#92_発問を深掘りする①

発問について調べたので、ここで少し深掘りしておこうと思う。

授業における発問は、それを受ける子どもたちのなかに、ある種の精神の集中、緊張、興奮、葛藤を生むものです。どのような問いが子どもたちの精神的な緊張や葛藤を生むかについて、教材を仲立ちとしながら子どもについてよく知らなければならないのです。一人一人の子どもの生活と心理についてもよく知っていなければなりません。集団としての学級の傾向や特徴についても、たえず心を寄せる努力をおこたってはなりません。

小学校実践教育選書 教科別 発問のしかた(あゆみ出版、1981年)

よい発問は、深い教材研究なくして成り立たないことを前提に、教材を知るだけではなく子どもを知ることの重要性について述べている。

発問とは、教材をどう読むか、子どもをどう読むかで決まるものです。教材研究も十分にせず、子どもの表情のゆれに無神経な教師に、よい授業などできるものではありません。科学的真理、芸術的真実に謙虚であるとともに、子どもの発達可能性につきることない信頼をよせる教師によって、はじめてよい発問を導き出すことができるのです。

(同上)

理科の例で見てみると、発問自体は難しさがあるものの、教材研究の深さは納得した。
例えばこの書籍では、チンパンジーの足の写真を提示して「この写真はチンパンジーの手か足か」を問うている。(具体化の法則;選択肢を提示して考えを焦点化する)
足だということがわかったところで「人の足は、サルの足と比べてどのようなところが違うでしょうか」を問いかける。(具体化の法則;例示して問う)

この例のように、発問と子どもの思考は連続しており、どのタイミングで「発問」するのか、「指示」するのか、「説明」するのかという判断・選択が、実は授業における要の一つであるといえる。
すべての子どもたちの理解を促すためには、スモールステップでの問いが必要だ。
敢えて大枠を問い、子どもたちの「問い」を生み出す方法もあるが、子どもをよく見て実態に合わないと授業が崩壊する可能性もある。

やはり実践を通して考えると、より論の理解が深まるな。
この書籍は子どもの実態をもとにした発問本というよりも、深い教材研究に基づいた発問本だといえると思うが、それでも十分面白かった。

「子どもに委ねる」って簡単に言うけれど、教師の深い教材研究と勇気、子どもを深く見る目がなければ、子どもに委ねるなんて軽々しく言えない。
中学校であれば、受け持つ授業は年間700時間ほど。
軽々しく扱える時間ではない。
専門教科でさえ、教材研究が甘かったと今になって気付く。
気付いた今から、築いていきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?