んできました!
文具店を営むかたわらで、先代である祖母が始めた「代書」のお仕事。
お客さまに代わってお手紙を書く、というお仕事です。
この「代書」というお仕事、初めて聞いたので気になって少し調べてみました。
江戸時代頃、実際には「手紙」ではなく専門書類や公文書を主に作成する「代書屋」というお仕事があったようで、現在の行政書士の前身ともいわれています。
この「代書」とは少し違っていますが、事情があって自分では書けないお客さまに代わってお手紙を書くという、とても繊細な心遣いが必要とされるお仕事に取り組む鳩子という女性が主人公です。
どんな依頼にも、真摯に向き合う主人公
作品概要にもあったとおり、ツバキ文具店には日々、風変わりな依頼が入ります。中でも私が特に印象的だった依頼は、「離婚のお知らせ」。
通常お手紙ではお知らせしない内容だけに、どのような手紙を代書するんだろう、と気になりました。
しかしその手紙を書き始める前段階で、鳩子は些細な点にも隅々までこだわりを見せます。
活字にするのか・手書きにするのか?
印刷方法は?
縦書きor横書き?はがきor便箋?
インクは何を使うか?
切手は何を使うか?等々…
よくよく考えてみると、手紙一枚書くということに対して、こんなにも多くの選択肢があったこと、メールやチャットでのやりとりが当たり前となってしまった今では、忘れかけていたことに気づきました。
そして「離婚」という少し重たい報告を、依頼人の意向に沿って伝えるためには、鳩子はどのような文章で伝えたのでしょうか。
手紙において、文章の内容というのはもちろん大切ですが、手紙を書き始める準備段階から、細々とした気遣いを見せる鳩子。
彼女の、お客さまや仕事に向き合う姿勢がとても丁寧で、お仕事小説としても楽しめる作品です。
「手紙」でつながる新しい家族の形
鳩子には母親・父親がおらず、彼女はツバキ文具店の先代であり、代書屋を営む祖母に育てられました。
しかし祖母はしつけにとても厳しく、それに反発して以来、祖母との確執は埋まらないまま死別してしまいました。
しかし、そんな祖母が始めた代書屋という仕事を継いだ鳩子。
祖母と同じ仕事をしていく中で、祖母に関わりのある人物たちとつながることにより、少しずつ祖母のことを理解し始めます。
そんな中で出会った一人の男性(ミツローさん)。
彼には小学生になる娘(通称QPちゃん)がいました。
2作目『キラキラ共和国』では、鳩子がミツローさんと結婚し、QPちゃんと3人での、新しい暮らしがメインに描かれていきます。
ある日突然、妻・お母さんを亡くしたミツローさんとQPちゃん、そしてこの世にはもういない前妻・美雪と鳩子はどう向き合い、新しい家族になっていくのでしょうか。
鳩子と彼らをつなげたのは、「手紙」でした。
遠く離れた場所にいても、面と向かっては言いにくいことも、今の自分の気持ちを正直に届けることができるのが、手紙。
心の距離をぐっと縮めてくれる、手書きの手紙にはそんなパワーが宿っているなと感じます。
2作品通して、作中には鳩子が書いた、実際のお手紙がたくさん登場するのですが、一つひとつ、丁寧に書かれた手紙に込めた鳩子の思いが、心を温めてくれます。
手紙からは随分と久しくなっている現代ですが、
ここぞというとき、大切な人に手紙を書いてみてはいかがでしょうか。
こちら、続編『椿ノ恋文』も昨年出版されていますね。
鳩子たち家族のその後や、彼女に舞い込む新たな依頼もとっても気になっています!
こちらの作品、気になった方はぜひ手に取ってみてください!
読んだことのある方は、コメントで感想を教えていただけるとうれしいです^^
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