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失敗しない方法など無い

こんにちは。
診療放射線技師のだーはらです。

今回は教育の話です。

私は医療という業界に携わっていますが、どのような業界であれ、失敗が許される業界というのは無いものです。
マニュアルや社内ルールは失敗を防ぐために策定され、運用されています。
みなさんは、後輩や新入社員を教育する際に、どのようなことを重視して教育していますか?
私は『リカバリーの方法を学ぶこと』の大切さを重視して教育しています。
今回は、私の教育方針について解説していきます。
社員教育に携わる方、新入社員として働き始める方などの参考になれば嬉しいです。

失敗から学ぶということ

私は20代の頃、現在とは異なる医療機関で勤務していました。
その時にお世話になった外科医が研修医に対して話していた内容が、私の教育方針の基本となっています。
当時はテレビ朝日の“ドクターX“が流行っていた時期でした。

基本となった外科医の言葉

『君にここで学んで欲しいのは、失敗しない方法ではなく、ミスした時にどのようにリカバリーしているか。その対処法を学んでほしい』
この言葉は、手術が終わった後、研修医に向けて発せられた言葉です。

手術というものは、1から10まで完璧に行われるのが理想ですが、現実はそれほど順調に進行するわけではありません。
小さなミスがあったり、予想外のトラブルが起こることがあるものです。
そんな時にどのようにリカバリーするのかを学ぶことで、ミスが生じてしまった場合でも落ち着いて対処できるのです。

失敗をしたことがないという危うさ

失敗というものは振り返ってみれば大きな経験となっています。
自分の失敗で気づくこともあれば、見聞きした失敗談で気づくこともあります。

失敗から学ぶ大きなものといえば、『予防策』と『リカバリー方法』です。
この二つは経験から学ぶことがとても多いです。
失敗したという経験があるからこそ、適切な予防策を講じることができ、万が一失敗してしまっても、リカバリーする手段を講じることができます。
むしろ、失敗の経験がないまま『予防策』というものに真剣に取り組める人は少ないのではないでしょうか。
現在の教育は、『失敗させない』『成功体験を積ませる』ことに重点を置き、失敗したとしても自力で乗り越えさせるということはさせない傾向にあります。
しかし、上司や同僚でリカバリーできる範囲の失敗であれば、教育を受けている段階で経験しておくべき事であると私は考えています。
なぜなら、自分が『責任を持つ立場』になれば失敗が許されないからです。
働いていれば『責任』から逃れることができず、その『責任』は年々大きくなっていきます。
教育を受ける立場だった若手も、やがて教育する立場となり、自分の仕事に責任を持って働かなければなりません。
責任を持つ立場になった時こそ『予防策』と『リカバリー方法』をどれだけ持っているかが試されることになります。
綺麗に舗装された道だけを歩き、失敗の経験を持たずに歩いてくると、いつか訪れる一つの失敗を“防ぐ“ことも“リカバリー“することもできません。
“失敗したことがない“ということは大きなリスクなのです。

失敗を自覚させることも教育

失敗をしたときに1番大切なことななんでしょうか。
私は『失敗したことに気づくこと』だと思います。
失敗を自覚しなければ、原因を探ることも、対処することもできません。
まずは、上司や教育担当者が失敗を見つけ、自覚させることが重要です。
そして、上司や教育者にも『何を失敗しているのか説明できる能力』が必要となり、教える側にも業務に対する経験と理解力が求められます。
失敗した経験や、失敗を指摘された経験が少ない人間が教える立場となれば、失敗に気づくことも、説明することもできないでしょう。
“仕事を覚えていること“と“説明できること“はまるで違います。
あなたは普段こなしている業務を、第三者にもわかるように説明できますか?
業務を学ぶ時には、業務を他の人に説明する事を想定してしっかり学ぶようにしましょう。
業務に関する理解度が上がるほど、自分の失敗にも早い段階で気づくことができ、大きな失敗になる前にリカバリーすることができるようになります。

失敗しない人より、リカバリーできる人へ

小さな失敗が大きな失敗につながってしまう大きな理由は『失敗に気づかないこと』と『失敗に対してリカバリー対応しないこと』です。

世の中には、全く失敗することのない人間など存在しません。
小さな失敗があっても、大きな失敗につながる前にリカバリーすることが重要なのです。
そのためには、まずは早めに失敗に気づくことができるシステムを作ること。
そして、気付いた段階でリカバリー対応をすること。
この二つが、大きな失敗を防ぐために重要です。

予防策を講じて失敗を減らすことは大切なことですが、失敗をリカバリーする方法を多く学んでおくことが、重大な失敗を防ぐために最も大切なことです。
学んだリカバリー方法が、いつかあなたを助ける手段になります。
また、あなたが学んだリカバリー方法は誰かと共有しましょう。共有するためにはその方法を相手に説明しなければなりません。
誰かに説明することで、自分の中での理解も深まります。
さらに、リカバリー方法をさらに改良するヒントを相手から得られることもあります。
仕事のやり方が常にアプデートされるように、失敗に対する予防策やリカバリー方法も常にアップデートしていくべきたと私は考えています。

社内のルールに疑問がある時には、理由を確認してみることも大切です。
予防策が講じられている時には、原因となった失敗があるはずです。
日常の業務において、ルールに従うのは当然ですが、その由来を知ることでルールをより理解することができます。

自分の失敗から学び、先人の失敗から学び、失敗に気づき・リカバリーできる人になれるように、成長していきましょう。

さいごに

『失敗』という言葉にはネガティブな印象がどうしてもありますが、失敗から目を逸らしてしまうと、取り返しのつかない大きな失敗へと繋がってしまいます。
起きてしまった『失敗』そのものよりも、“失敗に気づかないこと“ “失敗をリカバリーしないこと“が大きな失敗を生む原因となるのです。

“失敗しない人“ではなく、“失敗してもリカバリーできる人“を目指しましょう。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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