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祝われない誕生日#3

「追われたりしたら絶対不利だよね⁉︎」

待ち合わせに現れた彼女(she)が俺のお気に入り5番手オレンジTシャツを見て発した第一声だった。
なんといきなり色トークから始まったのだ!

オレンジTシャツの誘い水で色トークを引き出そうとは考えたものの、こんな返しが来るのか? これがリアルってヤツか?


そもそも何に追われるんだ?不利って目立つからか?俺の予定では彼女(she)と焼き鳥を食べて最高の誕生日(彼女は知らない)にするつもりなんだが、2次会でかくれんぼの予定とか入れてんのか?

まあ良いでしょう! 徒歩8分の決戦の舞台(焼き鳥屋)までの道中 このオレンジ色トークやってのけましょうとも!

俺  「お、お、追われるてッ!ふ、ふ不利てッ!」

she    「目立つから笑」

俺  「……。」

あれッ⁉︎「タレ・塩派」トーク発動か⁇   今何秒よ? 今沈黙何秒経過よ⁇ 沈黙の神様そこを退け!誕生日の俺が通る!

まだ「タレ塩トーク」の時ではない! ひねりだせ俺!
そうだ、目には目を! 色トークには色トークを!
彼女の黒シャツロックオン

俺 「じゃあ、逆に黒だから有利だね笑」

she    「もはや迷彩より有利かも笑」

(やっぱ今日かくれんぼすんのかな?)

俺 「なるほど〜 ってか何に追われるの?笑」

she    「 ふふふ笑 あと黒だとタレとかついてもごまかせそうだから笑」

なるほど黒シャツにはそういう思惑もあったのか
あわよくば会話のきっかけになればと願うこっちのオレンジの思惑とは違うようだ

she    「焼き鳥屋さんで白着てくる人ってかなりの上級者だよ」

俺 「なんの上級者? で結構白着てる人いると思うけど⁉︎ 仕事帰りとかでネクタイ緩めて白シャツの人いるでしょ?」

she    「それは上級者だよ うん、達観してるはず」

俺 「じゃあ上級者じゃない人はどんな格好なの?」

she    「スーツを着てカバーするよね」

俺 「なんかスーツにタレつく方が嫌そうだけど⁉︎」

she    「ほら、黒だからごまかせるから笑」

俺 「いや、グレーのスーツの人とかもいるし」

she    「グレーもギリごまかせる」

俺 「グレーの濃さによる」

she    「グレーゾーン」

俺 「おっ⁉︎うまいね」

she    「山田君いたら100%座布団もらえる」

色トーーーク!!


楽しいぞー、今なら徒歩8分でも30分でも歩きたいぞー!


沈黙の神様、これからは「目には目を、色トークには色トークを」精神で精進してまいりますのでお会いすることもないでしょうが お体には気をつけてお過ごしください。

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