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帯広弾丸旅行・閉幕・後半..2022/08/28

 2日目の朝は、6:30頃に目が覚めた。7:55に駅前でバスに乗る予定だったので、なかなかいい時間に起きれた。わたしはいつもぎりぎりに行動してしまう傾向にあるので、7:10前にはホテルをチャックアウトをし、道路を挟んで反対側にあったローソンで朝ごはんを買った。

ハムチーズの…名前が出てこないやつと
棒状のサラダチキンを買った

写真を見ていただくとわかる通り、この日の帯広はとても天気が良かった。(実は1週間前くらいに天気予報を見て、晴れの日を狙ってバスのチケットを取ったというのもある)
これから向かう然別湖も青空と一緒に撮れるのでは?と、とてもウキウキしていたのを覚えている。朝ご飯を食べ終わった後、然別湖へのバスの往復代が片道よりも安く買えた気がして、バスターミナルの窓口に聞きに行った。朝早いにもかかわらず、カウンターには各バス会社ごとに受付の人がいて、ありがたいなと感じた。然別湖へのバスが出ているのは拓殖バスという会社だったので、そこのカウンターの女性にチケットの購入に浮いて聞いてみると、もっと安く行けますよ、と言われこのパンフレットをいただいた。

とんでもないことに、1日だと1500円、2日間だと2500円で十勝管内のバスが乗り放題となるプランが存在したのである。然別湖への往復のバスは通常2900円かかるため、2日間の乗り放題よりも高い値段なのである。聞いて良かった..!!受付のお姉さんありがとうございます( ;  ; )
結局やりとりをしているうちにバスの出発時間の直前となってしまったが、1500円のチケットを買うために保険証と帰りのチケットをお姉さんに提示して、ダッシュでバス乗り場に向かった。

然別湖へは1時間と30分ほどかかるので、後ろの2人席に1人で座り、のんびりと外の景色に癒された。青空と広大な大地の相性の良さに、心の底から満たされたような気持ちになった。(動画ばかり撮っていたので、写真が一枚もなかった)
鹿追町を過ぎ、徐々に道が山道へと変わっていった。その頃にはもうわたししか乗っておらず、運転手さんとわたしの2人で然別湖への険しい地を進んだ。(わたしは座っているだけだが..)
然別湖はとても標高の高い場所にある。火山活動によって川の下流側に山ができ、川が堰き止められたことでできた湖であるからなのだが、山々の間に急に大きな水溜まりが見えてくると流石にびっくりした。

ついに到着、然別湖!!

バスを降りると、帯広駅付近とは全然違った、ひんやりとした冷たい空気に包まれた。ウィンドブレーカーを着て来てよかった..と思うぐらいに気温が低く感じた。そしてその次に、目の前に広がる山々と美しい湖に驚いた。空の青色が然別湖特有のグリーンと混ざり合い、なんとも美しい色に染まっていた(写真を見返すたびに感動してしまう..)。
北海道にはこんな素晴らしい場所があるのだなと目頭が少し熱くなったのを覚えている。さっそく湖の近くに行き、撮影を始めた。然別湖の湖は非常に透明度が高い。それはつまり、水中の栄養が少なく、プランクトンやそれらを生物が少ないことを意味しているのだが、美しい水の中にはやはり美しい生物が生息している。それがミヤベイワナだ。

旅の目的、“ミヤベイワナ”


実はこの帯広弾丸旅行の目的は、然別湖に行きミヤベイワナをこの目で見ることだった。ミヤベイワナとはサケ科魚類のなかまで、オショロコマという魚の亜種である。千歳水族館の展示で知ったミヤベイワナだが、透明感のあるヒレ、独特なオレンジ色の体表に目を奪われ、本物が見てみたくなったのがきっかけである。この魚は十勝の然別湖にしか生息していないため、衝動的にこの旅行を計画したのだ。然別湖は北海道の中で最も水深の深い湖で、最新部だと98mほどもある海のような湖だ。もちろんミヤベイワナも表層にはあまりおらず、10m付近の深さを泳いでいるため、目視で確認できるはずはなかった。それを見越してわたしは、然別湖のネイチャーセンターにて実施されているリバーウォッチングを申し込んでいた。湖には大きなミヤベイワナが泳いでいるが、実は然別湖に流れ込む川にも、1歳未満の小さなミヤベイワナや、それらが湖に出ず、川に残り続けた大人のミヤベイワナが生息している。その子たちだけでも見たかったので、禁漁期間であるこの時期に然別湖へ訪れた。そのツアーが13:00からだったため、それまでは然別湖を撮影したり、湖の周りを散歩し、野鳥などを撮影していた。

あっという間に12:00になり、小腹がすいたため少し早いがネイチャーセンターの建物に行き、2階のカフェで食事を取ることにした。

ベーグルのフレンチトースト
フワトロでお腹いっぱい

ゆっくりと食事を楽しんでいた時、一件のラインがはいってきた。父からだった。読んでみると、「バスターミナルの受付に保険証を忘れていってたみたいだよ。」と書かれていた。ギョッとした。や、やらかしたーー。でも受付でよかった、置いて来たものがわたしを特定できる保険証でよかったと早めに気持ちが切り替えられた。これが然別湖パワーである。少し心は乱れたが、13:00に間に合うように、急ぎ目でフレンチトーストを食べた。

リバーウォッチング

受付に行くと、ツアーのガイドをしてくださる男性が待っていた。ツアーのメンバーがわたし1人だったらしく、よろしくお願いしますとお互い挨拶したのち、荷物をロッカーに入れ、2人で出発した。
着いたのは然別湖に面したキャンプ場、そこで川にザブザブ入っていくための専用のつなぎ(ウェーダー)を履いて、説明を受けたのち、川に入っていった。想像以上に水が冷たく、また川底もぬかるんでいて、泥が溜まっているところだと一瞬で足を取られた。ツアーのガイドさんに助けられながら、川の中を上流に向かって歩いて行った。

湖と空と一緒に写真も撮っていただいた

川の水は、湖の水と同様に透明度が高く、虫1匹も見当たらないほど綺麗だったが、ガイドさんが不意に川底の石を拾い上げ、裏返すと、そこには小さなカゲロウの赤ちゃんがいた。虫たちは流されないよう、川底の石にしがみついて生活していて、こういった虫たちがミヤベイワナ含む川の魚たちの食糧源になっているのだそう。わたしもマネをして石をめくってみると、ちゃんと虫がついていた。

川の支流に入ると、本流ではないためか、流れがとても穏やかだった。ガイドさんが指を刺した方向を見てみると、見当たらないなぁと思っていたミヤベイワナの稚魚が懸命に泳いでいた。

可愛くて何枚も写真や動画を撮らせていただいた。ヤマメの稚魚ともサケの稚魚とも違う、細かな模様が体表を覆っていて、美しい黄金色の体が陽の光に照らされキラキラとしていた。とても愛らしく美しかった。(是非動画で見て欲しかったが、noteは画像のみらしい..)次々とガイドさんが見つけるので、わたしも必死に探すのだが、見つけるのがこれまた難しかった。おひとり様の値段で少し高くはなったが、このツアーに参加して良かったと思った。
再び上流に向かって歩いていくと、今度は葉だけが食べられた蕗のとうが群生していた。なぜ葉がないのか聞いてみると、鹿やクマが葉をちぎって、茎だけを食べた痕跡なのだそう。蕗のとうの茎の部分だけ食べるのは美味しいからなのかな、人間と一緒で面白いなと感心してしまった。
そしてさらに上流に向かうと、川と川の間に砂地があった。そこに乗り上げると、砂地には何やら大きな足跡がついていた。ガイドさん曰く、クマの足跡だった。もちろん私はクマを見たことがなかったが、はっきりとしたクマの痕跡を見たのも初めてだったので、少しゾッとすると共に、今私は野生動物を中心として回っている森という社会にお邪魔している身なんだなと。言葉にすると少し恥ずかしいが、強く意識させられた。いい経験だったと思う。再び川を降り、乗って来た車に戻り、今度はガイドさん曰く一番ミヤベイワナがいそうなスポットに移動した。そこは、先程の川とは違い、横幅が少ない分深さのある川だった。橋の麓から川に降りるのも急な坂で、わたしは転ぶのが怖くなり、滑り降りた。その時に蕁麻(イラクサ)の棘が手に刺さってしまい、手が痛痒くなった。わたしはイラクサを知らなかったので、虫に噛まれたのか草にかぶれてしまったのかと思ったが、ガイドさんがイラクサのせいだと教えてくれた。生物ではなく植物の、防衛のための進化。この特性にあって今まで生き残り続けて来たと思うと憎めない。徐々に痛みも和らいでいき、川に入ってみると、先ほどの川で見た魚影よりも明らかに大きいものが勢いよく泳いで行った。ヤマメとも違う、細かな模様と大きな胸鰭を見て、おそらくミヤベイワナの川に残留した個体だと思った。成熟個体は見れなかったけど、また違ったミヤベイワナの姿をみることができて、とても嬉しかった。

独特の模様があるミヤベイワナの若魚

わたしが興奮してずっと水の中を覗いていたせいで時間は押してしまったが、再び車に乗って、ネイチャーセンターに戻り、2時間ほどのツアーが終了した。自分だけでは知り得なかった森の楽しさを教えてもらい、非常に楽しいツアーだった。ここに感謝の気持ちを記しておきたいと思う。本当にありがとうございました…。そして、こんな長く拙い文をここまで読んでくれた人は是非十勝にある然別湖に足を運び、美しい然別湖を堪能してほしいと思う。
ここから帯広駅に再びバスに乗って戻り、札幌に帰るまでの過程を説明するともっと長くなってしまうので割愛するが、とても良い旅であった。目的を持って、日常から抜け出す体験。その先で出会う人々との交流。そこから生まれる新たな価値観。きっとまた家で過ごす日々に慣れると、あっという間に感覚は戻ってしまう。それでも、その場所で撮った写真や動画を見返すたびに、また新たな感情が心を満たして、日常を彩ってくれるのだと思う。旅行っていいね。挑戦って素晴らしいね。たった2日間という短い時間だったけど、わたしの中でかけがえのない思い出になりました。次は何をしよう。ワクワクする方向に進んでいきたい。

帰りに帯広駅で撮った夕日




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