愚直にやろう

ものすごく久しぶりです。
痛ましい事故がありました。
亡くなった幼児が、お地蔵さんに
あの世で助けてもらっていることを
願ってやみません。可哀想すぎる。
親御さんの悲嘆、想像にあまりある。
周囲の方の不安も大きいでしょう。

幼稚園の記者会見の様子がもう
稚拙かつ他人事感満載で、
視聴者は悲しみと苛立ちを
募らせていたことと思います。
私もその一人でした。
直後に、別の事故の記者会見で
責任者である社長さんが大泣きで
謝罪の言葉を述べ、しっかりと
自分の責任感で率直に応答していた
こととの対比が物凄かったです。

ミスが4つあったという報告ですが
4つどころでは無いでしょう。
逆に、一つしかないとも言えます。

ミスの内容はその発表を見る限り
呆れて物が言えない類のひどい物です。
およそ、人の子を預かっているという
意識が曲がりなりにもあるならば
到底できるわけがない凡ミスの連発。

最大のものは、バスに何人のって
何人降りたのか、バスに残った子供が
いないのか、目視点検も指指喚呼も
全くしていない、という点です。
後ろ見るぐらいしようぜ。
何を運んでると思ってるかなあ。

最大のミスはここ。
人様の子供をお預かりしているという
責任の重大性が理解できていない。

そしてもう一つは欠席だろうと
確認せずに思い込んだことです。

連絡なしに欠席する子供も多かった
とは言うものの、基本が疎かに
なるという恐ろしい事態です。

私の仕事にも、点検は多くあります。
日常、さまざまなことを点検するのが
まあ、仕事です。

その中でも、ベテランになると
こういう事を後輩に指導する
不思議な人が現れます。
「こんなものは適当でいい」
「真剣に見る必要はない」
「どうせ問題ない。見る意味ない」
万事この調子ですからね。。。
ベテランなら良い手本を示してほしい。

これを、こう思ってしまう気持ちを
私は「油断」だと思っています。

機械相手なら少々のことでは
問題にもなりますまい。

相手が人間で、しかも幼児なら
すぐにもことは大事になる。

その意識の低さがちょっと信じがたい。
会見の模様から察するに、早晩
同様の事故は起こったに違いないし
これまでも、事故にこそならずとも
ヒヤリとしたことは無数にあったはず。

断言できるのは事故にはそう言う
法則性が広く知られているからです。
「ハインリヒの法則」といい、
300:29:1の法則とも言います。
300件のごく小さなヒヤリ。
29件のちょっとやばかったトラブル。
1件の深刻な事故。

件数で言うと、そう言う相関関係。
これがどの現場でもどの作業でも
同じように観察される。

その、記録にも残らないヒヤリを
捉えて是正しないと、いつかは
1件の事故が起こってしまう。

あまりにもレベルが低過ぎて
一緒にされたくない気持ちは
私にもありますが、根本的に
ヒヤリをいかに早く発見し
対策しておくか、ここが
安全の肝であることは
誰のどのような作業でも同じです。

子供がまだ小さかった頃、
映画をビデオ屋に借りに行ったら
子供に飴をもらいました。

私は「家に着いてから食べような」と
子供に念押しせずに車を発進させ、
子供が車の加速の拍子に飴を
飲み込んでしまい、大慌てした経験が
あります。

幹線道路で周囲の車も多く
車を止めることができなくて
ほとんどパニックになりながら
強引に歩道に乗り上げて車を止め
子供の背中を力任せに叩いて
喉から飴がぴょんと出てきた時は
私の方が死ぬかと思いました。

思いもよらないことは、いつでも
どんな風にでも起こりえる。

だからこそ、現場仕事では
「愚直さ」が尊ばれます。
普段通り、一切手抜きせずに
淡々と決められたことを実行する。
そして、トラブルが起こらないように
その芽を摘んでおく。

この場合、効率をここで追求するのは
誤りです。決められた手順を現場で
守らず効率を上げるのは、
効率化ではなく、省略・手抜きです。
それが恐ろしい事故を招くことは
東海村の臨界事故を見れば
誰でもわかります。

効率化は、手順を決めるとき、
手順を見直すときに、ツールの導入や
実際に省略可能な手順を正式に
廃止することでなされるもので
手抜きとは根本から違います。

愚直が大事なのですが、一方
これほど守り続けることが
難しいこともないのです。
忙しい時もあるでしょう。
体調が悪い時もあるでしょう。
臨時に、経験がない業務をする、
そんなことだってあり得ます。

愚直にやることが一番大事なのに
人間は愚直にやるのが苦手です。

降りた人数も数えず車内も歩いて
確認しない人が送迎してる前提で
例えば以下のような装置が
必要なのではないでしょうか?

監視機能
カメラと人感センサーの監視装置。
車のエンジンを切ると車内を
隈なく検索します。

動力
バッテリーは、充電しっぱなしでも
劣化しない物があります。
3時間くらい持つやつね。

通信・アラーム機能
1.15分後
エンジンを切ってから
中に人がいる状態で15分すると
登録されている電話番号に
自動でアラームする。

2.30分後
状況が継続している場合
所定の警察に連絡すると同時に
周囲に聞こえる警報音を鳴動。
なお、車の外には、窓を
叩き破るためのハンマーが
設置されているといいかな。

自動運転の車までが出来そうな
今ですから、このくらいの
装備はなんなら今すぐでも
開発できそうですが。

で、装置は市販品としてDIYや
カーショップなどで販売され、
取り付けも素人でできるレベル。

法的には、この装置は
幼稚園の送迎バスには
設置が義務付けられ、
罰則もあればいいと思います。

もちろん、監査もするのです。
年1回ぐらいで。

安い装置かもしれませんが
なんなら補助金を出す仕組みが
あってもいいですね。

この装置の肝は、リセットや
装置の点検の時以外には
人間が操作することがない、
と言う点につきます。

車のエンジンが切れている状態で
人(幼児)がまだ乗っている。
この時点で異常事態です。
その異常事態の発見と通報を
人を介在させず機械が行う。

人間が愚直にやれないから、
絶対に省略をしない機械装置を使う。
子供置き去りは根絶。
火急の案件だと思いますが。

そんなことを、考えました。


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