見出し画像

プールに入る

コロナ禍で3年間、水泳の授業がなくなっていた。
今年、4年ぶりに学校で水泳の授業があった。
3回だけ、だけど。

息子は水に入ることが大好きだ。
幼いころから小4の夏まえまで、スイミングスクールに通っていたことも影響しているのかもしれない。

1回目のプールの日、いつもは学校の様子など聞いてもほとんど話さない息子が、帰宅すると「プール、はいった!たのしかった」と興奮しながら何度も話してくれた。
そして2回目。
なんと、夏休み中に予定していた側弯症手術の貯血のために病院に行かないといけない日だった。
息子はとても残念そうだったが、病院好きなので、なんとか気を取り直していた。

3回目は夏休み後の9月だった。
夏休み中に側弯症の手術をしたので、1年間は運動禁止で体育も基本は見学だ。
息子には、「プールは見学だね」と話していた。
新学期が始まり、担任の先生から電話があった。
息子がプールに入っていいかどうか、という内容だった。
「プールの中を歩くのはどうでしょうか?」と提案された。

学校には、病院からもらった診断書はもちろん、術後の注意事項等が書かれた書面を渡していた。
診断書には、
「手術日より10カ月は体育は難しい、また滑り台やブランコなども判断するまでは禁止とする。また腰を大きく曲げたり、捻ったりする動作も極力避ける方針とする」
と書かれていた。
プール授業の見学は仕方がないと思っていたので、先生からの提案にはびっくりした。
私は「退院後は、銭湯などでの入浴は問題ないといわれています。なので、プールに入っても泳がなければ、大丈夫かなと思います」と答えた。
「では、プールに入る方向で準備します」と先生は言ってくれた。

3回目のプール授業日。
帰宅した息子は、「プール、たのしかった~」とご機嫌だった。
今年最後のプール授業だったので、自由に遊ぶ時間もあったそうだ。
友達と水をかけあったんだ、と。
そんな息子に「今日の1番は何だったの?」と聞いてみた。
いつもなら、食べることが1番の息子の答えは
「プールが1番!」
だった。

私は「プールに入ること=泳ぐこと」だと思い込んでいた。
そして、プールに入ることを当然のようにあきらめていた。
でも、自分1人ではできないことでも、協力者がいれば、できることもあるんだと思えた。
本当に久しぶりに、そう思うことができた。
自分ひとりですべてを抱え込んでいてはダメなんだ。
もっと視野を広くして、柔軟に考えられるようになりたいと強く思う。

先生、ありがとうございます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?